第一章;【閃光と絶剣、そして乙女たちのターフ】
初夏の太陽が、東京競馬場の緑のターフをジリジリと焦がしていく。 風が運ぶ青草の匂いに混じって、ゲート裏には刺すような緊張が満ちていた。 張り詰めた空気の中、システムに管理された無機質なゲートの檻で、乙女たちの瞳は真っ直ぐに千六百メートルの彼方(ゴール)を見据えていた。
エリカエクスプレス【ユウキ】:「あははっ! 先頭って風が最高に気持ちいいね! 誰か私に追いつけるかな!?」 4番、エリカエクスプレス(ユウキ)が、ゲートの中で限界のAGI(敏捷性)を爆発させるように弾む前掻きをした。
カムニャック【アリス】:「少しは静かにしなさい。公理教会が定めた神聖な発走の規律が乱れるではありませんか」 8番、カムニャック(アリス)が、黄金のたてがみを揺らして毅然と言い放つ。
エリカエクスプレス【ユウキ】:「えーっ? だってこれから真剣勝負だよ? もっと楽しまなきゃ損じゃない!」 カムニャック【アリス】:「楽しむなどと不純な! その軽薄な脚並み、整合騎士である私が正してあげましょう!」
隣の枠から飛んでくる言い争いに耳を塞ぐように、豊満にして雄大な馬体が窮屈そうによじれる。
クイーンズウォーク【リーファ】:「うぅっ、このゲート狭すぎない!? 私の『立派な部位(ステータス)』が圧迫されてるんだけど!」 7番、クイーンズウォーク(リーファ)が、鼻息を荒くして隣の枠を小突いた。
エンブロイダリー【アスナ】:「あなたが横に大きすぎるのよ。私の綺麗な勝負服に泥をつけないでよね」 12番、エンブロイダリー(アスナ)が、完璧に手入れされた自身の毛並みを気にして睨む。
クイーンズウォーク【リーファ】:「大きいんじゃないわよ! これは他を圧倒するSTR(筋力)の源なんだから!」 エンブロイダリー【アスナ】:「ただの重量オーバーでしょ。直線でバテて私の進路(ライン)を塞いだら許さないわよ。――スイッチ、遅れちゃうじゃない」
火花を散らす前衛陣の喧騒を、遥か外側の枠から冷徹なスコープ越しの瞳が見つめていた。
ココナッツブラウン【シノン】:「……ターゲット・イン・サイト。風速、湿度、芝の抵抗、すべて計算終了よ」 9番、ココナッツブラウン(シノン)が、耳を伏せて周囲の雑音(チャット)を遮断する。 ココナッツブラウン【シノン】:(他馬のペースには絶対に巻き込まれない。私の有効射程(レンジ)に入るまで、静かに息を潜めるだけ――)
ガシャンッ! けたたましい金属音と共にゲートが一斉に開く。 乾いた芝を削り取る激しい蹄の音が、地鳴りのような重低音となって戦域(ターフ)へ響き渡る。
最初の二ハロン、刻まれた時計は一二秒四。 エリカエクスプレス【ユウキ】:「いくよっ! 一番前の景色は誰にも渡さないんだから!」 エリカエクスプレス(ユウキ)が天真爛漫な笑い声を上げ、風を切って先頭へ飛び出す。 後続馬たちが放つ殺気(ヘイト)のプレッシャーなど、彼女の辞書には最初から存在しないかのようだった。
だが、本当の狂気は次の一完歩だった。 一気にラップが跳ね上がり、一ハロン一一秒〇という狂気的な急加速(アクセラレーション)。 エンブロイダリー【アスナ】:(いきなりこの急加速……。流石に無茶なペースだけど、私のスタミナ・ゲージは絶対に崩れないわ) エンブロイダリー(アスナ)は内心でその速度に驚きつつも、涼しい顔で前の馬群を遮蔽物(シールド)にしていた。
エンブロイダリー【アスナ】:(完璧な位置取りだわ。 前の馬が風を裂く。 空気抵抗が、驚くほど軽い。) 彼女の澄んだ瞳は、六番手という絶好のポジションから、先頭を行く絶剣の背中を正確にロックオンしている。 エンブロイダリー【アスナ】:(直線の仕掛け(スイッチ)のタイミングは絶対に誰にも譲らない。――そこで一気に、細剣(末脚)で斬り伏せるわ)
