小説『真宮寺教授の秘密講義』

第5章:結論、迷宮の出口《デブ猫競馬》


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研究室の窓の外は深い群青色に沈んでいた。モニターの明かりが、神宮寺教授の横顔を青白く照らしている。彼女は「期間限定・猫耳型ゲーミングヘッドセット」を装着し、リズムゲームを片手でクリアしながらペンを回していた。
真宮寺:「……ついに、この『東京新聞杯』という名のカオスを収束させる時が来たわね」
佐倉:「教授、そのヘッドセット、光るたびに僕の目がチカチカするんですけど。……で、ランキング、出ました?」
(完璧な計算よ。でも……何かしら、この胸のざわつきは。競馬は生き物が走るスポーツ。突然の体調不良、ゲートでの出遅れ、騎手のミス……それらは数式には入っていない。私が信じているこの『データ』という神様は、本当に現実を支配しているのかしら。もし、9歳の老兵が奇跡を見せたら……いいえ、今は迷いを見せる時じゃないわ)
真宮寺:「まずはオフトレイル。実績はあるけれど59kgは重すぎ。物理的に足枷になるわ。そしてブエナオンダ。勢いはあるけれど、指数の『質』がGⅠ級の猛者たちには一歩及ばない。これらはデータの底に沈んでもらうわ」
佐倉:「実績馬も勢いのある馬もバッサリですね。じゃあ、トップ3は?」
真宮寺:「軸はウォーターリヒトよ。マイルCSでの指数116は断トツ。東京の速い流れにも対応済み。58kgも苦にしない。そして対抗は4歳馬のマジックサンズ。57kgという斤量の恩恵はデータ上、決定的なアドバンテージよ。最後に安定のエルトンバローズ。これで完璧なはずよ」

【最終解析結果:期待値ランキング】

ウォーターリヒト(Sランク:指数・実績ともに最強)
マジックサンズ(Aランク:4歳馬・斤量のアドバンテージ)
エルトンバローズ(Aランク:先行力と抜群の安定感)
トロヴァトーレ(Bランク:東京替わりでの指数上昇期待)
×ブエナオンダ(Cランク:勢いはあるが基礎能力で劣る)
オフトレイル(Cランク:59kgの物理的制約)
佐倉:「教授のロジック、完璧に見えます! これで今週末は焼肉祭り確定ですね!」
真宮寺:「……バカ言わないで。私はただ、次の解析を考えていただけよ。いい、佐倉くん。私の結論は出たわ。信じるか信じないかは、君次第よ」
佐倉:「……もし外れたら、来月の研究室の備品、全部『猫耳』にするから覚悟しておいてくださいね!」
深夜の研究室に、猫耳ヘッドセットの七色の光がいつまでも揺れていた。神宮寺教授は、出力されたデータをそっと閉じ、自分自身の導き出した「正解」への疑念を、甘いチョコと共に飲み込んだ。

小説『真宮寺教授の秘密講義』―― 完。