逃げちゃダメなのは分かってるけど、
最後方から大外ぶん回して暴走したら勝っちゃいました。

〜金鯱賞補完計画:ハナ差のシンフォニー〜
(金鯱賞の激闘 エヴァンゲリオン編)
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金鯱賞の激闘

🐎 金鯱賞補完計画:出走馬リスト

馬名 (番) 投影キャラ 脚質 異名
シェイクユアハート (9) 碇シンジ 暴走する後方一気 沈黙の初号機
ジョバンニ (3) 渚カヲル 優雅な先行・粘り 最後の使者
クイーンズウォーク (12) 惣流・アスカ・ラングレー 高飛車な中団差し 天才の赤きプライド
ジューンテイク (2) 鈴原トウジ 泥臭い先行策 不屈の3号機
ドゥラドーレス (1) 加持リョウジ 大人の差し脚 真実を知る者
ホウオウビスケッツ (13) 碇ゲンドウ 冷徹な逃げ 計画の執行者
ACT 1: STARTING GATE

「VOICEVOX: 四国めたん」「VOICEVOX: 離途」「VOICEVOX: 白上虎太郎」「VOICEVOX: 玄野武宏」「VOICEVOX: 青山龍星」「VOICEVOX: 剣崎雌雄」
中京競馬場、芝2000メートル。 春の柔らかな日差しが、緑のターフを鮮やかに照らし出している。 しかし、その美しい光景とは裏腹に、馬場には異様な重圧が渦巻いていた。 14頭の駿馬たちが、ゲートの中で静かに発走の時を待つ。 鉄と土の匂いが混ざり合い、鼻腔を鋭く刺激してくる。 (砂が飛んできた……痛いよ。ねぇ、誰も僕を助けてくれないの?) シェイクユアハート(9番 牡6)は、暗い枠の中で身をすくませていた。 後方で末脚を温存するという作戦など、本人は全く理解していない。 ただ、前の馬が蹴り上げる泥が怖くて、後ろに下がっていたいだけだ。 (どうして僕ばっかり、こんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだ!) 胃がキリキリと痛み、今にも逃げ出したい衝動に駆られている。 隣の枠では、不機嫌そうに蹄で地面を叩く音が鳴り響く。 クイーンズウォーク(12番 牝5)が、美しい鬣を揺らして鼻息を荒くした。 (位置は十分ね。動くのは3コーナー、私の完璧な計算通りよ!) 中団で展開を静観しつつ、内なるプライドの炎を静かに燃やしている。 凡馬どもを蹴散らす最高のタイミングを、クールに計っているのだ。 ガシャン、という無機質な轟音と共に、一斉にゲートが開かれた。 ハロンタイム13.0から10.8への、殺人的な急加速が始まる。 猛然とハナを主張し、先頭に躍り出た黒い影があった。 ホウオウビスケッツ(13番 牡6)だ。 メンコの奥でサングラスのような眼光を鋭く光らせ、馬場を支配する。 (この強気のハナ主張、全ては私のビスケッツ先頭計画のシナリオ通りだ) だが、そのすぐ内側から、涼しい顔で並びかけてくる馬がいた。 ジョバンニ(3番 牡4)だ。 激しいポジション争いの中にあっても、全く心拍数が上がっていない。 「いいよ。君の鼓動、僕にはよく聞こえる。情熱的なメロディだね」 「……問題ない。お前が控えることも、全ては私のシナリオ通りだ」 「風の旋律が少しズレているね。今日のこの舞台には、少し不釣り合いだ」 「……沈黙。それが今の私に与えられた唯一の権利だ」 ジョバンニは柔らかく微笑むと、すっと3番手の内側へと位置を下げた。 (逃げ馬の直後を見ながら、折り合いを重視する。僕たちの距離感だね)
ACT 2: BACKSTRETCH
隊列が整い、2コーナーから向正面へと差し掛かる。 ペースは12.3から12.1へと落ち、いわゆる中緩みの状態となった。 ホウオウビスケッツが単独先頭に立ち、孤独に馬場を蹴り続ける。 後方待機組の馬たちは、この遅いペースに付き合わされ脚を溜めていた。 馬群の中団で、クイーンズウォークの堪忍袋の緒が切れかかっていた。 「ちょっと!前の馬、邪魔よ!どきなさいよ!私の進路を塞ぐなんて!」 目の前を泥臭く走る馬に向かって、容赦ない罵声を浴びせかける。 ジューンテイク(2番 牡5)が、ギロリと後ろを睨み返した。 「どけぇ!ワイには負けられん理由があるんじゃい!」 「あんたバカぁ!?天才のクイーンズウォーク様に道を譲りなさいよ!」 「根性見せんかい!足がちぎれても止まらへんぞ、お嬢ちゃん!」 (クソッ、前が詰まっとる……。都会のレースは息苦しくてかなわんわ) ジューンテイクは内側に潜り込みながら、必死に怒りを押し殺した。 4コーナーで動く計画を胸に秘め、今はただ脚を溜めることに集中する。 最後方に近い11番手の位置で、シェイクユアハートは怯え続けていた。 (焦らず4コーナーで外を開ける……そんなの嘘だ、ただ怖いだけだよ!) 前との差を縮めずに脚を温存できていることなど、本人は露知らず。 馬場を舞う芝の切れ端にビクビクしながら、ひたすら息を潜めている。
ACT 3: THE HILL