向正面に入ると、狂気じみた流れがようやく一息ついた。ラップが一一秒二、一一秒三と落ち着きを見せ始める。 カムニャック【アリス】:(ペースが緩みましたね。ここで息を入れ、直線の神聖術(末脚)の撃ち合いに備えましょう) カムニャック(アリス)が美しく耳を立てて前方の気配を読んだ直後、隣のレーンから不格好な音が鳴り響いた。
クイーンズウォーク【リーファ】:「はぁっ……はぁっ……ちょっと、ペース速すぎないっ!?」 中団八番手付近で、クイーンズウォーク(リーファ)が荒い息を吐きながら、544キロの雄大な馬体を左右に揺らす。 クイーンズウォーク【リーファ】:「このままじゃ、胸……じゃなくて! 馬体の前面(フロント)に風が当たりすぎて、空気抵抗(ペナルティ)で失速しちゃうよぉっ!」
その横を、黄金の流星のごとく涼やかな足取りでカムニャックが並びかけた。彼女の、まるで金木犀の鎧を纏ったかのような美しい馬体が、太陽の光を反射して眩く輝く。 カムニャック【アリス】:「……見苦しいですね。その不要な装甲(肉)の揺れを気にする暇があるなら、一歩でも前に脚を出しなさい」 クイーンズウォーク【リーファ】:「……不要な装甲!? これはSTR(筋力)の塊なのっ! あんたみたいな、スレンダーなだけの騎士にはこの良さがわかんないのよ!」
カムニャックの走行(ピッチ)が一瞬、ピタリと止まる。 黄金の瞳がスッと細められ、蹄鉄がカチンと冷たい火花(殺気)を散らした。 カムニャック【アリス】:「……今、なんと? 私のこの天界の洗練された無駄のない流線型(プロポーション)を捕まえて……?」 クイーンズウォーク【リーファ】:「やれるもんならやってみなよっ! 緑の風(シルフィード)の魔力で、まとめて吹き飛ばしてやるから!」 カムニャック【アリス】:「いいでしょう。その不敬な口、直線の末脚で永遠に塞いで差し上げます。――リリース・リコレクション(記憶解放)です!」
二頭の諍いによって激しく巻き上がる泥を避けながら、前方のエンブロイダリー(アスナ)が小さく舌打ちをした。 エンブロイダリー【アスナ】:「ちょっと、後ろで暴れないでよ! 丁寧に手入れした私の勝負服(毛並み)が汚れるじゃない!」 エンブロイダリー【アスナ】:(もう、誰よこんなに泥(デバフ)を飛ばしてきたのは! 絶対に許さないんだから……っ!) 彼女の内に秘められた苛立ちが、少しずつ「バーサクヒーラー」の紅い炎となって燻り始める。
三頭の熾烈な鍔迫り合いの遥か後方、十二番手。 舞い上がる土埃の死角(スモーク)の中、微動だにせず自身の心拍数を落としていくココナッツブラウン(シノン)の姿があった。 ココナッツブラウン【シノン】:(前の連中、あんな所でチャットを荒らして体力を浪費するなんて。本当にバカな的(ターゲット)たちね) 彼女の呼吸は一定のリズムを刻み、ライフルの冷たい銃身(脚)を研ぎ澄ましなから、ただ獲物が疲弊するのを待っている。
レースはいよいよ第三コーナーから、運命を決める最終コーナーへ突入する。 先頭を爆走するエリカエクスプレス(ユウキ)の耳が、後方から迫る無数の足音を拾ってピクンと動いた。 エリカエクスプレス【ユウキ】:(少しAGI(速度)に全振りしすぎたかな? 後ろからのヘイト(殺気)がチリチリ伝わってくるよ) だが、彼女は振り返りざまに不敵な笑みを浮かべる。 エリカエクスプレス【ユウキ】:「あははっ! みんどうしたの? もっと本気で来ないと、このレースあっさり終わっちゃうよ?」
