今回の予想において最も本質的な誤りは、「先行争いがハイペースになる」という方向性は正しく捉えていたにもかかわらず、「どの程度のハイペースになるか」という定量的な推定が甘かった点にある。2ハロン目9.8秒という数字は、高松宮記念の過去データと比較しても際立って速い数値であり、この速度域に達した場合の先行馬への影響は「普通のハイペース」とは次元が異なる。
予想時点で「前半のペースは速くなりやすく、逃げ馬にとっても決して楽ではない流れが予想される。ただし乾燥した硬い馬場ではスピードが乗りやすく、前が粘れる場面も十分ある」と記述していたが、この「前が粘れる場面も十分ある」という評価が根本的な誤りだった。インビンシブルパパの先行力93.8という突出した先行力と、その騎手(佐々木大輔騎手)が内枠から強気にハナを主張したことで、通常のハイペースを超えた消耗戦が生まれた。
先行力の高い馬が揃った場合、特に最内枠(1番枠)からのスタートを持つ馬が存在した場合に、「前半2ハロン目が9.8秒台に入る可能性」を事前に想定しておく必要があった。この速度域の先行争いになった場合、後方待機馬に圧倒的な恩恵が生まれるという前例を、過去の高松宮記念や類似のスプリント戦から事前に調査・整理しておくべきだったという反省が残る。
サトノレーヴはS評価91点・全馬中最高の総合値・ルメール騎手という三拍子が揃いながら、「印なし」扱いとなっていた。その理由は「1番人気サトノレーヴは差し寄りの中団型であり、他騎手がサトノレーヴに不利な展開=前残り展開を作ろうとする」という騎手心理分析に基づいていた。
この分析の方向性自体は正しかった。実際に他騎手は前に積極的に出て前残り展開を目指した。しかしその結果として生まれた「超ハイペース」は、逆説的にサトノレーヴにとって最高の展開を提供することになった。前残り展開を作ろうとした各騎手の積極的な前進が、前を壊滅させるほどの速度域を作り出し、後方待機で脚を溜めていたサトノレーヴが最大の恩恵を受けた。
「サトノレーヴに不利な展開を各騎手が作る」という読みは正しかったが、「その結果として前残り展開になる」という連鎖推論が誤りだった。前残り展開のつもりが前崩れ展開を作り出すという逆説は、超高速馬場での先行争いが生む典型的なパターンであり、この逆説を認識していれば、サトノレーヴを上位に評価できたはずだ。
本命馬ウインカーネリアンが3着を確保したことは、結果としては「部分的中」だが、その理由は予想が正確だったからではなく、三浦皇成騎手の好騎乗によるものだった点を正直に評価する必要がある。予想では「逃げ先行から押し切る」という形を想定していたが、実際には4番手追走から内目コースを徹底して通り、上り33.2で先行馬としては最高の末脚を残した形だった。
先行争いを制して「逃げる」ことができなかった(インビンシブルパパにハナを譲った)が、その分だけ前半の消耗を抑えられた可能性がある。これは三浦騎手が状況を読んで無理に主導権を争わなかったという好判断であり、「ウインカーネリアンの先行力最高値でハナを主張する」という予想とは異なる騎乗だった。結果的に良い方向に働いたが、予想の精度という観点では騎手の判断変更を予測できなかったという課題が残る。