3コーナー、坂の下り。 ここでレースの空気が、張り詰めた糸のように一気に限界まで引き絞られた。 11.4から11.2という、強烈な急加速局面への突入である。 先頭のホウオウビスケッツの耳が、僅かに後ろに倒れ、汗が噴き出す。 (……計算が違う。なぜ末脚が残っていない。……使徒どもめ) スタミナを削られ、ビスケッツ先頭計画に致命的なバグが生じ始めた。 その隙を突き、ジューンテイクが猛然と3番手までポジションを上げる。 先頭を捕まえに行く積極策、経験に裏打ちされた確信的な動きだ。 内側にはジョバンニがピタリと張り付き、進出のタイミングを窺っている。 (いつ外に持ち出すか……いや、内を通る優位を確信するべきだね) 中団の外側では、大人の色気を漂わせるベテランが静かに動いていた。 ドゥラドーレス(1番 牡7)が、余裕の表情で馬群を眺めている。 「おっと、危ない。そこのお嬢さん、そんなに急ぐと綺麗な顔が台無しだよ」 クイーンズウォークが、ギリッと歯を鳴らして振り返った。 「誰がお嬢さんよ!凡才はさっさと道を空けなさい、邪魔なのよ!」 「真実は、この直線の向こう側にしかない……そう思わないか?」 「ポエムなんか聞いてる暇はないわ!私は絶対に勝たなきゃいけないの!」 (7歳にもなるとね、関節のあちこちが自己主張を始めるんだ。困ったもんだよ) ドゥラドーレスは軽く息を吐き、外目のコースを確保しつつ直線を待った。
ACT 4: BERSERK
そして、魔の4コーナー。 遠心力が馬体を引き裂かんばかりに襲い掛かり、隊列が一気に圧縮される。 先頭のホウオウビスケッツは、すでに脚が完全に上がっていた。 内ラチ沿いを、ジョバンニが最短距離で滑るように抜け出してくる。 中団からは、クイーンズウォークが満を持して大外へと持ち出した。 「見てなさい!私の華麗なステップ、リリンどもに目に焼き付けさせてあげるわ!」 (最後の直線だけで勝負する!私の圧倒的な才能を見せつける時よ!) だが、その時だった。 大外のさらに外、誰もいない空間を、凄まじい速度で駆け上がる影があった。 後方10番手にいたはずの、シェイクユアハートである。 中京の緩やかな下り坂と遠心力を完全に味方につけ、規格外の加速を見せる。 「走るよ……僕が走れば、みんな喜んでくれるんだよね!?」 (直線入り口での加速感……なんだこれ、足が勝手に動いて止まらない!) 恐怖でパニックになった脳内とは裏腹に、肉体は完璧な外まくりを完成させていた。 直線に入り、激しい追い比べが始まる。 タイムは11.6から11.8へと落ち、全馬が極限の消耗戦に突入した。 ホウオウビスケッツは完全に失速し、後続に次々と飲み込まれていく。 「……沈黙。それが今の私に与えられた唯一の権利だ」 最内を突いたジョバンニとジューンテイクが、熾烈な叩き合いを演じる。 そこへ外から、クイーンズウォークが怒涛の勢いで強襲してきた。 (天才の私が負けるわけない!前を走る凡馬ども、全員まとめて沈みなさい!) しかし、そのさらに外側を、シェイクユアハートが地鳴りのような足音で通り過ぎる。 上がり33.5という、他馬を完全に凌駕する圧倒的なスピード。 「ごめん、ごめんなさい!横を通るよ!」 「汚いじゃない!このバカシンジ!責任取りなさいよ!」 「……目標をセンターに入れてスイッチ。……センターに入れてスイッチ……!」 「あんた、後で絶対パドックで吊るし上げてやるんだから!」 シェイクユアハートの視界が真っ白に染まり、ただ無我夢中で芝を蹴り飛ばした。 クイーンズウォークの怒声すらも、あっという間に遥か後方へと消え去る。 最内を粘り強く走るジョバンニに、シェイクユアハートが並びかけた。 「時は来た。……さあ、行こうか。終わりの続きを始めよう」 (ハナ差かい。……それもまた、僕たちの距離感として相応しいのかもしれないね) 微笑むジョバンニをハナ差でねじ伏せ、シェイクユアハートが先頭でゴール板を駆け抜けた。
EPILOGUE: THE END
1着、シェイクユアハート。 2着、ジョバンニ。 3着、クイーンズウォーク。 死闘が終わったターフの上には、荒々しい息遣いだけが響き渡っている。 ドゥラドーレスは5着に入線し、軽く首を振って息を整えた。 (結果は5着か。……まあ、命あっての物種だ。今夜は美味しい水でも飲もう) ジューンテイクは4着の電光掲示板を見上げ、悔しそうに蹄鉄を見つめている。 (4着か……。お土産の乾草、豪華なやつにしたかったんやけどな……) そして、3着に敗れたクイーンズウォークは、怒りで全身を震わせていた。 「なんで……なんで私が3番目なのよ……!信じられない、こんなの認めないんだから!」 見えない馬房の壁を激しく蹴り上げるイメージを膨らませ、狂ったように嘶く。 勝者のシェイクユアハートは、首を垂れて激しく上下する胸の音を聞いていた。 「……勝っちゃった。……たぶん、偶然だよ」 泥だらけの顔を僅かに上げ、彼は相変わらず自信のない声で呟いた。 外まくりという伝説的な強手を見せつけながら、本人は怯えて逃げただけなのだから。 春の柔らかな風が、ユーモアと狂気に満ちたターフを優しく撫でていった。
キャラ名付
逃げちゃダメなのは分かってるけど、
最後方から大外ぶん回して暴走したら勝っちゃいました。
〜金鯱賞補完計画ハナ差のシンフォニー〜
(金鯱賞の激闘 エヴァンゲリオン編)

