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神宮寺教授の秘密講義 レパードステークス(前編)
「VOICEVOX: 春日部つむぎ」「VOICEVOX: もち子さん」「VOICEVOX: 満別花丸」「VOICEVOX: 四国めたん」
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第1章『生存時間三分の砂漠と、 パージされる四つの残滓』
窓の外では、 暴力的なまでの真夏の太陽が、 アスファルトを陽炎で歪ませている。
しかし、 鳴門の海を臨むこの研究室は、 壁掛けエアコンが唸りを上げて冷気を吐き出しており、 まるで外界から完全に隔離されたシェルターのようだった。
若葉:「ごふっ、 げほっ……! あかん、 口の中の水分、 全部持っていかれましたわ……」
若葉が、 デスクに突っ伏しながら派手にむせ込んだ。 彼女の手には、 差し入れで貰ったという、 きな粉がたっぷりとまぶされた和風クッキーが握られている。
佐倉:「若葉さん。 クーラーの直風を浴びながら極度に乾燥した粉菓子を早食いすれば、 咽頭部の水分がゼロになるのは自明の理です」
佐倉助手が、 冷たい麦茶の入ったグラスをそっと彼女の前に置きながら、 呆れたように眼鏡のブリッジを押し上げた。
若葉:「だって佐倉助手、 お腹空いとってんもん! せやけど、 このクッキーほんまにパサパサやねん……」
神宮寺:「あら、 ちょうどいいじゃない。 今のあなたの口内環境こそが、 今週私たちが挑む戦場のシミュレーターよ」
神宮寺が、 白衣のポケットに両手を入れたまま、 面白そうに若葉の背中を見下ろした。
若葉:「戦場って……レパードステークスの新潟ダートですか?」
若葉が麦茶を一気に飲み干し、 涙目で振り返る。
神宮寺:「その通りよ」
神宮寺はホワイトボードへと歩み寄り、 真紅のマーカーを手にした。
神宮寺:「今週の舞台は新潟ダート1800メートル。 トラックバイアスの解析データによれば、 当日の含水率は2.0~2.3パーセントという『非常に乾燥したタフな良馬場』であることが確定しているわ 。 若葉の口の中と同じ、 パサパサの砂漠よ」
神宮寺:(第17章でパルパルが迷い込んだ、 生存時間三分と言われる外界の灰色の海……。 極度に乾燥したタフなダートで前傾ラップを刻むサバイバル戦は、 まさにあの死の荒野と同じね。 最後まで脚(スタミナ)を持続できない者は、 容赦なく砂に沈むことになるわ)
神宮寺の脳内に、 過酷な物理演算のロジックが展開されていく。
若葉:「パサパサの砂漠で1800メートル……想像しただけで息が上がりますわ。 でも、 ダート戦やったら前に行ける馬が有利なんちゃいますの?」
神宮寺:「確かに、 バイアスとしては先行から好位がやや評価されているわ 。 けれど、 展開分析では『前有利馬多数』で『やや速め想定』なのよ 。 つまり、 ただ前にいれば勝てるような生ぬるい水槽じゃない。 激しいペース争いの中で、 日本一長い直線をしのぎ切る『圧倒的な持続力』が求められるの」
佐倉がすかさずタイピングを行い、 メインモニターに出走馬12頭のデータを展開した。
佐倉:「ええ。 したがって、 今回の第一スクリーニング(消去)では、 『勝負気配の低さ』『持続力(決め脚)の欠如』『ローテーションの無理』に該当する個体をシステムから排除します」
神宮寺:「まずパージ(消去)すべきは、 人気を吸いながらも明らかに秋を見据えている究極の『叩き台』ね。 ……⑪パイロマンサーよ」
神宮寺のマーカーが、 容赦なくその名前に赤い斜線を引く。
若葉:「ええっ!? パイロマンサーって推定3番人気ですよ? しかも岩田望来騎手やし、 海外帰りやから強いんちゃいますの?」
若葉が特製ノートをめくりながら目を丸くする。
神宮寺:「名前と騎手のブランド(キャッシュ)に騙されないことね。 この馬、 レース間隔が『18週』とダントツの長期休養明けよ 。 その上、 陣営の勝負気配は全頭中最低の『40点』を記録しているわ 」
神宮寺はホワイトボードをコンコンと叩く。
神宮寺:「3歳の夏という時期は、 成長力とコンディションが結果に直結するの。 調教でも力みを見せているこの馬は、 明らかに秋の目標に向けた『実戦勘の回復』が主目的よ 。 仕上がり途上の個体に、 新潟のタフな砂漠を生き抜く資格はないわ」
