『進撃の蹄――三千メートルの壁を越えて、一番人気の俺が自由を叫んだら隣の重低音(ミカサ)と潔癖(リヴァイ)に削がれそうになった件』(進撃の巨人風)
第壱章【序盤〜向正面】 「突撃の号令! 最内ラチ沿いは檻の味がするらしい」
冷たい風が鼻腔を突き抜ける曇天の阪神競馬場。 ゲートの中で十頭の馬たちが荒い鼻息を吐き出していた。 足元の湿った芝の匂いが、これから始まる長い戦いの予感を煽る。
鉄の扉が弾け飛ぶと同時に、重たい蹄の音が地鳴りのように響き渡った。 最初の二百メートルは十三秒一という、異様なほどの静けさに包まれた立ち上がり。 だが、その静寂を自ら引き裂く狂気の男が先頭に躍り出た。
サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:「全頭、突撃せよ!私の後ろに道はできる!」 9番、牡5。サンライズソレイユが目を血走らせて叫ぶ。 サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:「この瞬間、阪神の地は我々のものだ!心臓を捧げよ!」 後続の動揺などお構いなしに、己の野心を芝に叩きつけるようにハナを奪った。

その後ろで、舌打ちの音が鋭く響いた。 ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「おいジジイ、斜行してんじゃねえ。泥が飛んだろうが」 5番、牡4。ダノンシーマが、内に切れ込んできたダンディズムを冷たい目でにらみつける。 ダンディズム【老人】:「あ?ワシは内側に行きたかったんじゃ!若造が文句を言うな!」 ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「チッ、これだから頭の足りない奴は嫌いなんだ。……削ぐぞ」 ダノンシーマは首の角度を一切変えずに、自身の脚に付着した泥を嫌悪感たっぷりに振り払う。
ダンディズム【老人】:「ヒィッ!わ、ワシはもう後ろに下がるから許してくれぇ!」 ダンディズムは恐れをなして、そそくさと後方へ消えていった。
ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:(こんな汚れた馬場で三千メートルも走るとか、何の罰ゲームだ)
馬群はそのまま一コーナーから二コーナーへと吸い込まれていく。 先頭のサンライズソレイユは十二秒台後半へと巧みにペースを落としていた。
馬群の真ん中、六番手という息の詰まる位置で、暗い炎を宿す瞳があった。 1番、牡5。アドマイヤテラである。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:(狭すぎる。この馬群という檻は……。吐き気がするほど窮屈だ) 四方を他の馬に囲まれ、まるで巨大な壁の中に閉じ込められているかのようだった。 (狭すぎる。この馬群という檻は……。吐き気がするほど窮屈だ) ギリッと奥歯を噛みしめる音が聞こえるほど、首を振って苛立ちを露わにする。
ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「おいクソガキ、無駄な動きをするな。息が上がるぞ」 ダノンシーマが隣から冷徹な声で忠告を飛ばす。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「うるさい!俺を繋ぎ止めておける鎖なんて、この世に存在しないはずだ!」 アドマイヤテラは噛みつくように言い返し、前方のわずかな隙間を睨みつける。 ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「……勝手にしろ。そのクソみたいな猪突猛進がいつかお前の脚を折る」 ダノンシーマはそれ以上相手にせず、完璧なコーナリングの軌道計算に戻った。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「折れても構わない!自由になりたいなら、戦うしかないんだよ!」 アドマイヤテラの体温が急激に上がり、毛皮から白い湯気が立ち上り始める。
そのやり取りを斜め前の四番手から、氷のような瞳で見つめる者がいた。 4番、牝5。アクアヴァーナルは、一切の表情を崩さずに前を走る。 アクアヴァーナル【ミカサ・アッカーマン】:(……風が冷たい。マフラーを、し直せたらいいのに) 意識は先頭の逃げ馬でも、自身の着順でもない。 背後で苛立っているアドマイヤテラの呼吸音だけに全神経を集中させていた。
「ちょっと、近すぎるわよ。もっと離れて走りなさいよ」 隣を走る馬がアクアヴァーナルの放つ異様なプレッシャーに耐えかねて文句を言う。 アクアヴァーナル【ミカサ・アッカーマン】:「邪魔。どいて。私が隣を走ることに、理由は必要ない」 アクアヴァーナルは隣の馬をいないものとして扱い、冷たい殺気だけを周囲に撒き散らした。 「はあ!?何よその態度!ちょっと先行してるからって調子に乗らないで!」 「……世界は、残酷。でも、彼の背中だけは、とても綺麗」 完全に会話が成立していない。 アクアヴァーナルは隣の馬をいないものとして扱い、冷たい殺気だけを周囲に撒き散らした。 文句を言った馬は泡を吹いて後退していった。
向正面に入ると、レースは異様な均等ラップへと突入した。 十二秒三、十二秒二、十二秒二……。 サンライズソレイユが刻む、一秒の狂いもない機械的なペース。 サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:「ハッハッハ!どうした!誰も私について来られないのか!」 サンライズソレイユは泡を飛ばしながら、己の作り出した支配的な空間に酔いしれる。 サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:(理想と現実はいつもズレる。だが、この特攻こそが私の真実だ)