ACT 1 STARTING GATE

中京競馬場、芝2000メートル。
春の柔らかな日差しが、緑のターフを鮮やかに照らし出している。
しかし、その美しい光景とは裏腹に、馬場には異様な重圧が渦巻いていた。
14頭の駿馬たちが、ゲートの中で静かに発走の時を待つ。
鉄と土の匂いが混ざり合い、鼻腔を鋭く刺激してくる。

シェイクユアハート【碇シンジ】:(砂が飛んできた……痛いよ。ねぇ、誰も僕を助けてくれないの?)
シェイクユアハート(9番 牡6)は、暗い枠の中で身をすくませていた。
後方で末脚を温存するという作戦など、本人は全く理解していない。
ただ、前の馬が蹴り上げる泥が怖くて、後ろに下がっていたいだけだ。
シェイクユアハート【碇シンジ】:(どうして僕ばっかり、こんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだ!)
胃がキリキリと痛み、今にも逃げ出したい衝動に駆られている。

隣の枠では、不機嫌そうに蹄で地面を叩く音が鳴り響く。
クイーンズウォーク(12番 牝5)が、美しい鬣を揺らして鼻息を荒くした。
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:(位置は十分ね。動くのは3コーナー、私の完璧な計算通りよ!)
中団で展開を静観しつつ、内なるプライドの炎を静かに燃やしている。
凡馬どもを蹴散らす最高のタイミングを、クールに計っているのだ。

ガシャン、という無機質な轟音と共に、一斉にゲートが開かれた。
ハロンタイム13.0から10.8への、殺人的な急加速が始まる。

猛然とハナを主張し、先頭に躍り出た黒い影があった。
ホウオウビスケッツ(13番 牡6)だ。
メンコの奥でサングラスのような眼光を鋭く光らせ、馬場を支配する。
ホウオウビスケッツ【碇ゲンドウ】:(この強気のハナ主張、全ては私のビスケッツ先頭計画のシナリオ通りだ)