若葉が 若葉:「なるほどなぁ……」 と納得の声を漏らし、 ノートに『人気馬の叩き台は即消し』と書き込む。
佐倉:「続いて、 能力不足と過酷なローテの二重苦に喘ぐ個体もデリートします」
佐倉がエンターキーを叩き、 ⑦パラダイスフェイスをハイライトした。
若葉:「この子は推定12番人気ですね。 まぁ、 さすがに厳しそうですけど……」
佐倉:「ええ、 客観的データが買い要素を完全に否定しています」
佐倉が淡々と読み上げる。
佐倉:「基本能力値『71.3』はメンバー中最低値です 。 さらに、 北海道からの長距離輸送を伴う中2週の強行軍であり、 勝負気配も45点と下から2番目 。 タフな乾燥ダートにおいて、 このスペックで臨むのは論理的破綻を意味します」
赤い線が、 二頭目の名前を冷酷に切り裂いた。
神宮寺:「さあ、 ここからがCEL(臨界エネルギー負荷)を考慮した本格的なデバッグよ。 新潟の直線を耐え抜く『持続力』が致命的に欠如している二頭を落とすわ」
神宮寺の瞳が、 獲物を狙うように鋭く細められた。
神宮寺:「⑩タガノアバンドーネと、 ①オオツカよ」
若葉:「ちょっと待ってください、 教授。 タガノアバンドーネは前走勝ってますし、 オオツカは最内枠ですやん。 展開的には前に行けるから、 ワンチャンスあるんとちゃいます?」
若葉が食い下がる。
神宮寺:「その『前に行ける』という事実こそが、 彼女たちの首を絞めるトラップなのよ」
神宮寺は不敵に笑う。
神宮寺:「タガノアバンドーネは決め脚(持続力)が『73.5』、 オオツカに至っては全頭中最低クラスの『70.5』しかないの 。 今回は、 オオツカのすぐ外から先行力99.3の④チェリヴェントや、 先行力100の⑨ショウナンバンライといった化け物たちがプレッシャーをかけてくるわ 」
佐倉が眼鏡の奥の瞳を光らせて補足する。
佐倉:「激しい先行争いに巻き込まれながら、 持続力を持たない馬が新潟の直線を迎えた場合、 競走馬の肉体にかかる臨界エネルギー負荷(CEL)は許容値をあっさりと超え、 完全に足が止まります」
若葉:「うわぁ……それって、 第17章でパルパルちゃんが魔獣の群れに追われて、 体力も魔力も底を尽きて倒れ込んだシーンみたいやん……」
若葉が青ざめた顔でクッキーの袋をそっと遠ざけた。
神宮寺:「その通りよ。 彼女たちは、 自らの脚質と展開が噛み合わず、 直線という名の鉄の壁の前で力尽きる運命にあるわ」
キュッ、 と小気味良い音を立てて、 四頭のノイズがホワイトボードから綺麗にパージされた。
神宮寺:「さて。 これで水槽の底に沈む残滓は消え去ったわね。 次は、 さらに過酷な展開フィルターで四頭をパージするわよ。 ……次へ進む準備はいいかしら?」
第2章『無慈悲な鉄の壁と、 振り落とされる四つの命』
グラスの表面に浮かんだ水滴が、 ツーッと滑り落ちてコースターに吸い込まれた。
若葉は三杯目の麦茶を喉に流し込み、 ようやく一息つく。 冷気で満たされた研究室の中は快適だが、 モニターに広がる新潟競馬場のデータを見ているだけで、 口の中の水分が砂に吸い取られるような錯覚に陥っていた。
若葉:「それにしても、 第17章のパルパルちゃん、 ほんまに可哀想でしたわ……」
若葉が特製ノートの端を指で弾きながら、 恨めしそうに唇を尖らせる。
若葉:「四十九人の仲間の命背負って、 ボロボロになってようやく大障壁の門に辿り着いたのに。 中から出てきた兵士に『汚染個体やから消去(パージ)や!』って銃口向けられるなんて、 理不尽の極みちゃいます!?」
佐倉:「水槽の管理者(システム)からすれば、 彼女は外界の猛毒を孕んだイレギュラーなバグです」
佐倉助手が、 キーボードから手を離さずに淡々と応じた。
佐倉:「感情論はともかく、 内側の清浄な環境を守るための防衛機構(ファイアウォール)としては、 至極当然の処理と言えますね」
若葉:「佐倉助手、 アンタいつか血も涙もないAIに乗っ取られますよ……」
神宮寺:「佐倉くんの言う通りよ、 若葉」
神宮寺教授が、 琉球ガラスのマグカップをデスクに置きながら、 美しく冷ややかな笑みを浮かべた。
