『ペース判断の検証と差異の整理』
■予想時点の想定: 1番ドンアミティエと5番サンライズアムールの競り合いによる激流(ハイペース)。ラスト1ハロンで前崩れ。
■実際のハロンタイム: 11.5 - 10.3 - 11.1 - 12.0 - 12.1 - 11.6
■実際の前半3F: 32.9秒
■評価: 展開の予想は「激流」で的中しましたが、その激しさ(度合い)の認識に大きなズレがありました。特に2ハロン目の10.3秒は、中山ダート1200mのGⅢとしては「殺人的な超ハイペース」であり、通常の激流以上の先行馬への負荷がかかりました。
■差異が生まれた因果関係:
予想では1番と5番の競り合いを主因としましたが、実際は10番タガノミスト、12番カルチャーデイ、13番エコロアゼルといった多頭数のハナ争いとなり、
複数の馬が逃げの主導権を主張する騎手心理が、ペースを予想の範疇を超えた極限まで押し上げました。
この超ハイペースにより、予想で軸とした「中団で脚を溜める馬」の中でも、
単に差し脚があるだけでなく、その流れを追走しながら異次元の末脚を使える馬(4番)と、
追走で脚を使ってしまい直線で不発に終わった馬(8番)の間に、決定的な能力差が生じる結果となりました。
『本命クロジシジョー(10着)不発の背景』
8番クロジシジョーは、予想では「中団待機策が完璧にハマる」としましたが、実際は3コーナーで15番手と
後方に置かれすぎました。
敗因は、この超ハイペースを追走する際、
前走JpnIIの疲労や斤量(57kg)が響き、序盤で積極的な位置を取りに行けなかったこと、そして馬場が稍重で時計が出やすい状態だったにも関わらず、上がり35.9秒と伸びあぐねたことから、展開利を活かしきれるだけの絶対的なスピード能力が、勝ち馬と比較して不足していたと判断できます。
『消し馬テーオーエルビス(1着)圧勝の要因』
4番テーオーエルビスは、予想では初の古馬重賞で厳しいとしてC評価としましたが、これは
「能力のスケール」を見誤った、最大の反省点です。
勝因は、
中団インという絶好のポジションを確保した鮫島克駿騎手の冷静な判断に加え、後半の坂路で他馬が一様に失速する中、ただ一頭、強烈な再加速を見せる次元の違う能力にあります。3歳馬ながら斤量56kgをものともせず、馬体増(+16kg)が示す成長力も相まって、この激流を支配しました。