馬群は徐々に息苦しさを増し、後方の馬たちの足取りが重くなり始める。 だが、三コーナーが近づくにつれて、戦場の空気は一変した。 残りの距離が千メートルを切り、各馬の筋肉が限界を告げる悲鳴を上げ始める。
第弐章【3コーナー〜4コーナー】 「心臓を捧げよ! 均一ラップの静寂を切り裂く自由の咆哮」
それまで縦長だった馬群が、磁石に吸い寄せられるように一気に凝縮した。 サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:「来たか……!それでいい!私の策、私の特攻を飲み込んで見せろ!」 サンライズソレイユが血の味のする唾を吐き捨てながら咆哮する。
ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「うるせえぞ、金髪。自分の呼吸音に酔ってんじゃねえ。進路が丸見えだ」 すぐ斜め後ろまで迫ったダノンシーマが、冷酷な目で逃げ馬の背中を睨みつける。 サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:「冷たいことを言うな、最強の兵士よ。この静寂を壊せるのは狂人だけだ!」 サンライズソレイユが不敵な笑みを浮かべて振り返る。
その二頭の間を割るように、内ラチ沿いの極小の隙間へ強引にねじり込む黒い影があった。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「退け。お前らの茶番に付き合う暇はない」 アドマイヤテラだ。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:(俺が見たいのは、その先の……誰もいない景色だ。踏み越えていく) 瞳は完全に常軌を逸し、前方に見える壁の向こう側だけを捉えていた。 (俺が見たいのは、その先の……誰もいない景色だ。踏み越えていく)
ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「……おい、血が上りすぎて周りが見えてねえな。少しは脳みそを冷やせ」 ダノンシーマが舌打ちをして、強引な進路取りをいなす。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「冷やす必要なんてない……!この熱が、俺を進ませるんだ!」 アドマイヤテラは内側の柵に肌が擦れるのも厭わず、さらに姿勢を低くして加速する。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「見てろ、俺がこのレコードの壁をぶち抜く瞬間を!」 「……最後にお前のケツを蹴り上げるのは俺だ。精々、自由にしがみついていろ」 ダノンシーマは静かに重心を落とし、恐るべき末脚を解き放つ準備を整えた。
四コーナーの出口。 外へ膨らもうとする馬群に逆らうように、アドマイヤテラは最内の最短距離をえぐり抜く。 すぐ外には、影のように寄り添うアクアヴァーナル。 さらにその外からは、泥汚れを嫌悪しながらも鋭い殺気を放つダノンシーマ。 先頭で心臓を捧げ続けるサンライズソレイユの背中は、もう目の前だった。
読者「いや、内ラチ沿いスレスレの進路取りエグすぎだろ!そこ壁だぞ!」
熱気と砂埃が渦巻く阪神競馬場の最終コーナー。 限界を超えた命の削り合いが、今まさに幕を開けようとしていた。
遠心力で外へ膨らむ4コーナーの出口。 大歓声が地鳴りのように響く直線の入り口で、 馬群の形が大きく放射状に広がっていく。
第参章【直線〜ゴール】 「駆逐してやる! 最短距離の真実とレコードという名の壁外調査」
サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:「進め!私の屍を越えて、真実の先へ行けぇぇ!」 サンライズソレイユが口から白い泡を吹き飛ばし、 先頭で狂ったように叫び声を上げ続ける。 アクアヴァーナル【ミカサ・アッカーマン】:「ちょっと、飛沫が汚いんだけど。早くどいてよ」 アクアヴァーナルが冷ややかな視線を突き刺す。
 サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:「何を言う!私が作ったこの道こそが我々の希望だ!」 アクアヴァーナル【ミカサ・アッカーマン】:「あなたの希望なんて知らない。彼の道を開けて」 アクアヴァーナルは無表情のまま馬体を寄せ、 強引に逃げ馬の横腹へプレッシャーをかけにいく。 アクアヴァーナル【ミカサ・アッカーマン】:(他馬の呼吸がうるさすぎる。静かに走れないの?) アクアヴァーナルの無機質な殺気に、 サンライズソレイユが思わずたじろぐ。
その外側の攻防を尻目に、 最内ラチ沿いのわずかな隙間。 泥が跳ねる悪路に、躊躇なく飛び込む黒い影があった。
アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「道なんて誰かが作るもんじゃない……俺が奪うんだ!」 アドマイヤテラが、 地面を削り取るような足取りで進出する。 マイネルエンペラー【ライナー】:「おい待て!そこは俺が通るはずの場所だぞ!」 7番、牡6。マイネルエンペラーが悲鳴を上げる。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「なら力ずくで奪い返してみろ!できないなら退け!」 「……やるんだな!?今、ここで!俺は戦士として……」 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「御託はいい!俺の視界から一頭残らず駆逐してやる!」 アドマイヤテラの放つ圧倒的な暴力の気配に、 マイネルエンペラーは恐怖で一瞬だけ腰を引いてしまう。 マイネルエンペラー【ライナー】:(なぜ俺は走っているんだ……?いや、俺はエンペラーだ) 彼は葛藤で顔を歪ませながら、 必死に5着の座にしがみつく。