神宮寺:「システムを維持するためには、 時に冷酷なまでの『絶対の基準(ボーダー)』が必要になる。 パルパルに銃口を向けた鉄の壁のようにね。 ……そして、 私たちの予想システムも同じように無慈悲よ。 基準を満たさない個体は、 新潟の砂漠で容赦なく撃ち落とすわ」
神宮寺:(第17章の兵士たちがパルパルに向けた銃口……。 無慈悲に見えるけれど、 システムを守るためには情を挟んではいけないのよ。 この過酷なレパードステークスにおいても、 能力と適性の基準を満たさない者は、 必ず直線で力尽きるわ)
神宮寺はホワイトボードの前に立つと、 生き残っている八頭のリストから、 迷いなく一本の赤い線を引いた。
神宮寺:「第二段階のパージを開始するわ。 まずは【⑧ テンカムテキ】よ」
若葉:「テンカムテキちゃんですか。 前走負けてますけど、 今回は新騎手で巻き返してきそうな気もしますやん?」
若葉が首を傾げる。
神宮寺:「残念ながら、 彼には巻き返すための『武器』がないの」
神宮寺がマーカーの先でホワイトボードを叩く。
神宮寺:「陣営の勝負気配は55点の中気配。 新騎手との連携は図られているけれど、 それだけよ。 最大のエラーは、 新潟の直線で最も重要な決め脚が『71.3』と著しく低いこと」
佐倉がすかさずサブモニターへグラフを展開する。
佐倉:「展開分析において、 彼の末脚力は『2』という低評価です。 上位勢が直線で一気にトップスピードへ加速するサバイバル戦において、 この数値では物理的に追いつくことは不可能です」
若葉:「なるほど……直線に入った瞬間に置いてけぼりになるんやね」
若葉がノートに素早くメモを取る。
神宮寺:「次に消去するのは、 先行争いの生贄(エラー)となる【④ チェリヴェント】よ」
神宮寺のマーカーが、 次なる標的を捉えた。
若葉:「ええっ、 チェリヴェントちゃん!? 勝負気配は85点の高気配やし、 先行力は99.3もあるんですよ!?」
若葉が慌てて立ち上がる。
若葉:「前が有利な馬場なら、 このまま押し切れるんちゃいますの!」
神宮寺:「前有利の馬場だからこそ、 彼には地獄が待っているのよ」
教授が不敵に目を細めた。
神宮寺:「彼の同型(ライバル)には、 先行力100の⑨ショウナンバンライや、 95.9の⑥ドンエレクトスという化け物たちがいるわ。 前勢力が厚い『やや速め想定』のペースで、 激しい先行争いが確定しているのよ」
教授は、 チェリヴェントのデータの横に、 大きなバツ印を書き込んだ。
神宮寺:「ハイペースで脚を削り合った後、 日本屈指の長さを誇る新潟の直線を迎える。 彼の決め脚は全頭中最低の『61.5』よ。 ……砂漠の真ん中でガス欠を起こして失速するのは、 火を見るより明らかね」
若葉:「うわぁ……先行争いで削られた後の長い直線、 想像しただけで足がガクガクしてきましたわ」
佐倉:「では教授。 前で潰し合うのなら、 後ろで待機する馬にチャンスがあるのでは?」
佐倉が、 わざとらしいほどに芝居がかったトーンで問いを投げる。
神宮寺:「いいえ。 極端な不器用さもまた、 この水槽ではエラーの対象よ。 ……【② ファイアマン】、 デリートよ」
若葉:「ファイアマンちゃん、 決め脚は96.8とめっちゃ優秀ですやん!」
神宮寺:「でも、 先行力が『61』しかなく、 道中は後方待機を強いられるわ」
神宮寺は冷ややかに言い放つ。
神宮寺:「乾燥した良ダートは、 先行から好位をやや評価するバイアスが出ているの。 前が有利な馬場で、 後方から大外を回すような不器用な立ち回りでは、 いかに末脚があっても前の有力馬を捕らえることはできないわ。 展開の恩恵はあっても、 位置取りのビハインドが絶望的すぎるのよ」
容赦なく三頭目が消し去られ、 ホワイトボードには残り五頭が残された。
神宮寺:「さあ、 いよいよ最後の『鉄の壁』よ」
神宮寺の瞳に、 知的な冷酷さが宿る。
神宮寺:「絶対的な能力の壁に弾き返される個体をパージするわ。 ……【③ ヒシアムルーズ】よ」
若葉:「ええーっ!? 勝負気配80点、 先行力91.8、 決め脚87.7でバランスええのに! なんでですか!」
若葉が両手を広げて抗議する。
神宮寺:「バランスはいいわ。 でも、 残った四頭のスペックを見てみなさい」
神宮寺が、 残る四頭をレーザーポインターで丸く囲んだ。