だが、そのすぐ内側から、涼しい顔で並びかけてくる馬がいた。
ジョバンニ(3番 牡4)だ。
激しいポジション争いの中にあっても、全く心拍数が上がっていない。
ジョバンニ【渚カヲル】:「いいよ。君の鼓動、僕にはよく聞こえる。情熱的なメロディだね」
ホウオウビスケッツ【碇ゲンドウ】:「……問題ない。お前が控えることも、全ては私のシナリオ通りだ」
ジョバンニ【渚カヲル】:「風の旋律が少しズレているね。今日のこの舞台には、少し不釣り合いだ」
ホウオウビスケッツ【碇ゲンドウ】:「……沈黙。それが今の私に与えられた唯一の権利だ」
ジョバンニは柔らかく微笑むと、すっと3番手の内側へと位置を下げた。
ジョバンニ【渚カヲル】:(逃げ馬の直後を見ながら、折り合いを重視する。僕たちの距離感だね)

ACT 2 BACKSTRETCH

隊列が整い、2コーナーから向正面へと差し掛かる。
ペースは12.3から12.1へと落ち、いわゆる中緩みの状態となった。
ホウオウビスケッツが単独先頭に立ち、孤独に馬場を蹴り続ける。
後方待機組の馬たちは、この遅いペースに付き合わされ脚を溜めていた。

馬群の中団で、クイーンズウォークの堪忍袋の緒が切れかかっていた。
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:「ちょっと!前の馬、邪魔よ!どきなさいよ!私の進路を塞ぐなんて!」
目の前を泥臭く走る馬に向かって、容赦ない罵声を浴びせかける。
ジューンテイク(2番 牡5)が、ギロリと後ろを睨み返した。
ジューンテイク【鈴原トウジ】:「どけぇ!ワイには負けられん理由があるんじゃい!」
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:「あんたバカぁ!?天才のクイーンズウォーク様に道を譲りなさいよ!」
ジューンテイク【鈴原トウジ】:「根性見せんかい!足がちぎれても止まらへんぞ、お嬢ちゃん!」
ジューンテイク【鈴原トウジ】:(クソッ、前が詰まっとる……。都会のレースは息苦しくてかなわんわ)
ジューンテイクは内側に潜り込みながら、必死に怒りを押し殺した。
4コーナーで動く計画を胸に秘め、今はただ脚を溜めることに集中する。

最後方に近い11番手の位置で、シェイクユアハートは怯え続けていた。
シェイクユアハート【碇シンジ】:(焦らず4コーナーで外を開ける……そんなの嘘だ、ただ怖いだけだよ!)
前との差を縮めずに脚を温存できていることなど、本人は露知らず。
馬場を舞う芝の切れ端にビクビクしながら、ひたすら息を潜めている。

ACT 3 THE HILL

3コーナー、坂の下り。
ここでレースの空気が、張り詰めた糸のように一気に限界まで引き絞られた。
11.4から11.2という、強烈な急加速局面への突入である。
先頭のホウオウビスケッツの耳が、僅かに後ろに倒れ、汗が噴き出す。
ホウオウビスケッツ【碇ゲンドウ】:(……計算が違う。なぜ末脚が残っていない。……使徒どもめ)
スタミナを削られ、ビスケッツ先頭計画に致命的なバグが生じ始めた。

その隙を突き、ジューンテイクが猛然と3番手までポジションを上げる。
先頭を捕まえに行く積極策、経験に裏打ちされた確信的な動きだ。
内側にはジョバンニがピタリと張り付き、進出のタイミングを窺っている。
ジョバンニ【渚カヲル】:(いつ外に持ち出すか……いや、内を通る優位を確信するべきだね)

中団の外側では、大人の色気を漂わせるベテランが静かに動いていた。
ドゥラドーレス(1番 牡7)が、余裕の表情で馬群を眺めている。
ドゥラドーレス【加持リョウジ】:「おっと、危ない。そこのお嬢さん、そんなに急ぐと綺麗な顔が台無しだよ」
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:「誰がお嬢さんよ!凡才はさっさと道を空けなさい、邪魔なのよ!」
ドゥラドーレス【加持リョウジ】:「真実は、この直線の向こう側にしかない……そう思わないか?」
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:「ポエムなんか聞いてる暇はないわ!私は絶対に勝たなきゃいけないの!」
ドゥラドーレス【加持リョウジ】:(7歳にもなるとね、関節のあちこちが自己主張を始めるんだ。困ったもんだよ)
ドゥラドーレスは軽く息を吐き、外目のコースを確保しつつ直線を待った。

ACT 4 BERSERK

そして、魔の4コーナー。
遠心力が馬体を引き裂かんばかりに襲い掛かり、隊列が一気に圧縮される。
先頭のホウオウビスケッツは、すでに脚が完全に上がっていた。
内ラチ沿いを、ジョバンニが最短距離で滑るように抜け出してくる。
中団からは、クイーンズウォークが満を持して大外へと持ち出した。
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:「見てなさい!私の華麗なステップ、リリンどもに目に焼き付けさせてあげるわ!」
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:(最後の直線だけで勝負する!私の圧倒的な才能を見せつける時よ!)

