第1章 「冒険の始まりはゲートの狭さから! ~お宝(一着賞金)を狙う女王と、計算高いROOMの主~」
中山の芝の匂いが、春のぬるい風に乗って流れ込む。 青さと土の湿り気が混ざった空気が、鼻腔の奥をかすかに刺激した。
ギュウギュウに押し込められた鉄の箱――ゲートの中。 15番、牡4歳のマイユニバースは、退屈そうに大きなあくびをひとつ。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「おい、このゲートってやつ、狭すぎだろ。腹減ってきたぞ。さっさと開けろよ!」
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:(誰か肉持ってねェのか? ……芝にマヨネーズかけたら、いけるか……?)
「……騒ぐな。俺の計算では、あと数秒で開く。無駄な消耗は避けろ」
隣枠から、温度のない声が差し込む。 7番、牡5歳――コスモキュランダ。 その視線は、すでにレース全体を見通しているかのように冷ややかだった。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「体力ぅ? んなもん走りゃ、いくらでも湧いてくるだろ! ――お前、つまんねェ顔してんな!」
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「チッ……。貴様のような無鉄砲が、一番ペースを乱す。俺に近づくな」
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「なんだと!? いいぜ――開いた瞬間、俺が一番に飛び出してやる!」
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「好きにしろ。俺は俺の『ROOM』を構築するだけだ」
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:(馬鹿に付き合う気はない。――完璧なプランに、イレギュラーは不要だ)
ガシャンッ――!
金属音が炸裂し、視界が一気に弾け飛ぶ。
二千五百メートルの冒険が、土煙とともに幕を開けた。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「一番前が――一番自由だぁぁっ!」
弾丸のように飛び出すマイユニバース。 だが次の瞬間、目前に迫る他馬の影。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「おっと――危ねェ!」
鼻先がかすめる寸前で、ぐいと首を引く。
一瞬の混乱。 そして――
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「……ま、いっか! 後ろからのんびり行こうぜ!」
力みはない。焦りもない。 ただ、風の中へと身を預ける。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:(“一番前”は、最後に取ればいいよな――今は、この風が気持ちいい)
先頭を奪い取ったのは、内枠から弾けるように飛び出した――3番、牝5歳・クリスマスパレード。
クリスマスパレード【ナミ】:「逃がさないわよ! この1着賞金は、全部――私のものなんだから!」
クリスマスパレード【ナミ】:(ウフフ……六千七百万円。これで、美味しいみかんが山ほど買えるわ……!)
黄金色のたてがみを翻し、クリスマスパレードはリズムよく刻む。 軽やかに、だが確実に――後続を引き離す“自分だけのラップ”。
譲らない。譲る気もない。 その背中はすでに、“追う側”に選択肢を与えていなかった。
その直後。 絶好の四番手へ、音もなく滑り込む影がひとつ。
コスモキュランダ。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「……よし。ここまでは想定通りだ。前のペースは――やや速いが、許容範囲内」
視線は前方に固定されたまま、わずかに細められる。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:(あの牝馬……金に目が眩んで飛ばしすぎだ。だが――悪くない)
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:(風除けとして使うには、ちょうどいい“盾”だ)
1コーナーから、2コーナーへ。
隊列は大きく崩れない。 規則正しく刻まれる蹄の音だけが、芝に乾いたリズムを残していく。
流れは落ち着いている。 ――だが、その内側では、各馬が牙を研いでいた。
中団。 優雅に流れへ身を預けているのは、1番、牡4歳・ミクニインスパイア。
ミクニインスパイア【サンジ】:「クソ馬場の土は、俺の毛艶を汚す……。外から、スマートに行かせてもらうぜ」
脚の運びはしなやかで、無駄がない。 泥を避けるように、わずかに外へと進路を取る。
ミクニインスパイア【サンジ】:(レディたちの声援が聞こえる……ここはクールに、脚を溜める場面だ)
気取ったようでいて、その実、計算された余裕。 一切の乱れなく、機を待つ。
――その後方。
ぽつんと取り残された最後方、マイユニバース。 その隣に並ぶ影がひとつ。
14番、牡7歳・ローシャムパーク。
ローシャムパーク【ロロノア・ゾロ】:「……おい。今のコーナー、右だったか? 左だったか……?」
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「ん? 右だろ! お前、こんな丸いところで迷子になるのか!?」
ローシャムパーク【ロロノア・ゾロ】:「うるせェ! 背中の傷は名誉の負傷だ。道を間違えたわけじゃねェ!」
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「背中じゃなくて、後ろの景色だろ! しししっ、変な奴だな!」
ローシャムパーク【ロロノア・ゾロ】:「……斬るぞ、お前。俺はただ――大外からまとめて“撫で斬る”準備をしてるだけだ」
声は低く、ぶっきらぼう。 だが、その内側にあるのは、揺るがない闘志。
ローシャムパーク【ロロノア・ゾロ】:(……四本の脚が重い。いや、違う――これは修業だ。修業が、足りねェだけだ)
沈黙の奥で、ただ静かに牙を研ぐ。
向正面に入った瞬間、風向きが変わる。
直線とは違う、横から叩きつけるような風。 その流れの中で――隊列に、わずかな“歪み”が生まれた。
実質7ハロン目。 電光掲示板に刻まれたラップは――「13.0」。
明らかな、緩み。
その瞬間だった。
先頭を行くクリスマスパレードの脚が、 ほんの一瞬――“止まった”ように見えた。
クリスマスパレード【ナミ】:「あぁもう……脚が棒みたい……。ちょっとアンタたち、空気読んでペース落としなさいよ!」
たてがみを揺らしながら、不満を吐き出す。
クリスマスパレード【ナミ】:(ここで息を入れないと……最後のお宝まで、体力が持たないじゃない!)
