「VOICEVOX: 四国めたん」「VOICEVOX: 剣崎雌雄」「VOICEVOX: 玄野武宏」「VOICEVOX: 白上虎太郎」「VOICEVOX: 青山龍星」「VOICEVOX: もち子さん」「VOICEVOX: 雀松朱司」「VOICEVOX: 麒ヶ島宗麟」「VOICEVOX: 離途」「VOICEVOX: 黒沢冴白」 中山競馬場のターフは、 異様な緊張感に包まれていた。 第一00回中山記念。 芝1800メートルの熱き戦いが、 今まさに幕を開けようとしている。 (いや、ただの競馬のはずだが、 なぜか知略と殺気が交錯しているぞ!?) ゲートの中で、 各馬がそれぞれの思惑を巡らせていた。 セイウンハーデス(1番牡7)「削除!削除!削除ォ!」 彼はいきなり大声で叫び始めた。 オニャンコポン(2番牡4)「いきなり何言ってんだこいつ!?」 セイウンハーデス「私の前にいる不浄な空気はすべて排除する!」 オニャンコポン「いや逃げ馬なんだから前に誰もいねーだろ!」 セイウンハーデス「……神のファンたちの期待に応える!これが私の使命だ!」 (会話が成立していない!完全に自分の世界に入っているぞ!) 一方、隣のゲートでは異様な光景が広がっていた。 エコロヴァルツ(10番牡5)「このゲート、少し狭いですね」 彼はなぜかゲート内で、 両膝を抱え込むような奇妙な座り方をしていた。 レーベンスティール(5番牡6)「エコロ、君の姿勢が悪いだけだ」 レーベンスティールは、 エリートの風格を漂わせながら冷たく言い放つ。 エコロヴァルツ「私はこの座り方でないと、スタートの加速が40%落ちるんです」 レーベンスティール「ふん、言い訳はそこまでにしろ。中山の神となるのは僕だ」 エコロヴァルツ「神ですか。あなたが神なら、私はその証拠を暴く探偵ですよ」 レーベンスティール「探偵だと?笑わせるな、僕の完璧な計画の前に跪くがいい」 エコロヴァルツ「……確率論で言えば、あなたが勝つ確率は95%。ですが、残りの5%で私はあなたを有罪にします」 (いや馬が有罪とか言い出すなよ!普通に走れ!) そんな二頭の間に、 ピンク色のメンコをつけた牝馬が割って入る。 チェルヴィニア(6番牝5)「ちょっと!そこでイチャイチャしないでよ!」 エコロヴァルツ「イチャイチャとは心外ですね、私はただ確率を計算しているだけです」 チェルヴィニア「うるさいわね!ライトの隣はミサの指定席なんだから!」 エコロヴァルツ「……ライト?彼の名前はレーベンスティールですが」 チェルヴィニア「もう!堅苦しいこと言わないでよ!とにかく私が一番可愛いの!」 (可愛いとかどうでもいいから早く前を向け!) そして、運命のゲートが開いた。 セイウンハーデス「削除ォォォ!」 圧倒的なスタートダッシュを決めたのは、 一番人気のセイウンハーデスだ。 (神の掲げる理想通りに、この1ハロンを12.5秒で刻む!) 彼の頭の中には、完璧なラップタイムの規律しかない。 (スタートから1コーナーまでの距離が短いこのコース、私が支配する!) オニャンコポン「ちくしょう、速すぎる!でも食らいついてやる!」 オニャンコポンが1馬身から2馬身差で必死に追走する。 セイウンハーデス「私の後ろの不浄な足音も、いずれ削除する!」 オニャンコポン「だからお前、さっきから削除って何なんだよ!」 セイウンハーデス「……規律だ。逃げこそが唯一の法なのだ!」 (頼むから前を見て走ってくれ!) その後ろ、好位のポジションで、 二頭の天才が併走していた。 レーベンスティール(ふふ……計画通り。彼が逃げることでペースは最適化される) 彼は一切の無駄がないフォームで走る。 (僕の美しい馬体を汚さずに、内ラチ沿いの好位を確保できるというわけだ) エコロヴァルツ「やはり……あなたがその位置を取る確率は計算通りでした」 レーベンスティール「エコロ、君は本当に目障りだな。なぜ僕の隣にいる?」 エコロヴァルツ「内枠有利の因果関係です。スタートの良否がポジションを決定づけましたからね」 レーベンスティール「チッ、理屈っぽい奴め。だが、僕の前に出ることは許さない」 エコロヴァルツ「……ええ、今はまだ。しかし、証拠は確実に集まっていますよ」 (走りながら証拠集めんな!前を見ろ!) その少し後ろの中団では、 冷静沈着な最年少がパズルを解くように走っていた。 カラマティアノス(9番牡4)「……前半600メートルが36.3秒、ミドルペースですね」 カラマティアノスは、 口にくわえたゲートの破片らしきおもちゃを弄びながら思考する。 (この密集した馬群……1ハロン12.5秒のダッシュが生んだ因果ですね) ニシノエージェント(13番牡4)「おいお前、走りながら何ブツブツ言ってんだよ!」 カラマティアノス「……騒がしいですね。思考の邪魔をしないでいただけますか」 ニシノエージェント「なんだと!?俺は外枠で不利なんだ、八つ当たりさせろ!」 カラマティアノス「……非論理的ですね。外枠の不利はあなたの自己責任でしょう」 ニシノエージェント「ぐぬぬ……生意気なガキめ!見てろよ!」 (外枠は自己責任じゃないだろ!抽選のせいだろ!) 2コーナーに差し掛かると、 レースの流れに変化が生じた。 セイウンハーデス「2ハロン目は11.7秒!完璧な加速だ!」 (このまま下り坂を利用して、後続のスタミナを削り取ってやる!) しかし、彼の几帳面すぎる性格が、 徐々に彼自身を追い詰めていく。 オニャンコポン(ちくしょう、ペースが速い……でもここで引くわけにはいかない!) レーベンスティール(ふん、先頭の愚か者が勝手に消耗していく。計算通りだ) 彼はスタミナを温存しながら、攻撃的な心理へと移行していく。 (バックストレッチの下り坂で馬群が縦長になる。これで後半の加速は僕のものだ) 中団では、チェルヴィニアが苛立ちを募らせていた。 チェルヴィニア「もう!前の馬たちが邪魔でライトに近づけないじゃない!どきなさいよ!」 彼女、いや、チェルヴィニアは無理やり内へ切り込もうとする。 カラマティアノス「……少しは頭を使いなさい、アイドルさん」 チェルヴィニア「はぁ!?あんたみたいな子供に言われたくないわよ!私はライトを追いかけてるの!」 カラマティアノス「あなたが無理に内へ切り込んでも、今のペースでは自滅するだけですよ」 チェルヴィニア「理屈じゃないの!愛の力で走るのよ!」 カラマティアノス「……そうですか。ならば好きにすればいい」 カラマティアノスは冷たく言い放つ。 (ただし、あなたの作った進路は私が利用させてもらいます。それが最も勝ちに近い選択ですから) (愛を利用して勝とうとするな!もっと熱くなれよ!) その後方では、熱血漢が一人で空回りしていた。 マイネルモーント(7番牡6)「おいおい、みんな速すぎないか!?」 彼は最後方から必死に追い上げようともがく。 (チクショー、ブリンカーをつけてるのに、なんで前の馬が怖く見えるんだ……!) マイネルモーント「待ってくれ、俺だって……俺だって頑張ってるんだ!」 シャンパンカラー(14番牡4)「うるせぇ!お前が遅いだけだろ、引っ込んでろ!」 マイネルモーント「なんだと!?俺の泥臭い根性を見せてやるからな!」 シャンパンカラー「ふん、どうせ大外ブン回して自滅するオチだろ!」 マイネルモーント「……うぐっ、確かに外回りは不利だけど、競馬は魂のぶつかり合いだろ!」 (魂じゃなくて脚で走れ!物理法則を無視するな!) レースは3コーナー、 勝負の分かれ目となる上り坂へと突入した。 セイウンハーデス「……削除?いや、足が……重い?」 (なぜだ?完璧なラップを刻んだはずだ。なぜ後ろからあんな下劣な連中が追いついてくる!?) 彼はリードを保持している優越感と、 迫り来るプレッシャーの狭間で焦燥感を抱き始めた。 (ありえない……神は……神は私を見捨てたのか……!?) レーベンスティール「ふん、オーバーワークで自滅か。愚かな執行官め」 (上り坂でスタミナを消費するとは。僕の進路を塞ごうとする罪は重いぞ) エコロヴァルツ「……ハロンタイムは11.5秒。坂の影響を受けつつも、ペースは落ちていません」 エコロヴァルツは、 走りながら器用に角砂糖をかじり始めた。 (この耐久テストのような展開……私が今まで経験した中で、最も不快な部類に入ります) レーベンスティール「走りながら糖分を摂るな。泥が跳ねて僕の馬体が汚れるだろうが」 エコロヴァルツ「脳の回転には糖分が不可欠です。あなたを追い詰めるための計算ですよ」 レーベンスティール「強がりを言うな。君はもう、僕の背中を見るしかない運命だ」 エコロヴァルツ「……それはどうでしょうか。直線の長さは310メートルありますからね」 (だからお前ら、会話のレベルが高すぎるだろ!ここは競馬場だぞ!) 後方では、マイネルモーントがもがき苦しんでいた。 マイネルモーント「うおおおお!坂が、坂がキツいぃぃ!」 (みんな頭良すぎなんだよ!もっとこう、汗と涙で走ろうぜ!?) 彼は外回りの不利を自覚しながらも、 決して諦めようとはしなかった。