だが、その時だった。
大外のさらに外、誰もいない空間を、凄まじい速度で駆け上がる影があった。
後方10番手にいたはずの、シェイクユアハートである。
中京の緩やかな下り坂と遠心力を完全に味方につけ、規格外の加速を見せる。
シェイクユアハート【碇シンジ】:「走るよ……僕が走れば、みんな喜んでくれるんだよね!?」
シェイクユアハート【碇シンジ】:(直線入り口での加速感……なんだこれ、足が勝手に動いて止まらない!)
恐怖でパニックになった脳内とは裏腹に、肉体は完璧な外まくりを完成させていた。

直線に入り、激しい追い比べが始まる。
タイムは11.6から11.8へと落ち、全馬が極限の消耗戦に突入した。
ホウオウビスケッツは完全に失速し、後続に次々と飲み込まれていく。
ホウオウビスケッツ【碇ゲンドウ】:「……沈黙。それが今の私に与えられた唯一の権利だ」
最内を突いたジョバンニとジューンテイクが、熾烈な叩き合いを演じる。
そこへ外から、クイーンズウォークが怒涛の勢いで強襲してきた。
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:(天才の私が負けるわけない!前を走る凡馬ども、全員まとめて沈みなさい!)

しかし、そのさらに外側を、シェイクユアハートが地鳴りのような足音で通り過ぎる。
上がり33.5という、他馬を完全に凌駕する圧倒的なスピード。
シェイクユアハート【碇シンジ】:「ごめん、ごめんなさい!横を通るよ!」
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:「汚いじゃない!このバカシンジ!責任取りなさいよ!」
シェイクユアハート【碇シンジ】:「……目標をセンターに入れてスイッチ。……センターに入れてスイッチ……!」
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:「あんた、後で絶対パドックで吊るし上げてやるんだから!」
シェイクユアハートの視界が真っ白に染まり、ただ無我夢中で芝を蹴り飛ばした。
クイーンズウォークの怒声すらも、あっという間に遥か後方へと消え去る。

最内を粘り強く走るジョバンニに、シェイクユアハートが並びかけた。
ジョバンニ【渚カヲル】:「時は来た。……さあ、行こうか。終わりの続きを始めよう」
ジョバンニ【渚カヲル】:(ハナ差かい。……それもまた、僕たちの距離感として相応しいのかもしれないね)
微笑むジョバンニをハナ差でねじ伏せ、シェイクユアハートが先頭でゴール板を駆け抜けた。

EPILOGUE THE END

1着、シェイクユアハート。
2着、ジョバンニ。
3着、クイーンズウォーク。

死闘が終わったターフの上には、荒々しい息遣いだけが響き渡っている。
ドゥラドーレスは5着に入線し、軽く首を振って息を整えた。
ドゥラドーレス【加持リョウジ】:(結果は5着か。……まあ、命あっての物種だ。今夜は美味しい水でも飲もう)
ジューンテイクは4着の電光掲示板を見上げ、悔しそうに蹄鉄を見つめている。
ジューンテイク【鈴原トウジ】:(4着か……。お土産の乾草、豪華なやつにしたかったんやけどな……)

そして、3着に敗れたクイーンズウォークは、怒りで全身を震わせていた。
クイーンズウォーク【惣流・アスカ・ラングレー】:「なんで……なんで私が3番目なのよ……!信じられない、こんなの認めないんだから!」
見えない馬房の壁を激しく蹴り上げるイメージを膨らませ、狂ったように嘶く。

勝者のシェイクユアハートは、首を垂れて激しく上下する胸の音を聞いていた。
シェイクユアハート【碇シンジ】:「……勝っちゃった。……たぶん、偶然だよ」
泥だらけの顔を僅かに上げ、彼は相変わらず自信のない声で呟いた。
外まくりという伝説的な強手を見せつけながら、本人は怯えて逃げただけなのだから。
春の柔らかな風が、ユーモアと狂気に満ちたターフを優しく撫でていった。