自ら緩めた流れ。 だが、それは――
後続にとっての“合図”だった。
シャイニングソード【フランキー】:「アゥ! なんだこの、トロっちまったペースはァ!」
後方、十二番手。 10番、牡5歳・シャイニングソードが吠える。
シャイニングソード【フランキー】:「今週の俺の馬体は……“スーパー”だぜ! こんな所で燻ってる場合じゃねェ!」
シャイニングソード【フランキー】:(ド派手にブチ抜く! 重賞の舞台こそ――俺のドックだ!)
バキバキ、と筋肉が軋む音すら響く。 その巨体が、大外へ。
――次の瞬間。
一気に、押し上げる。
流れを無視した、強引すぎる加速。 重戦車のような脚取りが、隊列の外側を喰い荒らしていく。
シャイニングソード【フランキー】:「おいおい、芝のメンテナンスはどうなってんだ? 俺のパワーで焦げちまうぜ!」
3コーナー手前。
それは、まるで海王類が海面を割って浮上するかのような進出だった。
外から――来る。
シャイニングソード。
平穏だった隊列が、次の瞬間には崩壊する。 秩序は弾け、流れは引き裂かれた。
――完全な、カオス。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「……なっ!? あの外車……計算外の加速をしやがる! 鬱陶しい!」 コスモキュランダの瞳に、初めて明確な“焦り”が走る。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:(プランが崩れる……。ここで動けば、後で脚が上がるぞ……! 落ち着け、まだだ……!)
だが、外から押し寄せる圧は、そんな猶予すら許さない。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「おい、前が壁になる――俺の『ROOM』を乱すな!」
シャイニングソード【フランキー】:「スーパーな俺の前に、壁なんてねェんだよ! ――どきな、優等生!」
怒号と共に、さらに加速。
力でねじ伏せるような進撃が、進路そのものを“奪い取る”。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「チッ……やはり力任せのバカは手に負えない。だが――俺は、ここを死守する」
理性で押さえ込もうとする判断。 だが、状況はそれを嘲笑うかのように荒れていく。
その最前線。
猛烈な風圧に晒されたクリスマスパレードが、 ズルズルと後退を始める。
クリスマスパレード【ナミ】:「ちょっと! 泥が飛んでくるじゃない! 私の美脚が台無しよ!」
悲鳴にも似た抗議。 だが、その声は、もう流れには届かない。
クリスマスパレード【ナミ】:(嘘でしょ……!? 私の賞金が……逃げていくぅぅっ!)
逃げていたはずの背中が、今は追われる側へと変わっていた。
一方――
そのカオスを、遥か後方から見つめていたマイユニバースが、 鼻息を荒く鳴らし、ニヤリと口元を歪める。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「ししし……! なんだか前の方、面白ェことになってきたな!」
風の流れが変わっている。 乱れた隊列。空いた進路。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:(みんな慌ててやがる……いいぞ。俺の脚が、うずいてきた!)
