第77回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)回顧と反省《デブ猫競馬》


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2025年12月21日、阪神競馬場で行われた朝日杯フューチュリティステークス。小雨が降る重馬場という極めてタフなコンディション下、若駒たちが示した適性と、トップジョッキーたちが描いた戦略の差異を、冷静かつ謙虚に振り返ります。

【分析の要旨】
今回のレースは「1番人気馬の出遅れ」という不確定要素が起点となり、想定していた「外枠先行有利」の構造が、道中の「位置取りの判断」と「馬場選択」の勝負へと変質しました。

【展開・位置取り・騎手心理の相関分析】

『ペース判断の検証』

■ 予想段階では、重馬場ゆえに道中の消耗が激しく、全体的なペースは落ち着くと想定していました。しかし、実際のラップタイム(12.4 - 10.8 - 11.4 - 11.7 - 11.9 - 11.6 - 11.2 - 12.2)を見ると、2ハロン目の「10.8秒」が非常に速く、ここで各馬に大きな負荷がかかりました。
■ この序盤の競り合いにより、想定以上に「底力」と「息を入れる技術」が問われる展開となりました。中盤でルメール騎手が11.9秒まで落としたことで、先行勢にとっては息をつく暇が生まれた一方、後方に置かれた馬にとっては逆転が極めて困難な構造が完成しました。

『騎手心理の差異と因果関係』

C.ルメール騎手(10番): 「重馬場なら前が有利」という心理から、他馬の牽制を逆手に取り、単独逃げを選択。中盤でペースを落とすことで、最後の二枚腰を引き出すことに成功しました。
C.デムーロ騎手(8番): 1番人気のアドマイヤクワッズ(12番)が後方にいることを確認し、無理に追いかけず「中団の内」で徹底して脚を溜めました。他馬が外へ流れる4コーナーで、最短距離を選択した冷静さが勝機を呼び込みました。
坂井瑠星騎手(12番): 出遅れという誤算により、「早めに動かなければ届かない」という焦燥感が生まれました。4コーナーでの大外捲りは、重馬場において最もスタミナを削る選択であり、地力で3着まで食い込んだものの、戦術的には厳しい形となりました。

【予想と結果の徹底比較分析】

『展開予想を軸とした能力評価の検証』

馬番 馬名 予想評価 着順 分析結果
13 リアライズシリウス S 5着 馬体重+12kgの影響か、想定したほどの行き脚が見られませんでした。逃げられなかったことで、外を回らされる形となり、パワーを削がれました。
10 ダイヤモンドノット S 2着 ルメール騎手の戦略が想定以上。重馬場への適性も高く、能力値に違わぬ粘りを見せました。
8 カヴァレリッツォ A 1着 C.デムーロ騎手の手腕を「アドバンテージ」として評価していましたが、それが勝利の決定打となりました。

『消し要素・不安要素・期待値の振り返り』

【消し要素の多い馬】の分析:
消し評価とした1番人気のアドマイヤクワッズ(12番)が3着に食い込みました。これについては、展開不利を跳ね返すほどの「絶対能力の高さ」を見誤った点に反省が残ります。一方で、7番コルテオソレイユ(11着)や11番カクウチ(12着)など、重馬場での失速を予測した馬たちは、想定通りの結果となりました。

【不安要素の少ない馬】の分析:
上位入線の8番、10番をここに選定できていた点は、馬の地力評価としては妥当であったと考えます。しかし、13番リアライズシリウスの「大型馬ゆえの仕上がり途上」というリスクを過小評価していました。

【期待値が高い馬】の分析:
特注の5番ストームサンダー(9着)は、上り3ハロン1位タイの34.5秒を記録。位置取りが最後方であったため届きませんでしたが、馬場適性の読み自体は間違っておらず、展開一つで食い込む可能性は示しました。

【本命・推奨馬の個別分析と反省】

『評価の妥当性と差異の理由』

本命:13番 リアライズシリウス(5着)
「重戦車のような推進力」を期待しましたが、想定したハナを奪えなかったことが敗因です。内が荒れているからこそ外枠が良いと考えましたが、逃げられずに外を回る距離ロスは、重馬場では致命的でした。

対抗:10番 ダイヤモンドノット(2着)
ルメール騎手への信頼は正解でした。重馬場でも崩れないレースセンスは、今後のGⅠ戦線でも軸として機能することを再確認しました。

特注:5番 ストームサンダー(9着)
血統的な重馬場適性は証明されましたが、今回の「先行・逃げ有利」の馬場傾向を読み切れず、脚質面での評価を誤りました。

【結論:なぜその差が生まれたのか】

最大の因果関係は、「1番人気馬が後方に置かれたことによる、先行勢の心理的緩和」にあります。これにより、本来もっと厳しくなるはずの逃げ馬のラップが中盤で緩み、前残り馬場が固定されました。

反省点: 展開を「パワー型の馬が力でねじ伏せる」という物理的な側面のみで捉えすぎていました。重馬場という極限状態において、ジョッキーが「どこで息を入れるか」という技術介入の余地を、より深く見積もる必要がありました。
改善策: 次回からは、枠順と馬場状態だけでなく、「主力馬の出遅れリスク」や「騎手の戦術的柔軟性」を複数のシナリオとして想定し、予想のバリエーションを広げます。

【実力以上の走りを見せた馬の分析】

『次走で狙える条件』

1番:グッドピース(6着)
最内枠という、今回の馬場では「死に枠」と評価した条件下で、先行して6着に粘り込みました。この馬が見せた根性は特筆に値します。荒れた馬場を内から踏ん張った体力は本物です。
狙い目: 次走が「良馬場」かつ「平坦な小回りコース」であれば、今回のタフな経験がスピードの持続力として活きます。特に内枠を引いた際の粘り込みは、人気薄でも警戒が必要です。
分析の結果、今回の朝日杯FSは「適性」以上に「騎手の位置取りの妙」が結果を左右したレースであったと総括します。この謙虚な反省を胸に、次走の予想精度向上に努めます。