読者「エンペラーの目標が最初から掲示板死守で草!」
残り400メートルの標識が流れる。 馬場の中央、最も綺麗な芝の上を滑るように走る影。
ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「チッ……どいつもこいつも泥遊びが好きだな」 ダノンシーマが、極端に内側を避けた軌道から追い込む。 ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「その汚え顔で俺の前に立つな。全員まとめて削いでやる」 「邪魔だ若造!年長者に道を譲るという礼儀を知らんのか!」 大外から猛然と突っ込んできたのは、2番、牡8。 シュヴァリエローズが、血走った目で追い上げてくる。 ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「おいジジイ、加齢臭を撒き散らしながら走るな。不愉快だ」 シュヴァリエローズ【熟練兵】:「なんだと!?ワシの末脚はまだまだ現役じゃあ!」 ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「……うるせえ。その無駄な歩法を今すぐやめろ」 ダノンシーマは全く相手にせず、 冷徹な目で先頭との距離を測る。 ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:(結果は誰にも分からなかった。だが、俺はこいつらを仕留める)
残り200メートル。 内ラチ沿いを突き抜けたアドマイヤテラの脚色が、 さらに一段階上の恐るべき速度へと跳ね上がった。 11秒4という、長距離の終盤とは思えない爆発力。
アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「まだだ。まだ足りない。俺がこの脚を止めるのは……」 アドマイヤテラの体から、尋常ではない量の湯気が立ち上る。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「前を走る奴らを……一頭残らず駆逐した後だぁぁ!」 彼の咆哮が、阪神競馬場の重たい空気を真っ二つに引き裂いた。
サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:「信じられん……私の特攻が、こうもあっさりと……」 サンライズソレイユの脚が、ついに限界を迎えてもつれる。 サンライズソレイユ【エルヴィン・スミス】:「まだだ……まだ死ぬには早すぎる。このリードという夢を……」 そのままズルズルと後退し、 彼は馬群の中へと完全に沈んでいった。
読者「エルヴィン団長、見事な散り際すぎるだろ!」
アクアヴァーナル【ミカサ・アッカーマン】:「……やっぱり、あなたの走る姿は誰よりも自由」 アクアヴァーナルが、うっとりとした目でその背中を追う。 55キロの軽い身体を活かし、他馬の追撃を許さない。
ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「おいエレン!そんな泥まみれでゴールする気か!」 ダノンシーマが外からカミソリのような脚で迫り来る。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「泥だろうが何だろうが関係ない!俺は壁を越えるんだ!」 「……勝手にしろ。後で俺が消毒液のプールに沈めてやる」 ダノンシーマの上がり34秒7の切れ味も、 内の最短距離を駆け抜けた圧倒的な熱量には届かない。

読者「消毒液のプールは完全にただの拷問なんだよなぁ」
アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「……勝った。俺は……」 アドマイヤテラが、後続の影を完全に振り切り、 3分2秒0という歴史的なレコードの壁を打ち砕いた。 歓声が爆発し、ターフに巨大な地鳴りが巻き起こる。
3馬身遅れて、静かにアクアヴァーナルが2着で滑り込む。 さらに1馬身と4分の1遅れて、ダノンシーマが3着。 大外からはシュヴァリエローズが4着へと食い込み、 マイネルエンペラーは悲痛な顔のまま5着を死守した。
ゴール板を過ぎた後、アドマイヤテラはゆっくりと歩みを止める。 荒ぶる呼吸を整えながら、暮れゆく曇天の空を見上げた。 アドマイヤテラ【エレン・イェーガー】:「……俺は……自由だ」 彼を繋ぎ止める鎖は、もはやこの競馬場のどこにも存在しなかった。
少し離れた場所では、3番、牡5。 ファミリータイムが、口から魂を抜け出させて倒れ込んでいた。 ファミリータイム【脱落者】:「序盤から飛ばしすぎた……もう一歩も動けないよ……」 その横を、泥を払いながらダノンシーマが冷たく通り過ぎる。 ダノンシーマ【リヴァイ・アッカーマン】:「チッ……泥が飛んできた。最悪だ。徹底的に磨き上げさせなきゃな」
激闘の爪痕が残る、3000メートルの長い旅の終わり。 勝者の背中から立ち上る白い巨人のような蒸気だけが、 いつまでも阪神の冷たい空に溶けずに漂い続けていた。
読者「結局エレンが全部ぶっ壊して終わった件について!」
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