眠っていた“何か”が、目を覚ます。
ローシャムパーク【ロロノア・ゾロ】:「……喧嘩なら、レースの後にしろ。だが――道は、空いたな」
隣を並走するローシャムパークも、低く呟く。
視線はすでに前方。 混乱の中に、“斬るべき線”を見据えている。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「行くぞ、迷子野郎! ここからが俺たちの冒険だ!」
ローシャムパーク【ロロノア・ゾロ】:「誰が迷子だ! 俺の行く道は――俺が決める……!」
エヒト【ブルック】:「ヨホホホ! 私も背骨が疼いてきましたよ! ……あ、馬にも背骨はありますけどね!」
軽やかな笑い声とともに、4番、牡9歳・エヒトがじわりと進出する。
年齢を感じさせない、しなやかなステップ。 その一歩一歩が、確実に前との差を詰めていく。
混沌は、もはや止まらない。
中山の短い直線。 そして、その先に待つ急坂。
各馬の思惑と欲望が、激しくぶつかり合う中――
勝負の第4コーナーが、すぐそこまで迫っていた。
第2章 「計算式をぶち壊せ! ~三刀流の斬り込みと、坂の上で笑うゴム鞠(マイユニバース)の覇道~」
第4コーナーが迫る。 中山の芝が、軋むような悲鳴を上げていた。
先頭―― シャイニングソード。
その蹄が、力任せに土塊を蹴り上げる。 だが、その一歩一歩は、わずかに鈍り始めていた。
シャイニングソード【フランキー】:「アゥ! 俺のスーパーな大胸筋が……悲鳴を上げてるぜ!」
息は荒く、熱を帯びる。
シャイニングソード【フランキー】:(エネルギー切れだ……。美味いコーラ……いや、水だ……水はどこだ!)
全身を覆う熱気と汗の匂いが、むせ返るように立ち込める。
その背後―― ピタリと張り付く影がひとつ。
コスモキュランダ。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「おい、ポンコツ。さっさと道を空けろ。計算外のゴミはいらない」
声は冷たい。だが、その奥に、わずかな焦燥が滲む。
シャイニングソード【フランキー】:「ポンコツだとォ!? 俺の馬体は芸術だ! どくのはテメェだ、優等生!」
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「……チッ。無駄な筋肉が邪魔だと言っている。分解してやろうか」
シャイニングソード【フランキー】:「やってみろよ! 芝のメンテナンスが悪いから、滑るだけだぜ!」
噛み合わない応酬。 だが、その実――どちらも余裕はない。
シャイニングソード【フランキー】:(クソッ……脚が重い。もっとパンパンに張ってなきゃ、ノれねェ……)
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:(ここで仕掛けるか……? いや、まだだ……だが――)
コスモキュランダの額に、冷たい汗が滲む。 ギリッ、と奥歯を噛み締める音が、かすかに響いた。
崩れかけた先頭。 それでもなお、譲れない意地がぶつかり合う。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「……あの先頭の馬、計算外の加速をしやがる。うるさいし、鬱陶しい」 コスモキュランダの視界は、完全に塞がれていた。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:(囲まれるのは計算内……だが、この圧は――気分が悪い)
前は壁。横も壁。 『ROOM』を展開するための“余白”が、どこにもない。
中山名物の急坂が、脚の奥からじわじわと力を削り取っていく。
――その時。
中団から、ひとつの影が静かに動いた。
ミクニインスパイア。
泥はねを嫌い、わずかに外へ。 綺麗な芝だけを選ぶように、滑るようなステップで進路を取る。
ミクニインスパイア【サンジ】:「レディたちの声援が聞こえる……なら、無様な走りは見せられねェな」
無駄のない脚運び。 気品すら感じさせる加速体勢。
ミクニインスパイア【サンジ】:(中山の急坂だと……? 膝に優しくないコースだぜ、まったく)
ギアをひとつ、上げる――
その瞬間。
真横から、鋭い“気配”が差し込んだ。
ローシャムパーク。
ローシャムパーク【ロロノア・ゾロ】:「そこをどけ、エロガッパ。俺が先に行く」
斬り込むように、強引に並びかける。
ミクニインスパイア【サンジ】:「あァ!? 誰がエロガッパだ、方向音痴の緑マリモ! 俺の毛艶を汚すな!」
ローシャムパーク【ロロノア・ゾロ】:「……誰がマリモだ。斬るぞ。俺の行く道は――俺が決める」
無駄な動きはない。 ただ、一直線に“前”を貫く。 「上等だ! スマートな脚捌きってやつを、その節穴に焼き付けな!」
ミクニインスパイア【サンジ】:(この野郎……リズムもクソもねェ走りしやがって……!)
美と剛。 相反する二つの走りが、真正面から衝突する。
火花を散らしながら、二頭は一気に前の集団へと襲いかかった。
直線へ向く――勝負所。
大歓声が、地鳴りのように押し寄せる。 空気が震え、その振動が肌をびりびりと打った。
だが――
その熱の中心は、先頭争いではない。
はるか後方。 大外――最も遠く、最も不利な軌道。
砂煙を引き裂きながら、 ただ一頭だけ、“次元の違う速度”で迫る影。
マイユニバース。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「ししし……! あのアールの向こう、面白ェもんがありそうだな!」
風を喰らい、さらに加速する。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:(一番前が――一番自由だ! あのゴール板ってやつ、ぶっ壊してやる!)