神宮寺:「残るトップ層は、 基本能力値が90を超え、 決め脚が『96〜100』というモンスター級の数値を叩き出しているわ。 対するヒシアムルーズの基本能力値は84.7」
教授はふっと息を吐き、 静かに告げた。
神宮寺:「タフな乾燥ダートの消耗戦において、 彼の決め脚87.7では、 上位陣の異次元の末脚に完全に飲み込まれるわ。 特殊な条件で信頼を置くには、 ワンパンチ足りないのよ」
最後の一本が引かれ、 リストからは綺麗に八頭のノイズが削ぎ落とされた。
若葉:「ふぅ……」
若葉が大きく息を吐き出し、 ノートをパタンと閉じる。
若葉:「これで残ったんは、 たったの四頭。 ……えげつない能力を持った『四天王』だけが生き残ったっちゅうわけですね」
神宮寺:「ええ。 圧倒的な持続力を備えた、 完璧な四天王よ」
神宮寺教授はマーカーのキャップを閉め、 どこか楽しげに目を細めた。
神宮寺:「さあ、 この灼熱のサバイバル戦で、 展開の恩恵を最も受ける絶対軸は誰なのか。 いよいよ彼らに役割(印)を与えていくわよ。 次へ進む準備はいいかしら?」
第3章『砂漠の絶対王者と、 静かに牙を研ぐ暗殺者』
ジリジリとアスファルトを焦がすような外の熱気が、 分厚いガラス窓を隔ててなお、 研究室の中へ微かな圧迫感として伝わってくる。
メインモニターには、 厳しいスクリーニング(消去)を生き残った四頭のサラブレッドのデータだけが、 まるで砂漠のオアシスに君臨する神獣たちのように、 青白く、 そして暴力的なまでの数値を放って輝いていた。
若葉:「うわぁ……見れば見るほど、 えげつない数字の暴力ですわ」
若葉が、 麦茶のグラスを両手で包み込むように持ちながら、 画面を見上げてゴクリと息を呑んだ。
若葉:「四頭全部が、 基本能力値90以上。 おまけに『決め脚(持続力)』が全員96以上って……! この子たち、 新潟の砂漠でどんだけ長く息止められるんですか!」
佐倉:「彼らこそが、 この過酷なサバイバル戦における『四天王』です」
佐倉助手が、 リズミカルなタイピングで四頭の比較マトリクスを並べて表示する。
佐倉:「これほどの持続力を持つ個体が集結した場合、 勝負を分けるのは単なる能力値の差ではありません。 『展開の恩恵を最も受けるのは誰か』、 そして『陣営の究極の仕上げ(勝負気配)と騎手力』。 ……つまり、 極限状態でのソフトウェアチューニングの差が明暗を分けます」
神宮寺:(ええ。 第17章でパルパルがたった一人で大障壁に辿り着けたように、 最後にモノを言うのは絶対的な意志と、 環境に適応する最適解の選択よ。 この四頭の中で、 新潟のタフな前傾ラップという『猛毒の風』を一番上手く躱せる個体が、 勝者(ROOT)となるわ)
神宮寺教授は、 スッと立ち上がると白衣を翻し、 ホワイトボードの前へ歩み出た。
手にした真紅のマーカーが、 キュッと小気味良い音を立ててキャップを外される。
神宮寺:「さあ、 この灼熱のランタイム(本番環境)において、 絶対的な権限(印)を付与していくわよ。 ……まずは、 誰もが目を奪われる絶対王者からデバッグしましょうか」
若葉がビシッと手を挙げる。
若葉:「はいっ! それやったら絶対【⑨ ショウナンバンライ】ちゃんですやん! 基本能力値100、 先行力100、 決め脚97! 特徴量オール5! どう考えてもこの子が本命(◎)で決まりでしょ!」
神宮寺:「普通の大衆(一般ユーザー)なら、 迷わずそうするでしょうね」
神宮寺は不敵に笑い、 ショウナンバンライの名前の横に、 赤い円を描いた。
〇(対抗);【9番】ショウナンバンライ
若葉:「ええっ!? 〇(対抗)!? なんでですか! スペック完全にナンバーワンですやん!」
神宮寺:「スペックは最強よ。 能力の絶対値には一切の疑いがないわ。 だけど……彼には、 致命的な『展開リスク』という名の時限爆弾が組み込まれているの」
教授がマーカーの先で、 オッズ画面の『中3週』という文字をコツンと叩いた。
神宮寺:「彼は先行力100を活かして、 先頭付近で力強くレースを引っ張るわ。 でもね、 今回の新潟ダートは『前有利馬多数』で『やや速め想定』。 つまり、 他の馬たちが彼を潰しに、 猛烈なペースで追いかけてくるのよ」
佐倉が眼鏡のブリッジを押し上げ、 冷徹な声で補足する。
