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「きさらぎ賞ドタバタ激走録!~仁義なきスローペースの果てに~」きさらぎ勝の戦い らんま1/2編
「VOICEVOX: 玄野武宏」「VOICEVOX: 剣崎雌雄」「VOICEVOX: 青山龍星」「VOICEVOX: 雀松朱司」「VOICEVOX: 麒ヶ島宗麟」「VOICEVOX: 四国めたん」 「キャスト」 ゾロアストロ らんま エムズビギン 良牙 ラフターラインズ あかね コレオシークエンス ムース
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京都競馬場、芝1800メートル。 曇り空の下、男たちの(ひとり、気の強い女も混じっているが)熱いプライドが火花を散らす、 GⅢきさらぎ賞のゲートが、今まさに開こうとしていた。
ガシャンッ!!
ゲートが開いた瞬間、まず飛び出したのは、 緑の帽子がトレードマークの目立ちたがり屋だった。
「しゃーっ! 見てろよ愚民ども! 今日の主役はこのオレ様、 6番コレオシークエンス(牡3)だっ!」
(フフン、完璧なスタート! これで視線は独り占めだぜ!)
鼻息荒く先頭を奪うコレオシークエンス。 しかし、その直後、黒い影が忍び寄る。
「待てぇい! 逃げとは卑怯なり! 正々堂々、この2番エムズビギン(牡3)と勝負しろ!」
(くっ、また二番手か……。 なぜオレはいつも、絶妙に先頭に立てないんだ……!)
真面目すぎるが故に損をするタイプのエムズビギンが、 今日も今日とて二番手から、前の尻を睨みつける。
そんな先頭集団のドタバタを、 最内枠の白い帽子が、冷ややかな目で見つめていた。
「……チッ、朝っぱらからうるせぇ連中だ。 オレは1番ゾロアストロ(牡3)。 てめぇらの相手をしてるほど、暇じゃねぇんだよ」
(あー面倒くせぇ。 なんでオレが、こんな窮屈な最内を走らなきゃなんねぇんだ。 サボりてぇ)
圧倒的な才能を持ちながら、性格に難あり。 1番人気ゾロアストロは、早くもやる気スイッチがオフになりかけていた。
隊列はすぐに落ち着き、1コーナーから2コーナーへ。 だが、事件は向こう正面に入ったところで起きた。
先頭を走るコレオシークエンスが、 突然、何かに気づいたように速度を落としたのだ。
コレオシークエンス 「……あれ? もしかして、誰も競りかけてこない?」
エムズビギン 「む? なぜ減速する! まさか、何かの罠か!?」
コレオシークエンス 「いや、誰も来ないなら、別に急ぐ必要なくね? ちょっと休憩~っと」
(しめしめ。 ここで体力温存して、最後にドヤ顔で逃げ切る作戦だ! 天才かオレは!)
なんと、ラップタイムは驚愕の13.0秒! これはもはやレースではない。優雅なジョギングである。
重賞レースでまさかのお昼寝タイム突入に、 後続の馬たちは大混乱に陥った。
後方の馬群が一気に凝縮し、 まるで満員電車のような団子状態に。
「ちょっ、押すなよ! 狭いって!」 「お前が詰めすぎなんだよ! 前見ろ前!」
そんな中、後方集団でひときわ殺気を放つ、 オレンジの帽子がいた。
「なんですってぇーーーっ!? なんで止まってんのよ、アンタたち!」
(信じらんない! まるで牛歩戦術じゃない! こっちは走りに来てるのよ!?)
怒髪天を衝く勢いの、 7番ラフターラインズ(牝3)である。 彼女の辞書に「我慢」という文字はない。
ラフターラインズ 「遅い! 遅すぎるわよ! 男ならシャキッとしなさいよ!」
ゾロアストロ(馬群の中で揉まれながら) 「うっせぇブス! テメェの声が一番デカいんだよ!」
(クソッ。 前後左右が壁だらけで動けねぇ。 コレオの野郎、ふざけたペース作りやがって……!)
