2026年2月7日 京都11R
~予想と結果の因果関係を解き明かす~
今回のアルデバランステークスは、事前の展開予想を大きく上回る「極端な二相性」を見せたレースとなりました。 分かりやすく説明すると、前半分が「猛ダッシュの全力疾走」、後半分が「スタミナ切れと再加速の知恵比べ」という、非常に珍しい形になったのです。 この結果を謙虚に受け止め、なぜ予想と結果に差が生まれたのかを分析します。
■ 予想時点では「先行有利」を軸に、好位から脚を使える馬を高く評価していました。しかし、実際の展開は想定をはるかに超える「前壊滅」の形となりました。
■ 位置取りの大きな違いは、1コーナーから2コーナーにかけての「離れすぎた先頭集団」です。2番キョウキランブをはじめとする4頭が、後続を5馬身以上突き放して暴走気味に飛ばしたことで、レースが実質的に二つのグループに分断されました。
■ 騎手心理の面では、先頭集団の騎手たちが「先手を譲らない」という強い意志を持ちすぎた結果、引くに引けない状況に陥りました。逆に、勝利したゼットリアンの団野騎手を含む後方集団の騎手たちは、その過熱を冷静に見守り、体力を一切削られない選択をしたことが、最後の末脚に直結しました。
■ 序盤600メートルの通過タイムは29.1秒という、オープンクラスでも滅多に見られない殺人的なペースでした。
■ 驚くべきは中盤の挙動です。向正面から3コーナーにかけて、逃げた馬たちが「このままでは最後まで持たない」と判断し、13.0秒という極端なスローまでペースを落としました。これにより、後方にいた馬たちが無理に脚を使わなくても、自然と前との差を詰められる「ボーナスタイム」が発生しました。
■ この「極端な加減速」の因果関係により、前半に体力を使った先行馬は全滅し、中盤で楽をした後方待機馬が、最後の1ハロン12.1秒という加速勝負に対応できる余力を残す結果となりました。
| 馬番 | 評価 | 実際の結果 | 分析 |
|---|---|---|---|
| 16 | S (98点) | 14着 | 最も大きな誤算。池添騎手の「攻めの姿勢」が、今回の暴走ペースに自ら加わる形となり、自滅してしまいました。 |
| 13 | A (90点) | 6着 | 先行集団の直後に位置しましたが、前のグループが失速した際に進路を塞がれる形になり、得意の粘りを発揮できませんでした。 |
| 7 | B (82点) | 1着 | 「前崩れなら浮上」という評価が的中。予想以上に前が崩れたため、最高の展開となりました。 |
■ 消し評価だった14番メイショウユズルハ(5着)と1番リアレスト(3着)が上位に食い込みました。
■ 因果関係の整理: 14番は騎手の「無事完走(守り)」の心理が、図らずも「前半の無理を避ける」という正解に導かれました。1番は最内枠でじっとしていたことが、距離ロスを最小限に抑える結果となり、先行馬が脱落したスペースを突くことができました。
■ 不安要素が少ないとした13番や16番が敗れ、期待値が高いとした7番が勝利しました。
■ 今回の教訓として、「能力の高い馬ほど、騎手が勝ちを意識して厳しいペースに巻き込まれやすい」というリスクを、乾燥したタフな馬場条件下でもっと重く見るべきでした。
■ 残り600メートル地点で、逃げていた2番キョウキランブが急激に失速。この時、3番ピカピカサンダーが早めに外へ持ち出し、押し切りを図ります。後続もこれに呼応して、一気に馬群が横に広がりました。
■ ゼットリアンの勝因: 団野騎手は、直線に向くまで馬群の中でじっと我慢しました。無理に外を回さず、前の馬たちがバテて外へ膨らむのを待ち、その隙間を縫うようにして一番伸びる「馬場の中央やや外寄り」を確保しました。進路が開いてからの加速力は、他馬を圧倒していました。
■ ロードプレジールの激走: 2着の15番ロードプレジールは、4コーナーで最後方から2番手。しかし、前が止まることを確信した高杉騎手は、距離ロスを承知で大外へ。直線では全馬の中で最も長い時間加速し続ける「外差し」を完遂しました。京都の乾いたダートでも、ここまでペースが流れれば外差しが届くという、極端な例となりました。
■ 1. 序盤の超ハイペースによる先行集団のスタミナ枯渇
■ 2. 中盤の急減速による、後方待機勢のノーリスクな進出
■ 3. 最後1ハロンの「加速勝負」に対応できる余力を残していた馬の台頭
今回の大きな反省点は、「乾燥した馬場=先行有利」という定石を過信しすぎたことにあります。 ダート1900mという長丁場において、騎手たちの「意地」がぶつかり合った場合、馬場の恩恵を打ち消すほどの凄まじい「消耗戦」になることを予測から漏らしていました。
■ 今後は、逃げ馬・先行馬が複数揃ったレースでは、「期待値」の軸をもう一段階、後ろの脚質の馬にスライドさせる柔軟性を持ちます。
■ 特に、今回のような「暴走」の被害を受けた13番トリポリタニアや、能力を見せながら展開に泣いた11番ミッキークレストは、次走ペースが落ち着く条件であれば巻き返しが必至です。
■ 3着に入ったリアレスト(12番人気)は、今回のような特殊な展開だけでなく、最後にしぶとく脚を使えることを証明しました。 次走、内枠で砂を被っても怯まない精神力を見せたため、小回りコースや、もう少し距離が短縮される条件でも、相手なりに走る可能性が高いです。