その背後、馬群の中団ではクイーンズウォーク(リーファ)が十番手付近へとやや後退し、もがいていた。 クイーンズウォーク【リーファ】:(ちょっと、周りのオブジェクト(他馬)が多くて動きづらいよ! 大外の脱出ルート(クリアライン)はちゃんと開いてるの!?) 彼女は焦りから、544キロの強烈な肉体(フィジカル)をぶつけるようにして、外への進路を物理的にこじ開けようとする。
その隊列の乱れ(システムの隙)を冷静に見極めながら、エンブロイダリー(アスナ)が滑るようにポジションを上げた。六番手から四番手へ。一切の無駄がない、洗練された最短の軌跡(スラッシュ・ライン)。 エンブロイダリー【アスナ】:(よし、完全に射程圏内よ。手応え(シンクロ率)も十分、いつでも斬り込めるわ) エンブロイダリー【アスナ】:「私が道を拓くわ! みんな、私の背中(ライン)についてきて!」 その声だけで、馬群が割れた。
エンブロイダリー【アスナ】:「ふん、その余裕もここまでよ。私の『閃光』のスピードから逃げられると思わないことね」 エリカエクスプレス【ユウキ】:「最高っ! やっぱりこうじゃなきゃ! もっと私と『真剣勝負』しよっ!」
第四コーナーのカーブが終わりを告げる。 目の前に広がったのは、白く輝く陽光の下に牙を剥く、東京競馬場が誇る五二五メートルの絶望的な直線(ファイナル・ステージ)。 美しき乙女たちの、すべてを懸けた一撃必殺の剣戟(ラスト・バトル)が、今まさに幕を開けようとしていた。
逃げるエリカエクスプレス(ユウキ)が、嬉々としてターフを蹴り上げる。 エリカエクスプレス【ユウキ】:「ぶつかるっ!……なーんてね。私のイレギュラーなステップ、見切れる?」 エリカエクスプレス【ユウキ】:(このまま誰も追いつけないスピードで、最後まで駆け抜けちゃうんだから!) 軽快に笑う彼女だが、その脚取りは少しずつ重くなり始めていた。前半からハイペースのヘイトを買い続けた代償が、じわじわとスタミナ・ゲージ(筋肉)を焼き切ろうとしている。
カムニャック【アリス】:「見苦しいステップ(不規則な弾道)ですね。我が剣がまとめて叩き斬って差し上げます」 カムニャック(アリス)が外目からジリジリと進出し、黄金のオーラを放ち始めた。 エリカエクスプレス【ユウキ】:「えーっ、全然見苦しくないもん! 私のオリジナル・ソードスキルだよ!」 エリカエクスプレスが頬を膨らませて言い返すが、カムニャックは冷たく鼻を鳴らす。 カムニャック【アリス】:「強がりは結構。その震える四肢(オブジェクト)が、限界の数値を物語っていますよ」 エリカエクスプレス【ユウキ】:「むきーっ! まだまだ全開(バースト)なんだから、絶対に抜かせないもん!」
二頭のやり取りを置き去りにするように、大外から紅い閃光が弾けた。エンブロイダリー(アスナ)だ。 エンブロイダリー【アスナ】:「速さなら……この直線のスピードなら、絶対に負けないんだからっ!」 エンブロイダリー【アスナ】:(完璧な進路(クリアライン)だわ。ここから一気に、トップスピードへギアを上げる!) 前方の馬群との接触リスク(衝突判定)を完全に排除した、美しいアウトコースへの持ち出し。エンブロイダリーの細くしなやかな脚が、『スター・スプラッシュ』の無数の高速ステップを刻み、ターフを切り裂く。
カムニャック【アリス】:「待ちなさい! この戦域(ターフ)の規律は、私が剣に代わって守ります!」 カムニャックがエンブロイダリーの加速に反応し、『金木犀の剣』の記憶解放(リリース・リコレクション)を完全起動した。上がり三三秒一という、ターフを黄金の粒子で染め上げるような力強い末脚。 カムニャック【アリス】:「咲き誇れ、私の末脚(つるぎ)! 不届きな泥棒猫(アスナ)どもを蹴散らしなさい!」 カムニャック【アリス】:(絶対に首は下げない。どれだけシステム上の限界(苦痛)が来ようとも、優雅なフォームで差し切る!)