佐倉:「条件戦を連勝した勢いはありますが、 中3週という短い間隔(ローテーション)は、 確実に肉体のリソースを削っています。 乾燥したタフな馬場で、 息の入らない前傾ラップを刻まされた場合……いかに能力値100の絶対王者であっても、 日本一長い直線の半ばで、 疲労という名のバグが顔を出す確率が高いのです」
若葉:「うわぁ……。 前門のハイペース、 後門の疲労蓄積……。 強すぎるからこそ、 みんなの標的にされて潰されるってコトですか」
若葉がノートに『王者の孤独と過労死リスク』と書き込みながらブルッと身震いした。
神宮寺:「その通りよ。 そして、 その王者が苦しくなった瞬間を、 涼しい顔でかっ攫っていく最強の暗殺者(アサシン)がいるわ」
神宮寺のマーカーが、 迷いのない軌跡で『二重丸』をボードの中央へ刻み込んだ。
◎(本命);【5番】マクリール
若葉:「本命はマクリール! 決め脚『100』の怪物ですね!」
若葉の目に期待の光が灯る。
神宮寺:「究極の勝負仕上げと、 展開の完全一致。 データ上、 最も死角がない絶対軸よ」
教授の声が、 研究室の空気をキリッと引き締める。
神宮寺:「陣営の勝負気配は全頭中トップの『90点』。 重賞タイトルを本気で獲りに来ているわ。 そして何より、 彼には『展開の利』がある。 先行争いでショウナンバンライたちが前で激しくやり合っている間、 彼は少し後ろのポジションから、 その潰し合いを優雅にモニタリングしていればいいのよ」
若葉:「なるほど! 前の馬たちがバテたところを、 直線で一気に抜き去るんや!」
佐倉:「おまけに、 今回から手綱を取る戸崎圭太騎手は、 このコースの各種指標で他を圧倒するトップスコアを叩き出しています」
佐倉のモニターに、 戸崎騎手の圧倒的な『偏差値 全;68.6』のグラフが表示された。
佐倉:「馬の最高気配、 騎手の最高技術、 そして展開の恩恵。 すべてが完璧に同期(シンクロ)しています」
若葉:「完璧や……! 財布のライフポイント、 全ツッパする準備できましたわ!」
若葉が鼻息を荒くする横で、 神宮寺はさらに二つの印を素早く書き加えた。
▲(特注);【12番】メルカントゥール △(推奨);【6番】ドンエレクトス
神宮寺:「▲(特注馬)のメルカントゥールは、 ハイペース必至の展開を切り裂く最も危険な刺客よ」
教授がマーカーを指先でクルリと回す。
神宮寺:「展開適性に『ハイペース〇』と明確に出ているわ。 決め脚は99.3。 前の争いがさらに激化して、 先行勢が総崩れ(クラッシュ)するような異常事態が発生した時、 大外から飛んでくるのは間違いなくこの馬よ。 単勝で一発を狙うなら、 彼しかいないわ」
若葉:「ほな、 △のドンエレクトスちゃんは? 総合力91.1で、 先行力も決め脚も95以上って、 めっちゃ強いんちゃいますの?」
神宮寺:「強いわ。 でも、 今回は『相手が悪かった』としか言えないわね」
神宮寺が、 少しだけ同情するように目を伏せた。
神宮寺:「前に行こうとすれば、 先行力100のショウナンバンライという巨大な壁に阻まれる。 かといって控えて直線を待てば、 後ろから決め脚100のマクリールたちに飲み込まれる。 ……強力なライバルたちの間で、 立ち位置(ポジション)の確保が極めてシビアなのよ。 だから、 4番手評価までね」
カチリ、 とマーカーのキャップが閉まる音が、 完璧なマトリクスの完成を告げた。
神宮寺:「これで、 新潟ダート1800メートルの砂漠を生き抜く『四天王の陣律』が構築されたわ」
教授は、 ホワイトボードに並んだ美しい印の羅列を見つめる。
◎ 5 マクリール 〇 9 ショウナンバンライ ▲ 12 メルカントゥール △ 6 ドンエレクトス
若葉が 若葉:「よっしゃあ!」 と両手を突き上げた。
若葉:「完璧ですやん! 展開も能力も全部計算し尽くされた、 非の打ち所がない最強のポートフォリオ! これで日曜日は焼肉食べ放題確定ですわー!」
だが、 神宮寺教授は無邪気に喜ぶ教え子を横目に、 どこか冷ややかで、 しかし底知れない熱を秘めた瞳でホワイトボードを見つめ続けていた。
神宮寺:(ええ、 静的解析(Static)としてはこれ以上ないほど完璧よ。 ……でも、 競馬という名のシステムが、 これほどまでに『計算通りに』動くことなんてあるのかしら?)
