【名無しさん】 2025年10月12日 18時28分33秒 | 猫でも書ける短編小説 |
【名無しさん】 2025年10月11日 20時20分42秒 | 緑の瞳の爆発 静かに降り始めた小雨が、東京競馬場の芝を濡らす。若き才能たちが集う2歳戦線の前哨戦、サウジアラビアロイヤルカップ。ここは、未来のエリートを決める試金石。人気を集めるゾロアストロをはじめ、誰もが勝利を渇望する中、一人の地味な少年は静かにゴーグルを直した。 さあ、スタート! 第11回サウジアラビアロイヤルカップ、1600メートル。 マーゴットブロー、まるで自分のペースを誰にも乱させまいとばかりに、勢いよく飛び出し先頭に立つ! 短く潔い口調で「前しか見ていない!」と叫ぶ彼の隣、控えめなユウファラオがその背後を完璧にマーク。いつも通り、従順なサポート役に徹します。 好位には、白いシャツのガリレアと、プライドの塊ニシノエースサマ。ニシノエースサマは「この僕が、まさか…!」と既に周囲を牽制する余裕を見せますが、その内側ではアスクエジンバラが「ちくしょう!こんなはずじゃねえ!」と早くも感情を爆発させて、前に出たい気持ちを抑えきれません! 3コーナー~4コーナー ナレーション レースは前半から速い流れ。マーゴットブローの勇敢な逃げが、後続に容赦なくプレッシャーをかける。先頭から離れた中団、チュウワカーネギーが重い体を持て余し気味に追走。そして、最後方集団。緑の制服を纏ったエコロアルバは、まだ動かない。冷静な瞳の奥に、ただ勝利への純粋な執着を秘めて。 実況 3、4コーナーをカーブ! マーゴットブロー、ユウファラオの二人が先頭で直線を向く! その後ろから、満を持してゾロアストロが動く! ゾロアストロ、知的なエリートが満点回答を出すかのように、馬群の中から抜け出す! 「この結果は受け止めます。しかし、終わりではない!」 直線、そして決着 実況 先頭はゾロアストロ! 誰もが認める優等生が、東京の長い直線で先頭に立った! 追いすがるのはマーゴットブロー! そして、その外から! 7番人気の白い少年、ガリレアが! 「私は、私の走りを貫くまでです!」 華奢な体からは想像もつかない驚異的な粘りを見せるガリレア! ゾロアストロに迫る! しかし、この勝負、ここで終わらない! ナレーション 彼らの背後から、緑の閃光が迫っていた。誰にも見向きもされず、地味な努力を積み重ねてきた少年。最速の末脚は、彼のためだけに用意されたものだ。 エコロアルバがゴーグルを跳ね上げる! 「…勝つために、それだけです。」 実況 外から、来た! 外から一気に加速する、エコロアルバ! ぐんぐん伸びる! 追い上げのギアがまるで違う! ゾロアストロを! ガリレアを! 一気に飲み込むように差し切った! 先頭はエコロアルバ! 2番手には大外からガリレアが食い込んだ! ゾロアストロが3番手! ゴォールイン! 勝利はエコロアルバ! 2番人気の少年が、最速の上がり33.2秒を叩き出し、未来への扉をこじ開けた! レース後 勝利を確信したエコロアルバは、派手なガッツポーズもなく、ただ淡々とゴール板を駆け抜けた。深い緑の制服には泥が跳ねているが、その瞳は澄んでいる。 エコロアルバ 「…勝つために、それだけです。」 彼から1馬身半遅れてゴールしたガリレアは、肩で息をしながらも、理知的で静かな表情を崩さない。 ガリレア 「クビ差…やはり、私の走りは間違っていない。次は、必ず。」 そして、初めての敗北を噛み締めるゾロアストロ。彼の完璧なスーツが、雨に濡れて少し重く見えた。 ゾロアストロ 「この結果は受け止めます。しかし、終わりではない。私のカリスマは、こんなところで挫けない。」 その後ろでは、逃げの美学を貫いたマーゴットブローが4着で悔しさを噛み締める。そして、荒々しいアスクエジンバラの絶叫が芝に響いた。 アスクエジンバラ 「ちくしょう!こんなはずじゃねえ!俺の力が、制御できねえ!」 サウジアラビアロイヤルカップ。それは、一瞬の切れ味と、少年たちの隠された才能が爆発した、未来を予感させるレースとなった。 |