本レースの分析において最も重視したのは、「中山マイルの特殊性」と「牝馬限定戦特有の精神性」の掛け合わせです。中山1600mというコースは、スタート直後にコーナーがあるため、外枠の馬は物理的に大きなハンデを背負います。このデータを知っているのは分析家だけではなく、騎乗するジョッキー全員です。ここから、「内枠は絶対に下がりたくない」「外枠は何か特別なことをしないと勝てない」という、極端な心理状態が生まれます。
次に着目したのは、先行力「96.4」を誇るソルトクィーンの存在です。富田騎手は、自らの馬が一番人気であり、かつ最も速いことを自覚しています。彼の心理としては、「中途半端に溜めて差されるくらいなら、最初から最後まで脚を使い切らせて、後続を沈める」という、攻撃的な逃げを選択する因果関係が見えてきます。この逃げが、後続のジョッキーに「早めに追いかけなければ」という焦りを生み出し、レース全体のペースを底上げします。
さらに、水平思考を用いて「人気馬を出し抜く側の心理」を深掘りしました。戸崎騎手や横山典弘騎手のようなベテラン・実力派は、この激しい先行争いをあえて一歩引いて眺めるはずです。彼らの論理では、「皆が前を意識し、坂で脚が止まる瞬間こそが、後方待機馬の勝機である」となります。特にチェルビアットの決め脚95.2は、この「前崩れ」の展開においてのみ、100%の威力を発揮します。このように、本レースは「内枠の防衛本能」vs「先行馬の消耗戦」vs「外枠の究極の一撃」という三つ巴の構造で成り立っていると結論づけました。