2026年1月25日、小倉競馬場で行われた壇之浦ステークスを振り返ります。本レポートは、分析者の主観的な予想と実際の結果を照らし合わせ、その差異から生じた教訓を誠実に言語化することを目的としています。
【開催概要と結果の総括】
■ 開幕週の小倉1800mで行われた一戦は、勝ちタイム1:45.4という非常に優秀な時計での決着となりました。
■ 予想では「激しい位置取り争いによるハイペース」を想定していましたが、実際には「緩みのない一定のペースからの超高速加速ラップ」という、より高い持久力と瞬発力が問われる質的内容へと変貌しました。
■ 本命に据えたアウフヘーベンが12着に沈む一方で、消し評価としたエラトーが勝利するという、極めて厳しい反省が必要な結果となっております。
『ペース判断の検証』
■ 予想時の想定:12.4 - 11.4 - 12.0 ... 12.5前後の中盤を想定し、先行勢が苦しくなる展開を予見。
■ 実際の結果:12.4 - 11.4 - 12.0 - 11.9 - 12.0 - 11.9 - 11.4 - 11.3 - 11.1
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分析の差異:
中盤で12.0秒を超えるラップが一度もなく、ラスト3ハロンが加速し続ける「加速ラップ」となりました。これは逃げたミッキーツインクル(3番)が、後続に脚を使わせつつ自分も余力を持って直線に向いたことを示しており、後方に控えた馬にとっては、物理的に届かない「絶望的な展開」が作り出されました。私の見立てではミッキーツインクルを「決め脚勝負の馬」と定義していましたが、実際には強力な「逃げ・先行力」を発揮しており、脚質判断において根本的な誤りがありました。
【各馬の評価グループ別分析】
『展開予想を軸とした能力評価の差異』
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ハニーコム(予想S評価 → 実際7着):大外枠から好位を狙う想定でしたが、他馬のスピードが予想以上に速く、道中で外を回される距離ロスが響きました。現在の小倉の高速馬場では、外枠の不利が想定以上に重かったと言わざるを得ません。
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ミッキーツインクル(予想A評価 → 実際2着):追い込み一辺倒ではなく、自ら展開を作る「支配者」として君臨しました。ハロンタイム11.1秒のフィニッシュで逃げ粘った内容は、このクラスでは抜けた能力であることを示しています。
『消し要素の多い馬(上位8頭)の分析』
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エラトー(実際1着):半年ぶりの休み明けを理由に「消し」としましたが、結果的には馬体の充実(490kg)と、斎藤新騎手の「外に出して加速し続ける」という完璧な判断により勝利しました。ブランクよりも「成長」と「立ち回りの利」を過小評価したことが最大の敗因です。
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エゾダイモン(実際4着):重斤量と休み明けを懸念しましたが、地力で掲示板を確保。地力のある馬が、高速馬場の恩恵を受けて最後まで止まらない展開となりました。
『不安要素の少ない馬(上位5頭)の分析』
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アウフヘーベン(実際12着):最も信頼できると判断していましたが、勝負所で外からエラトーに蓋をされ、加速したいタイミングで進路がなくなる致命的な不利がありました。精神力の強さを評価していましたが、包まれる展開までは読み切れませんでした。
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ワイドアラジン(実際10着):先行力を期待しましたが、外枠からの追走で脚を使い、直線で伸びを欠きました。斤量58キロの影響も大きかったと推察されます。
『期待値が高い馬(上位5頭)の分析』
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サダムオプシス(実際8着):中団で脚を溜める形になりましたが、前の馬が11.1秒で上がる展開では、本馬の末脚では差を詰めることができませんでした。
【最終結論(印)の検証と敗因分析】
| 区分 |
馬番 |
予想馬名 |
着順 |
敗因・要因分析 |
| 本命 |
8 |
アウフヘーベン |
12着 |
内側で包まれ、加速ラップに対応できず。進路取りのミス。 |
| 対抗 |
4 |
キングノジョー |
3着 |
先行して粘り切る好内容。想定通りの立ち回りだが、上位2頭が速すぎた。 |
| 特注 |
12 |
ハニーコム |
7着 |
外枠からの距離ロス。高速決着での枠順の壁。 |
| 推奨1 |
11 |
ワイドアラジン |
10着 |
斤量と追走ペースの厳しさが重なった。 |
| 推奨2 |
2 |
イガッチ |
5着 |
内枠を活かしたが、上位勢の加速力に一歩及ばず。 |
【因果関係の深掘り:なぜその差が生まれたのか】
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1. 馬場状態の読み違い
開幕週の小倉は、内が有利であることは間違いありませんでしたが、それ以上に「馬場が良すぎて前が全く止まらない」状態でした。これにより、逃げたミッキーツインクルが最後までスピードを持続できたため、私の想定した「差し・追い込み」の出番が極端に減少しました。
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2. エラトーの成長と進路選択
勝ったエラトーは、通常なら不利とされる「外差し」を選択しました。しかし、今回のラップ(11.4-11.3-11.1)では、内側で進路を探すよりも、外でトップスピードを維持し続ける方が有利に働きました。斎藤新騎手はこの馬場特性を完璧に見抜いており、逆にアウフヘーベンの丸山騎手はセオリー通り内を狙ったことで、物理的な壁に突き当たってしまいました。
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3. 脚質特性の再定義
ミッキーツインクルの逃げは、今後の小倉1800mにおける一つの基準となるでしょう。この馬を末脚型と見ていた点は、過去の戦績に囚われすぎた結果であり、近走の行きっぷりや追い切りの動きをより重視すべきでした。
【実力以上の走りを見せた馬と次走狙える条件】
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ミッキーツインクル(2着)
今回の加速ラップを先頭で刻み、最後までアタマ差まで粘った内容は、勝ち馬以上のインパクトがあります。
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次走で狙える条件: 同じく平坦コース(京都・福島など)の1800m〜2000m。特に今回のような「前が止まらない馬場」であれば、次走は確勝級と言えます。
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エイカイマッケンロ(9着)
着順こそ下位ですが、上がり3ハロン「33.1秒」はメンバー中最速です。この展開で物理的に届かない位置にいただけで、馬の能力は衰えていません。
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次走で狙える条件: 直線の長いコース(東京・新潟など)への替わり。もしくは、今回とは逆に前半が激しく流れるハイペース戦。
【反省点と次回のレース予想への活用】
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休み明けの軽視を再考する: 現代の育成技術向上により、長期休養明けでもエラトーのような成長を見せる馬が増えています。「ブランク=消し」という固定観念を捨て、調教内容や馬体重の変化をよりシビアに評価に組み込みます。
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加速ラップの可能性を考慮: 小倉のような小回りコースでも、極上の馬場状態では「消耗戦」ではなく「加速戦」になることを再認識しました。特に上がり4ハロンのタイムが速い馬を、枠順以上に評価するアルゴリズムを強化します。
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心理的要因の多角化: 人気馬が包まれるリスク(特に内枠)を、期待値算出の際により重く評価し、不確定要素への備えを厚くします。
分析者の総括:
本レースにおいては、自身の展開予想が実際の馬場状態および騎手心理と大きく乖離しており、誠に遺憾な結果となりました。特にエラトーの能力を見誤った点、アウフヘーベンの立ち回りのリスクを軽視した点は重く受け止めております。この痛恨の敗戦を糧に、より高精度で多角的な分析を提供できるよう努めてまいる所存です。