エムズビギン(前の急ブレーキに焦りながら) 「ええい、このままでは奴の思うつぼだ! だが、ここで仕掛ければスタミナが……! くっ、どうすれば正解なんだ!」
(ああもう、判断が一瞬遅れる! なんでオレは、いつもこうなんだ……!)
3コーナーを過ぎても、ペースは上がらない。 通過順位は 6‚2(5‚8)(1‚3)4-(7‚9)。
まるで芋洗い状態だ。 このままでは、内側にいる馬は閉じ込められ、 外側の馬は距離ロスを強いられる。 まさに地獄の我慢大会である。
そして迎えた、勝負の4コーナー! ついに痺れを切らしたエムズビギンが動いた!
「もう我慢ならん! コレオシークエンス、覚悟ぉっ!」
(行くぞ! ここで離されたら男が廃る! 全力でねじ伏せてやる!)
エムズビギンが外から並びかけると、 それに呼応して、隣の5番ストームゲイルも上がっていく。 ペースが一気に跳ね上がった!
コレオシークエンス 「げっ、来やがった! ちょ、ちょっと待て! まだ心の準備が!」
エムズビギン 「問答無用! これが正義の鉄槌だ!」
先頭集団が加速する中、 内側で完全に包囲されていたゾロアストロは、 まだ動けずにいた。
ゾロアストロ 「……チッ、外の連中が邪魔で出られねぇ。 だが、焦るなオレ。 焦るとロクなことねぇってのは、 親父との修行で嫌ってほど経験済みだ」
(今は我慢だ。 前のエムズビギンが動けば、 必ず一瞬、内側に隙ができるはず……! そこを狙う!)
一方、後方でブチ切れていたラフターラインズは、 とんでもない行動に出た。
ラフターラインズ 「もうっ! 前がどかないなら、 全部まとめて外から抜き去ってやるわよ!」
(大外ブン回し!? 上等じゃない! あたしの末脚をナメないでよね!)
彼女は馬群の外へと大きく進路を取り、 距離ロス覚悟で、アクセルを全開にした!
さあ、いよいよ直線の攻防だ! 京都名物、長い長い直線が彼らを待ち受ける!
残り400メートル!
先頭のコレオシークエンスは、 道中サボったおかげで体力が有り余っていた。
コレオシークエンス 「ふははは! 見ろ、このみなぎるパワーを! 誰もオレの前は走らせねぇ!」
(よし! このまま内ラチ沿いをキープして逃げ粘る! 勝ったな、ガハハ!)
だが、そこにエムズビギンが襲い掛かる!
エムズビギン 「甘い! 貴様の姑息な逃げなど、 このオレが粉砕してくれるわぁっ!」
(今だ! ここで全てを出し切る! 届け、オレの魂の叫び!)
二頭が馬体を併せて火花を散らす! その後ろで、ストームゲイルは早くも脱落気味だ。
そして、残り300メートルを切ったその瞬間!
前を行くコレオシークエンスとエムズビギンが外によれたことで、 内ラチ沿いに、ほんのわずかな、 人一人が通れるかどうかの狭い隙間 ――ポケットが生まれた!
ゾロアストロの目が、ギラリと光る。
ゾロアストロ 「……見えたっ! そこだぁっ!」
(待ってたぜ、この瞬間をよぉ! 外に出す手間が省けたわ!)
ゾロアストロは躊躇なく、その狭い隙間へ突っ込んでいく!
コレオシークエンス 「なっ!? そこはオレの場所だぞ!?」
ゾロアストロ 「知らねぇよ! どけっ、邪魔だ!」
(狭い? 関係ねぇ! オレが通れば、そこが道になるんだよ!)
まるで物理法則を無視したかのような強引な割り込み! ゾロアストロの闘争心に、火がついた!
しかし、ドラマはまだ終わらない。 大外から、赤いオーラをまとった何かが飛んできていた!
ラフターラインズ 「どきなさいよ、男どもぉぉぉっ! あたしが一番速いのよぉぉぉっ!」
(見てなさい! この異次元の末脚で、 全員まとめてぶった斬ってやるわ!)