熾烈な鍔迫り合いの外側、最もロスの大きい大外ルートから巨大な影が迫る。十番手から絶望的な距離を巻き返してきたクイーンズウォーク(リーファ)だった。 クイーンズウォーク【リーファ】:「風よ、私に力を貸してっ! ここから一気に突き抜けるんだから!」 クイーンズウォーク【リーファ】:(進路は開いてる! あとはこのダイナマイト・ステータス(馬体)で全部撫で斬りよ!) 大外を回る不利(距離ペナルティ)など意に介さない、空気を裂く爆風のような末脚の『シルフィード・トルネード』が荒れ狂う。
クイーンズウォーク【リーファ】:「ちょっと、そこ退いてよ! 私の突進(STRアタック)、喰らったら痛いんだからねっ!」 クイーンズウォークが叫びながら、カムニャックの横へ並びかけようとする。 カムニャック【アリス】:「大外から無駄な挙動(モーション)ですね、図体の大きな重戦車さん」 クイーンズウォーク【リーファ】:「重戦車じゃないもん! 華麗に空を舞う緑の妖精(シルフ)だもん!」 カムニャック【アリス】:「その質量(544キロ)で妖精とは笑わせます。大気の精霊が泣いていますよ」 クイーンズウォーク【リーファ】:「あんたの一言一言が、さっきから本当に腹立つのよ! 絶対に轢き飛ばしてやるーー!」 クイーンズウォークは怒りで感情(エモーション)バーストを起こし、馬体を真っ赤に燃やして、加速をさらにもう一段階引き上げた。
激しい火花が散る馬群の遥か内側。 他馬が外へ外へと進路を取る中、ポツンと最内のグリーンベルト(死角)だけが空いていた。 ココナッツブラウン【シノン】:「そこよ」 十二番手で息を潜めていたココナッツブラウン(シノン)が、氷のような瞳で最短の弾道(インコース)を射抜く。 ココナッツブラウン【シノン】:(最内がガラ空きね。計算通り、ここから全弾必中で貫くわ) 風速、湿度、芝の抵抗。すべてを演算し尽くした上での、メンバー最速の上がり三二秒九。 『ヘカート・アロー』の如き精密な直線一気が、他馬の隙間を光速の弾丸となって突き抜ける。
だが、ターフの最前線(トップ・ランク)でそのすべてを置き去りにした者がいた。 限界を迎えた先頭のエリカエクスプレス(ユウキ)を、紅い勝負服が美しき閃光となって捉える。 第三コーナーから完璧なクリアラインを確保していたエンブロイダリー(アスナ)だ。
エンブロイダリー【アスナ】:「もらったわ! ――スイッチ!!」 エリカエクスプレス【ユウキ】:「ああっ、抜かれた! でも、まだ私のHP(スタミナ)は残ってるんだから!」 エリカエクスプレスも必死の剣戟で食らいつくが、上がり三三秒〇という神速のステップ(スター・スプラッシュ)が無情にも背中を遠ざけていく。 その外から黄金のオーラ(カムニャック)が肉薄し、さらに大外から怒りの剛腕(クイーンズウォーク)が猛然と襲いかかる。
そして――一分三十秒九。 電光掲示板(システム・ウィンドウ)に勝ち時計が刻まれる。 ターフを完全に支配した閃光、エンブロイダリーが、一馬身と四分の一という決定的な着差をつけてトップでゴール板(チェックポイント)を駆け抜けた。
2着に、力尽きるまで追いすがったカムニャック。 3着に、大外からねじ伏せたクイーンズウォーク。 4着には限界を迎えながらも粘り切ったエリカエクスプレスが入り、5着に最速の上がりで最内を射抜いたココナッツブラウン。 美しき乙女たちのすべてを懸けた死闘(レイド・バトル)は、ここに完全決着を迎えたのだった。
【検量室前;ログアウトエリア】
激戦の熱気と、白く立ち上る汗の湯気。 検量室(リザルト画面)の前に帰還した乙女たちは、荒い息を吐きながら、アバターに付着したターフの泥(汚れエフェクト)を落としていた。
エンブロイダリー【アスナ】:「はぁっ……勝った(クリアした)けど、最悪の気分よ」 エンブロイダリー(アスナ)が、自身の美しい脚元をじっと見つめて眉をひそめる。 エンブロイダリー【アスナ】:(泥だらけじゃない……。早くシャワーを浴びて、初期ステータス(完璧な状態)に戻さなきゃ) エンブロイダリー【アスナ】:「ちょっとエリカ! あなたが前でフラフラ走るから、私の勝負服に泥(デバフ)が飛んできたじゃないの!」
エリカエクスプレス【ユウキ】:「えーっ? 私じゃないよ! 後ろでドタバタ走ってた、『当たり判定』の大きい人のせいでしょ!」 エリカエクスプレス(ユウキ)が、クイーンズウォークの方を指差してケラケラと笑う。 エリカエクスプレス【ユウキ】:(あーあ、最後は『閃光』に捕まっちゃった。でも、すっごくワクワクする決闘(デュエル)だったな!)
