展開予想の誤差と「淀の坂」がもたらした戦略的結末
2026年1月24日、京都競馬場で行われた睦月ステークスを振り返ります。分析者として、事前の予想と実際の結果との間には看過できない乖離が生じました。本稿では、その差異の要因を冷静に掘り下げ、今後の糧とするための誠実な反省を記録いたします。
■ 予想時点では、最内枠の1番クランフォードが主導権を握り、平均的なスローペースで流れる「先行有利」の展開を想定していました。しかし実際には、5番レイベリング(レイベリング)が序盤から後続を引き離す「大逃げ」の形を選択。これにより、隊列は予想以上に縦長となり、追走する馬たちの心理に大きな揺さぶりをかけました。
■ ハロンタイム:12.7 - 11.4 - 11.7 - 12.1 - 11.4 - 11.6 - 11.4 - 11.8
■ 予想では「前残り」を想定していましたが、5番レイベリングが刻んだラップは、中盤の3コーナー上り坂(4ハロン目:12.1秒)で意図的に息を入れる非常に巧みなものでした。浜中騎手は「リードを保ちつつ、坂で脚を溜める」という、京都外回りコースの特性を最大限に活かした心理的優位を築いていました。
■ 1番クランフォード(評価B/得点70):
逃げを想定し「展開の恩恵を最も受ける」としましたが、実際にはハナを奪えず、好位のインに控える形となりました。結果として、直線で前が壁になる時間帯があり、実力を発揮できず12着。逃げられなかった際のプランBに対する評価が不足していました。
■ 8番シヴァース(評価S/得点96):
能力最上位と評価しつつ「差し届かないリスク」を指摘しましたが、結果は6着。4コーナーで馬群の密集地帯に包まれたことが致命傷となりました。能力評価は正しかったものの、京都外回り特有の「進路確保の難しさ」を過小評価していた点は反省すべきです。
| 馬番 | 馬名 | 予想評価 | 結果 | 分析 |
|---|---|---|---|---|
| 7 | スカイロケット | 消し(期待値低) | 5着 | 岩田望来騎手が馬群の間を割る最短距離を選択。展開利を失った分を騎手の手腕でカバーされました。 |
| 2 | スズハローム | 消し(近走不振) | 9着 | 上がり最速32.5秒を記録。位置取りの制約はありましたが、能力の底力を見誤っていました。 |
■ 14番ニホンピロキーフ(期待値最高評価):
大外枠からスムーズに運び、上がり32.7秒の末脚で3着。期待値通りの好走を見せましたが、勝ち馬との差は「位置取りの差」に集約されます。田口騎手の判断は的確でしたが、物理的な距離ロスを埋めきれませんでした。
■ 10番タガノエルピーダ(本命評価):
先行力を活かして4着。55キロの斤量もあり粘りましたが、最後は外から伸びた馬たちに屈しました。状態面は良好でしたが、決め手勝負になった際に一歩譲る結果となりました。
■ 本来、別定58キロでの大逃げはリスクが高いものですが、当日の京都芝が「内が乾いてスピードが出やすい」状態だったこと、そして浜中騎手の「後続が坂で牽制し合う」という心理を突いた好騎乗が噛み合いました。予想時点で「リズムを変えてくる可能性」に触れながらも、12番人気というオッズに気後れし、本命評価に引き上げる勇気が欠けていました。
■ 反省1:逃げ候補が複数いる際の「二番手以降」の評価
1番が逃げられなかった際のプランを軽視していました。今後は「逃げ馬が入れ替わった場合」の隊列変化もシミュレーションに加えます。
■ 反省2:京都外回りにおける「上がり32秒台」の想定
馬場状態が良すぎたため、後方からでも異常な末脚を使える環境でした。「前残り」を過信しすぎず、究極の瞬発力を持つ馬(スズハローム等)のケアを怠らないようにします。
■ 活用策:
「1番人気が差し馬」という前提から導き出した騎手心理の読みは概ね正解でした。今後は、その心理が「特定の馬への独走」を許すパターンまで想定の幅を広げます。
■ ニホンピロキーフ(14番)
今回、最も強い競馬をしたのはこの馬です。大外を回らされるロスがありながら、勝ち馬とアタマ差まで詰め寄った内容は秀逸。次走、中京や東京などの「直線が長く、進路の取りやすい左回りコース」であれば、確勝級の期待が持てます。
■ スズハローム(2番)
上がり32.5秒は非凡。今回は展開が向きませんでしたが、「多頭数の差し決着」が予想されるレースでは、人気薄であっても必ず馬券に組み込むべき一頭です。