上がり3ハロン32.8秒という、 もはや反則級の鬼脚で追い込むラフターラインズ!
残り100メートル!
内から抜け出したゾロアストロ! 中央で粘るエムズビギン! 外から強襲するラフターラインズ!
三頭が完全に横一線に並んだ!
エムズビギン 「負けん! 真正面からの勝負で、オレは勝つ!」
ゾロアストロ 「バーカ! 最後に笑うのはオレだ! 本気出したオレによぉ!」
(オラオラオラァ! この一瞬のギアチェンジに、ついて来れるか!?)
ラフターラインズ 「あんたたちまとめて、 あたしの引き立て役になりなさいっ!」
もはや、意地とプライドだけのぶつかり合い! ゴール板は目前!
誰だ!? 誰が勝ったんだ!?
三頭の鼻先が、 ほぼ同時にゴールラインを通過した!
……。 …………。
写真判定の結果、 電光掲示板の一番上に表示された番号は―― 「1」!
「……チッ、当然だろ。 ペースが遅くて、イライラしたぜ」
勝ったのは、ゾロアストロだった!
わずかアタマ差でエムズビギンを退け、 そのハナ差後にラフターラインズが飛び込んだ、 大激戦を制したのだ。
ゾロアストロ 「ま、オレが本気出せば、こんなもんだ。 道中サボってた連中とは、 格が違うってことを見せてやっただけさ」
(ふぅ……危なかったぜ。 あの狭いとこ割れなきゃ、負けてたかもな。 ま、結果オーライってやつだ)
惜しくも2着に敗れたエムズビギンは、 地面を悔しそうに蹴りつけた。
エムズビギン 「くそっ! またしても……! なぜオレは、あと一歩が届かないんだ! やはり、修行が足りんのか……!」
(あそこで内を空けなければ……。 いや、自分の進路取りが甘かったのか……。 ああもう、反省点が多すぎる!)
そして3着のラフターラインズは、 鼻息も荒く、ゾロアストロに詰め寄った。
ラフターラインズ 「ちょっとアンタ! なんであんな狭いところから出てくんのよ! 危ないじゃない!」
ゾロアストロ 「あぁん? 勝負の世界に、危ないもクソもねぇだろ。 空いてたから通った、それだけだ」
ラフターラインズ 「ほんっと可愛げがない! 次は絶対に負かしてやるから、覚えてなさいよ!」
ゾロアストロ 「へいへい。 ま、せいぜい頑張んな。 オレの背中は遠いぜ?」
こうして、 仁義なきスローペースの戦いは、 性格に難ありだが実力は本物の自信家、 ゾロアストロの勝利で幕を閉じた。
彼らのドタバタ劇は、 次のレースへと続いていく……かもしれない。
(完)
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あらすじ 本作は、第66回きさらぎ賞(GⅢ)を舞台に、競走馬たちを『らんま1/2』のキャラクター性になぞらえて描いた、ドタバタかつ熱量の高いレース実況風ストーリーである。 京都競馬場芝1800m、曇天の下で行われたレースは、表向きは若駒の重賞戦ながら、実態は「仁義なき超スローペース」という異常事態へと突入していく。 主役格は4頭。 目立ちたがりで狡猾な逃げ馬コレオシークエンス(ムース役)、正義感が強く真面目すぎるエムズビギン(良牙役)、短気で攻撃的な牝馬ラフターラインズ(あかね役)、そして圧倒的能力を持ちながらやる気にムラのある1番人気ゾロアストロ(らんま役)である。 スタート直後、コレオシークエンスが勢いよく先頭を奪い、自信満々に逃げを打つが、すぐ後ろには「正々堂々」を重んじるエムズビギンが2番手でピタリとつける。 内枠のゾロアストロは窮屈な位置取りに不満を募らせつつも、まだ本気を出す気配を見せない。 後方には、展開に苛立つラフターラインズが不穏な気配を漂わせている。 レースは向こう正面で大きく動く。 コレオシークエンスが「誰も来ないなら急ぐ必要はない」と判断し、まさかの大減速。 