教授は、 白衣のポケットの中でギュッと拳を握りしめる。
神宮寺:(第17章でパルパルを待ち受けていたのが、 希望ではなく無慈悲な鉄の壁だったように。 この完璧な四天王の陣律も、 ゲートが開いた瞬間に、 私たちの想像もつかない『バグ』によって引き裂かれるかもしれない……)
若葉:「教授? どないしはったんですか? 怖い顔して」
若葉が不思議そうに覗き込んでくる。
神宮寺:「……なんでもないわ」
神宮寺教授はふっと表情を和らげ、 最高に知的で傲岸な笑みを浮かべた。
神宮寺:「ただ、 この完璧すぎる数式が、 本番の熱量(Runtime)でどう処理されるのか……日曜日が待ち遠しくなっただけよ」
第4章『完璧な水槽への疑念と、 鉄の壁を越える来訪者』
鳴門の海に、 じりじりとした真夏の太陽が身を沈めようとしている。
ブラインドの隙間から差し込む強烈なオレンジ色の残光が、 冷房の効いた研究室を斜めに切り裂き、 ホワイトボードに描かれた『四天王の陣律』をくっきりと照らし出していた。
若葉:「はぁーっ、 これで完璧や! 展開も能力も隙なし!」
若葉は、 すっかり空っぽになった麦茶のグラスを机に置き、 両腕をぐーんと上に伸ばして背伸びをした。
若葉:「◎マクリールちゃんを筆頭にした、 圧倒的な持続力を持つ四頭の要塞! これで日曜日は、 特上カルビの焼肉食べ放題が確定しましたわー!」
佐倉助手が、 排熱音を微かに立てていたThinkPadのディスプレイをパタンと閉じる。
佐倉:「ええ。 新潟ダート1800メートルの『乾燥した前傾ラップ』という環境変数を極限まで数値化した、 極めて堅牢なポートフォリオです。 大衆がすがる不確かなノイズ(過剰人気馬)は、 すべてファイアウォールで弾き落としましたからね」
二人の教え子の達成感に満ちた声を聞きながら。
神宮寺教授は、 デスクの上に置かれた琉球ガラスのマグカップの縁を指先でなぞり、 なぜかひどく冷ややかな、 しかし底知れない熱を秘めた瞳でホワイトボードを見つめていた。
……カツン。
手にしていた真紅のマーカーが、 手から滑り落ちるようにデスクへ放り投げられる。
若葉:「……教授?」
その乾いた音に、 若葉がキョトンと首を傾げた。
神宮寺:(美しいわ。 前有利のサバイバル戦という『環境』を前提に組んだこの四頭の陣形は、 どこから見ても論理的な最適解よ。 ……でも、 第17章でパルパルがすがりついた大障壁のように、 完璧に管理された水槽(テラリウム)なんてものは、 外からの未知のバグによって破綻する運命にあるのよ)
神宮寺:「ねえ、 二人とも」
教授はゆっくりと立ち上がり、 白衣のポケットに両手を突っ込んだ。
神宮寺:「私ね……この完璧に組み上げたマトリクスを、 心の底から疑っているのよ」
若葉:「はいぃ!?」
若葉が椅子から転げ落ちそうになり、 慌ててデスクの端を掴む。
若葉:「ちょ、 ちょっと待ってくださいよ! 今、 自分で『データ上、 最も死角がない』ってドヤ顔で宣言してはりましたやん! なんで急にちゃぶ台ひっくり返すようなこと言うんですか!?」
神宮寺:「論理的だからこそ、 疑うのよ」
教授は窓枠に寄りかかり、 夕陽に染まる海を見下ろす。
神宮寺:「私たちは今回、 タガノアバンドーネやオオツカといった馬たちを、 『ハイペースで消耗し、 新潟の長い直線で必ずガス欠を起こす』という物理法則を理由に切り捨てたわよね。 つまり彼女たちを、 水槽の外に広がる『生存時間三分の灰色の海』へと突き落としたわけよ」
佐倉が眼鏡のブリッジを中指で押し上げ、 静かな声でカットインする。
佐倉:「ええ。 あの極度に乾燥したダートの先行争いにおいて、 持続力を持たない馬が突っ込む行為は、 競走馬の脚部エネルギー(CEL)を瞬時に枯渇させる自殺行為に他なりません。 生き残れる確率は計算上、 限りなくゼロに近いです」
神宮寺:「そう、 計算上はね」
教授が振り返り、 妖しく微笑んだ。
神宮寺:「でも、 第17章でアリアたちがどうやって絶望の海を渡ろうとしたか、 覚えているかしら?」
若葉:「ええっと……」
若葉が、 胸に抱いていた『新・第17章』の原稿束をパラパラと捲る。
若葉:「ナギ様が教えた『十キロの陣律』ですね。 アイリスちゃんの命(残響)を無駄に削らんように、 十キロ進むごとに浄化の結界(セーブポイント)を作って、 安全地帯を確保しながら進む攻略法です」