クイーンズウォーク【リーファ】:「大きい人って言うな! 私は華麗に空を舞う妖精(シルフ)なのっ!」 クイーンズウォーク(リーファ)が怒りのあまり、544キロの重い蹄で地面をドンと叩く。 クイーンズウォーク【リーファ】:(うぅ……大外をブン回して距離ペナルティを喰らったせいで届かなかった……。次こそ、あの頑固な騎士を絶対に轢き飛ばすんだから!)
カムニャック【アリス】:「妖精がそんな重戦車のような地響き(SE)を立てるわけがありません。見苦しいですね」 カムニャック(アリス)が、一切の乱れがない凛とした姿勢で首を横に振った。 カムニャック【アリス】:「エリカエクスプレス、あなたもです。直線でフラついていたあの挙動(モーション)……後でみっちりと、公理教会の説教(お説教タイム)が必要なようですね」 カムニャック【アリス】:(2着……。私の金木犀の剣(矜持)が、あと一歩届きませんでしたか……)
エリカエクスプレス【ユウキ】:「フラついてないもん! 私の予測不能なオリジナル・ステップ(弾道)を見切れなかっただけでしょ!」 エリカエクスプレスが反論するが、カムニャックは冷たい視線で切り捨てる。 カムニャック【アリス】:「見苦しい言い訳です。システムの規律(ルール)を守れない者は、この戦域(ターフ)から退場(デリート)しなさい」 エリカエクスプレス【ユウキ】:「むきーっ! お堅い整合騎士様は、これだからつまんないの!」
そこへ、一番最後に悠然と歩いてきたココナッツブラウン(シノン)が、やれやれとため息をつく。 ココナッツブラウン【シノン】:「……あなたたち、ログアウトエリア(検量室)にまで来て、チャットを荒らさないで。騒がしいわ」 ココナッツブラウン【シノン】:「ちょっと、クイーンズウォーク。直線であなたのオブジェクト(馬体)が無駄に巨大すぎるせいで、私の射線(スコープ)が一瞬塞がったわ。少しはデータを絞り(ダイエットし)なさい」 ココナッツブラウン【シノン】:(チッ……最内から完璧に撃ち抜いたのに、5着。――すぐに、弾道計算のシステム(ログ)をやり直さなきゃ)
クイーンズウォーク【リーファ】:「シノンちゃんまで言うの!? もう絶交だよ! このダイナマイト・ステータスの魅力がわからないなんて!」 クイーンズウォークが涙目で抗議するが、ココナッツブラウンは冷淡に肩をすくめる。 ココナッツブラウン【シノン】:「事実を言ったまでよ。スナイパーにとって、大きすぎる遮蔽物は邪魔なの」 クイーンズウォーク【リーファ】:「もう知らない! 次のステージ(レース)では、緑の風(魔法)で絶対にまとめて吹き飛ばしてやるんだからー!」
泥だらけの勝負服と、絶対に譲れない乙女たちのプライド(ステータス)。 東京競馬場の検量室前には、終わることのない最強ヒロイン(プレイヤー)たちの喧騒(チャット)が、いつまでも熱く響き渡っていたのであった。
🎉 『ヴィクトリアマイル・SAOヒロイン決戦』堂々完結!
|