常識外れの、大外一気。
距離ロス? 隊列? 展開? ――そんなものは、最初から存在しない。
ただ前へ。 ただ自由へ。
ゴム鞠のように弾みながら、 すべてを置き去りにしていく。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「……な、なんだあのバカは!? あの位置から届くわけがない!」 コスモキュランダの瞳が、かつてなく見開かれる。 「計算なんて知るか! 俺の脚が――“あそこまで行きたい”って言ってんだ!」
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:(計算なんて知るか! 俺の脚が――“あそこまで行きたい”って言ってんだ!)
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「……ふざけるな。こんな無茶苦茶な法則……俺の『ROOM』では認めない!」
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「ししし! お前の部屋、狭苦しくてつまんねェぞ!」
言葉すら、追いつかない。
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:「……チッ。やはりお前は、俺の理解を超えた――大馬鹿野郎だ」
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:(吐き気がする……。こんな理不尽、あり得ない。だが――)
コスモキュランダ【トラファルガー・ロー】:(それでも、負けるつもりはない)
完璧だったはずの計算式が、 圧倒的な“自由”の前に、音を立てて崩壊していく。
その余波は、後続にも及ぶ。
エヒト【ブルック】:「ヨホホホ! この坂、心臓が止まりそうです! ――あ、馬だから動いてますけどね!」
軽やかな笑い声。 だが、その脚は確実に伸びている。 エヒトが、カタカタと関節を鳴らしながら、 その猛烈な風圧に“乗る”ようにして追いすがる。
エヒト【ブルック】:(最近の若馬は元気で困ります……。私の骨身にも応えるスピードですよ)
止まらない加速。 止まれない流れ。
直線は、すでに“決壊”していた。
残り200メートル。
マイユニバースの豪脚が、 ついに――先頭を捉えた。
必死に粘るシャイニングソード。 だが、その背に、影が覆いかぶさる。
シャイニングソード【フランキー】:「アゥ! 俺のスーパーな走りが……! ドックに戻してくれェ!」
次の瞬間――
飲み込まれた。
弾き飛ばすように交わし、 そのまま前へと突き抜ける。
そして。
もがくコスモキュランダの横を、 暴風のように駆け抜けていく。
「――ッ!?」
声にならない。
(速すぎる……いや、違う……)
(あれは――“自由”そのものだ……!)
積み上げてきた計算が、意味を失う。 ただ、置き去りにされていく。
その後方。
ミクニインスパイアとローシャムパークが、 意地と意地をぶつけ合う。
ミクニインスパイア【サンジ】:「クソ馬場の土は俺のタキシード……いや、毛艶を汚す! 優雅に差すぜ!」
ローシャムパーク【ロロノア・ゾロ】:「邪魔だ! 三頭並びなら――真ん中を斬るのが道理だ……!」
鋭い脚捌き。 無骨な斬り込み。
互いに一歩も引かない。
――だが。
どんなに研ぎ澄まされた技も、 どんなに磨き上げた美も、
あの背中には――届かない。
最後方。 どん尻から、すべてを飲み込むように叩き出された、上がり35.0。
常識外れの、鬼脚。
差は、もう埋まらない。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:「ゴールまで一番に駆け抜けりゃ――俺は、この芝の王様だ!」
弾むような笑い声。
マイユニバース【モンキー・D・ルフィ】:(腹減ったぁぁ! ゴールしたら、山ほどの肉が待ってるんだよな!)
マイユニバースは満面の笑みのまま、 誰よりも早く――ゴール板を駆け抜けた。
突き抜けるような勝利。
1馬身半差。 その後ろで、ミクニインスパイアが優雅に息を整え、2着で入線する。
さらにクビ差。 ローシャムパークは最後まで首を下げず、無念の3着。
エヒト【ブルック】:「ヨホホホ! カルシウムをください!」
エヒトが軽やかな声を響かせながら、4着へと飛び込んだ。
――歓声。
スタンドが揺れる。 熱気が、空へと噴き上がる。
その中で。
ひときわ大きな“悲鳴”が、響いた。
クリスマスパレード【ナミ】:「ちょっとぉ! アンタたち、私の賞金返しなさいよぉぉっ!」
クリスマスパレード【ナミ】:(あぁもう……脚が棒みたい……! 私の美脚が台無しじゃないの!)
遥か後方。
クリスマスパレードが、涙目のまま大差の最下位でゴールする。
誰もが限界まで走り切った、その先で――
中山の空に、新しい風が吹いた。
常識では測れない、 ただひたすらに自由な風が。
高らかに、駆け抜けていった。
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