神宮寺:「その通りよ」
教授の瞳に、 知的な歓喜の炎が灯る。
神宮寺:「そしてもう一つ。 外界の生存時間三分という死の世界を生き延びて、 たった一人で大障壁の門をくぐり抜けてきた、 ゼファーという少女の存在よ」
若葉:「……あ」
若葉がハッと息を呑み、 ホワイトボードの『消去馬リスト』を見つめた。
神宮寺:「競馬というシステムも全く同じなの。 ゲートが開いた瞬間、 私が計算した『前有利で直線バテる』という美しい水槽のルールを、 たった一頭の馬の狂気(バグ)が粉砕してしまうかもしれない。 アリアのように、 道中で極限までエネルギーの消耗(CEL)を抑え込む『陣律』を自ら編み出し……私たちが『絶対に届かない』と証明した灰色の砂漠を、 ゼファーのように生き延びて飛んでくる未知の来訪者が現れるかもしれないわ」
佐倉が、 深く得心のいったように静かに頷く。
佐倉:「事前の静的解析(Static)では検知できない、 レース実行中(Runtime)における、 競走馬の瞬間的な環境適応……ということですね」
若葉:「それって……うちらが『絶対に沈む』って切り捨てた馬たちが、 理屈抜きで飛んでくるかもしれへんってコトですか?」
若葉が、 信じられないものを見るような目でホワイトボードを見上げる。
佐倉:「教授は、 ご自身の完璧な演算モデルが、 現実の熱量(Runtime)に敗北する可能性を期待しているのですね」
佐倉の口元に、 天才の抱える矛盾を好ましく思うような、 微かな笑みが浮かんだ。
神宮寺:「ええ。 競馬がもし、 私の計算した数式通りにしか動かない箱庭なら、 そんなものただの退屈な算数ドリルよ」
教授はデスクへ戻り、 放り出していたマーカーを綺麗に並べ直した。
神宮寺:「私が『絶対に沈む』と証明した灰色の海を、 圧倒的な熱量で突き破ってくる命のバースト。 ……その人知を超えたバグを突きつけられる瞬間こそが、 私にとって至高のエンターテインメントなのよ。 予想を当てることは当然のタスクだけれど、 予想を美しく破壊されることは、 研究者にとって最高の『報酬』なの」
若葉は呆れたように大きく肩をすくめ、 やがてふふっと吹き出した。
若葉:「ほんま、 教授ってば度し難い競馬変態(マゾ)ですねぇ! 自分の予想が当たるのも嬉しいけど、 それ以上に自分の予想をぶっ壊してくる『ゼファー』みたいなスゴい怪物が見たいってコトでしょ?」
神宮寺:「最高の褒め言葉として受け取っておくわ」
研究室の壁に掛けられたデジタルクロックが、 静かに時間を刻んでいる。
夕陽が沈み、 部屋の中に深い藍色のグラデーションが広がり始めていた。
神宮寺:「だから日曜日、 この四天王の陣形が綺麗に勝ってくれても嬉しいし、 全く別の不協和音が私たちのポートフォリオを吹き飛ばしてくれても構わないわ」
神宮寺教授が、 凛とした声を響かせる。
神宮寺:「どちらに転んでも、 私たちは新しい『世界の波形』を観測できるのだから」
若葉が 若葉:「よっしゃあ!」 と力強くガッツポーズを作った。
若葉:「ほな、 日曜日の新潟ダートは、 アリーナの最前列で観測させてもらいますわ! うちらの要塞が勝つか、 それとも外から伝承の少女が飛んでくるか……めっちゃ楽しみになってきました!」
神宮寺:「さあ、 今週の前編(事前デバッグ)はこれにて終了よ」
神宮寺教授は白衣の襟を正し、 窓の向こうの暗闇へ向かって不敵な笑みを投げかけた。
神宮寺:「大衆の計算が追いつかない、 極上のノイズ(結果)を探しに……いざ、 灼熱のサバイバル戦へ!」
重厚な扉がカチリとロックされる音が、 週末の開演を待つ熱狂を、 静かに研究室の中へと閉じ込めた。
『神宮寺教授の秘密講義 レパードステークス(前編)』――完
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作中で語られる意識低い系デブ猫無料趣味小説「新・第17章『外界からの来訪者、あるいは伝承の少女』『響け、解析不能な共鳴(レゾナンス) 〜失敗作と呼ばれた少年と、消えゆく少女の遺した光〜』17【成長し続ける天才が歩むそれからの物語(第1部リライト+完結編)】」とは?