ラップ13秒台という、重賞とは思えない超スローペースを作り出してしまう。 これにより馬群は一気に凝縮し、前も後ろも動けない「満員電車状態」となる。 この異常な展開に、各馬の性格が如実に表れる。 エムズビギンは仕掛けるべきか我慢すべきかで迷い、判断が遅れる自分に苛立つ。 ゾロアストロは包囲されながらも冷静さを保ち、好機を待つ。 ラフターラインズはスローペースに激怒し、「外から全部抜く」という極端な決断を下す。 3コーナーを過ぎても流れは変わらず、我慢比べは限界に達する。 4コーナーでついにエムズビギンが外から仕掛け、ストームゲイルも追随。 ここでようやくレースは一気に加速する。 余力十分だったコレオシークエンスは逃げ粘りを図るが、完全に想定外の展開に慌て始める。 直線に入ると、三者三様の勝負が始まる。 コレオシークエンスは温存した体力で先頭死守を狙い、エムズビギンは正面突破での勝利を目指す。 一方ゾロアストロは、前の2頭が外にヨレた一瞬を見逃さず、内ラチ沿いに生まれた「紙一重の隙間=ポケット」を一気に突き抜ける。 強引とも言える進路取りだが、それこそが彼の勝負根性だった。 さらに大外からは、ラフターラインズが上がり3ハロン32.8秒という異次元の末脚で強襲。 距離ロスをものともせず、怒りを推進力に変えて一気に差を詰める。 残り100m、ゾロアストロ、エムズビギン、ラフターラインズの3頭が横一線。 意地とプライドだけの叩き合いの末、ゴール板をほぼ同時に駆け抜ける。 写真判定の結果、勝者は内から抜けたゾロアストロ。 エムズビギンがアタマ差の2着、そのさらにハナ差でラフターラインズが3着という、極めて僅差の決着となった。 勝ったゾロアストロは相変わらず尊大だが、内心では紙一重の勝利だったことも理解している。 敗れたエムズビギンは己の未熟さを悔い、ラフターラインズは納得いかない様子で次走への闘志を燃やす。 こうして、超スローペースという異常展開の中で、それぞれの性格と戦略が激突した「きさらぎ賞ドタバタ激走録」は幕を閉じる。 本作は、競馬の戦術的妙とキャラクター同士の掛け合いを融合させた、熱くも笑えるレース群像劇として描かれている。
解説+感想めっちゃ面白い! らんま1/2のキャラを完璧に割り当てて、2026年のきさらぎ賞を実況風に再現したこの「ドタバタ激走録」、最高に笑いましたw実際のレース結果と完全に一致してるのがヤバいですよね。 ゾロアストロ(らんま) → 1着(アタマ差勝利! 内から強引に割って入ってのまさに「オレが通れば道になる」スタイル) エムズビギン(良牙) → 2着(アタマ差惜敗、真面目すぎてあと一歩届かない正義の男そのもの) ラフターラインズ(あかね) → 3着(ハナ差! 大外ぶん回しの鬼脚で「男どもまとめてぶった斬るわよ!」が現実になった) コレオシークエンス(ムース) → 4着(クビ差、道中でスローペースにして「ちょっと休憩~」からの粘りも、最後は押し切られちゃった)
レースは本当にスローペースからの団子状態→直線大激戦で、上がり3Fが鬼脚のラフターラインズが32.8秒とか、まさに物語通りの展開でした。 写真判定でゾロアストロが1着って、らんまの「当然だろ」感が完璧にハマってる…!このパロディ、きさらぎ賞の結果が出てから書いたのか、それとも予言だったのか…どっちにしても神がかってますね。
次は共同通信杯か皐月賞で「らんま1/2編 続き」期待しちゃいますよ〜! ゾロアストロの本気モードがクラシックで炸裂するのか、それともラフターラインズの「あたしが一番!」が炸裂するのか…楽しみすぎる!!最高のエンタメをありがとうございました! (完)じゃなくて、(続)でお願いしますw
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