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1. 全体構造(ストーリーのあらすじ)
この第17章は、大きく3つの視点(パート)から構成されています。
1. アリア視点(王立魔導学院・自室) アイリスとの「外の世界へ一緒に行く」という約束を胸に刻むアリアのもとに、王都中央軍の使者が現れる。 使者はアリアを「前第一位(ソラン)の後任」として、地下で死ぬまで王国の結界を維持する「システム(電池)」にしようと拘束を試みる。 アリアはこれを拒絶。先々代・第一位であるナギの介入、そして友人コトネの協力を得て、国家の命令に反逆し部屋を脱出する。
2. ナギの示唆と外界攻略のロードマップ ナギは結界の限界を指摘し、外界を安全に進むための攻略法「10キロごとの陣律(結界の重なりによる安全地帯作成)」を提示する。 さらに、かつて大障壁の門から倒れていたところをソランに救われた外界の生存者「ゼファー(Z0)」こそが、外界を案内するキーパーソンであると明かす。
3. パルパル視点(外界〜大障壁の門前) 滅びかけたエルフの国から、「伝承の光(水槽/王国)」を目指して旅立った50人の決死隊。 激しい過酷な旅路で仲間は全員石化・死亡し、最後の一人となったエルフの超エリート術士パルパルが、命からがら王国の「大障壁の門」に辿り着く。 しかし、門の中から現れた王立魔導軍は、彼女を「汚染物質」とみなして容赦なく「処分(射殺)」しようとする。絶体絶命の瞬間、アリアたちの突破(開錠)の音響が響き渡る。
2. 重要設定・用語の整理
水槽(王国) 人々が安全に暮らしている領域。しかし実際は、巨大な円形結界によって守られた閉ざされた籠に過ぎず、年々外からの汚染(残滓)によってひび割れ始めている。
魔導序列第一位の真の役割(システム) 英雄の称号と思いきや、その正体は「中央塔地下で自分の魔力を無制限に供給し続け、結界を維持するためだけの生体電池」。ソランもかつて一人でこれを行っていた。
外界 「生存時間わずか3分」と言われる死の荒野。高濃度の「魔法残滓(毒)」が充満し、汚染魔獣が蠢いている。
10キロごとの陣律(セーブポイント攻略) アイリスの命(残響)を一気に燃え尽きさせないため、アリアの第一拍律動を10km進むごとに大地へ打ち込み、半径10kmの浄化結界を重ね合わせて前進する作戦。
ゼファー(Z0) かつてソランが門の前で拾った外界の生存者。外界の地理や逃げ道を知るナビゲーターとしての役割を持つ。
パルパル エルフの国から派遣された最後のエルフ。普段は泣き虫でポンコツな振る舞いを見せるが、極めて高精度な魔力構築と解毒魔法を扱う実力者。49人の仲間の遺志と石化の悲劇を背負っている。
3. 章の大きな見どころ・テーマ
①「保護という名の収監」対「過酷な外への旅立ち」
大人たち(国家)は「安全な籠(水槽)」を守るために個人の尊厳や命をシステム(部品)として消費しようとします。それに対し、アリアたちは「アイリスを救い、真実の未来を見る」ために、過酷で危険な外界への飛び出し(反逆)を選びます。
②「すれ違う希望」残酷な対比
外の地獄を生き延びたパルパルにとって、王国は「救いと伝承の光が眠る希望の地」でした。しかし、中にいる国家側にとって、外から来た者はただの「感染源・汚染物質」でしかなく、冷酷に排除しようとします。希望を抱いて門を叩いた少女を待っていた鉄の壁という、非常にドラマチックで残酷な構図が描かれています。
③ 立ち上がる仲間たちと反逆のセッション
アリアの強い決意に、かつての第一位であるナギ、理論派のコトネ、そして決意を固めるアリアの力が噛み合い、理不尽な国家の暴力(近衛兵・使者)を打ち破っていく疾走感あふれる展開です。
4. 結末と次の展開(クライマックスへの布石)
門の前で交差する運命 絶体絶命のパルパル(門の外側)と、反逆を起こして大障壁の門を開けて飛び出そうとするアリア一行(門の内側)。
ラストの重厚な開錠音とド迫力の律動音は、アリアたちが「王国のルールを破壊して外界へ踏み出した瞬間」であり、同時に「間一髪でパルパルを救う(あるいは事態を激変させる)合図」となっています。
物語は、いよいよ「狭い水槽の中の争い」から、「壊れゆく世界全体を救うための外界突破行」へとスケールを広げていくことになります。
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新・第17章『外界からの来訪者、あるいは伝承の少女』『響け、解析不能な共鳴(レゾナンス) 〜失敗作と呼ばれた少年と、消えゆく少女の遺した光〜』17【成長し続ける天才が歩むそれからの物語(第1部リライト+完結編)】

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