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神宮寺教授の秘密講義 札幌記念(前編)
「VOICEVOX: 四国めたん」「VOICEVOX: もち子さん」「VOICEVOX: 満別花丸」
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第1章『境界線の外側と、 最初にパージされる五つの残滓』
鳴門の海を焦がすような真夏の太陽が、 研究室の分厚い遮光ブラインドをじりじりと照りつけている。
外界の暴力的なまでの酷暑とは対照的に、 室内は空調の冷気が隅々まで行き渡り、 サーバーの微かな排気音だけが規則正しいリズムを刻んでいた。
若葉:「あかーん! 暑すぎて頭のメモリが完全に熱暴走しそうですわ……!」
若葉がデスクの上にぐったりと突っ伏し、 結露した麦茶のグラスを頬にすり当てている。 彼女の目の前には、 赤ペンでぐちゃぐちゃに書き込みがされた競馬新聞が広げられていた。
佐倉助手:「若葉さん。 クーラーの真下で冷たい飲料を顔面に密着させる行為は、 自律神経のエラーを誘発しますよ」
佐倉助手が、 複数のウィンドウを展開したノートパソコンから視線を外さずに、 淡々とした声で忠告した。
佐倉助手:「それに、 あなたの脳内リソースは今週末のスーパーGⅡ、 札幌記念の解析へ全振り(フルコミット)されているはずです」
若葉:「せやから、 新聞見すぎて知恵熱が出そうやねんって! 札幌の洋芝2000メートルとか、 大物ばっかり揃いすぎて全然絞りきれませんやん!」
神宮寺教授:「ふふっ、 相変わらず騒々しいわね、 若葉」
神宮寺教授は、 ゆったりとしたオフィスチェアに深く腰掛けたまま、 琉球ガラスのマグカップを優雅に傾けた。 白衣の袖口から覗く細い手首が、 氷をカランと涼しげに鳴らす。
神宮寺教授:(札幌芝2000メートル……。 ごまかしの利かない洋芝と、 息の入らない小回りの連続。 まるで第18章でゼファーが駆け抜けた『外界の死の海』のような、 残酷で過酷なサバイバル環境ね。 基礎スペックの低い個体は、 あのタフな馬場(毒)に耐えきれず、 直線を待たずに崩れ落ちるわ)
教授はスッと立ち上がり、 ホワイトボードの前へ歩み出た。 真紅のマーカーを手の中でクルリと回し、 不敵な笑みを浮かべる。
神宮寺教授:「いいこと、 若葉。 札幌記念という特異な水槽(テラリウム)では、 大箱コースでの紛れは一切通用しないわ。 絶対的な持久力とパワーを持たない者は、 容赦なく振り落とされるの」
若葉:「ほな、 まずはどうやって候補を削っていくんです?」
若葉がグラスから顔を離し、 期待に満ちた目で身を乗り出した。
神宮寺教授:「第一段階のスクリーニングは『絶対的弱者の排除』よ」
教授がマーカーのキャップを外す。
神宮寺教授:「このGⅡという高い壁(大障壁)を越えるための『基礎エンジン(基本能力)』が欠如している個体。 そして、 陣営に戦う意志(勝負気配)がない個体を、 機械的にパージするわ」
佐倉がキーボードを軽快に叩き、 メインモニターに二頭の馬のデータをポップアップさせた。
佐倉助手:「最初にシステムから除外するのは、 ⑭レディネスと③ピンクジンです」
若葉:「えっ、 いきなり二頭も消すんですか?」
若葉が新聞の馬柱を慌てて指でなぞる。
神宮寺教授:「ええ。 ⑭レディネスは、 私たちの指標において基本能力値が『55.9』。 これは16頭中でぶっちぎりの最下位よ」
教授が容赦なくホワイトボードにバツ印を書き込んだ。
神宮寺教授:「中団から差す競馬を想定されているけれど、 肝心の『決め脚』の数値も絶望的に低いの。 他の馬たちがスポーツカーだとしたら、 この馬だけ軽トラックで参戦しているようなものよ。 物理的に前を捕まえることは不可能ね」
若葉:「なるほど……。 エンジンそのものの排気量が違いすぎるんや」
佐倉助手:「そして③ピンクジンも同様にデリート対象です」
佐倉が眼鏡のブリッジを中指で押し上げ、 冷徹にデータを読み上げる。
佐倉助手:「基本能力値が下位グループであることに加え、 陣営の勝負気配スコアがメンバー中最下位の『58点』を記録しています。 北海道に滞在してはいますが、 中間に実質的な強い追い切り(負荷)が確認できません」
若葉:「やる気スイッチが完全にオフになっとるってコトですか! そりゃあ、 こんなタフな舞台じゃ戦えませんわ」
若葉が大きく頷き、 自分のノートに二頭の消し線を引いた。
神宮寺教授:「次に削るのは、 環境(トラックバイアス)の罠に自ら飛び込んでしまう不運な個体たちよ」
神宮寺教授が、 モニターに表示された札幌競馬場のコース図をレーザーポインターで照射した。
若葉:「教授、 札幌って内側を走った方が距離ロス少なくて有利なんちゃいますの?」
若葉の素朴な疑問に、 教授は小さく首を横に振った。
神宮寺教授:「普段ならね。 でも、 今回の馬場は『向正面から4コーナーの内側に傷み』が確認されているわ。 つまり、 最短ルートであるはずのインコースが、 脚をとられる『泥の沼』と化しているのよ」
若葉:「うわぁ……それって、 第18章で兵士たちが陣取ってた危ないエリアみたいなもんですね」
神宮寺教授:「ええ。 だからこそ、 この泥の沼(最内枠)に放り込まれてしまった①オニャンコポンと②イガッチを消去するわ」
真紅のマーカーが、 さらに二つの名前を無慈悲に切り裂く。
佐倉がすかさず補足のデータを展開した。
佐倉助手:「①オニャンコポンは能力値がブービーの上に、 後方からレースを進める脚質です。 勝負所で一番馬場の悪い内側を通らされるか、 大外へ持ち出す莫大な距離ロスを強いられます。 ②イガッチも同様に内不利のバイアスをモロに受けるうえ、 芝からダートを挟んでまた芝へ戻るという、 陣営の目標設定のブレ(迷い)が数値に表れています」
若葉:「うわぁ、 能力も足りんのに枠順まで最悪って……。 完全にシステムのバグに巻き込まれた被害者ですやん」
若葉が同情するようにため息をついた。
神宮寺教授:(運もまた、 実力のうち。 競馬というシステムにおいて、 環境適応能力を持たない個体が生き残る確率は、 限りなくゼロに近いわ。 無慈悲だけれど、 これが数式の導き出す真理よ)
神宮寺教授:「さあ、 第一段階の最後のパージよ」
教授は振り返り、 真っ直ぐに若葉を見つめた。
神宮寺教授:「最後は⑪アラタ。 9歳という高齢で基礎スペックが衰えているうえに、 直前の状態で『首元の発汗』という異常なエラーサインを出しているわ」
若葉:「発汗……めっちゃ焦って汗かいとるってコトですか?」
佐倉助手:「極度の緊張か、 体調不良のサインですね」
佐倉が冷ややかに答える。
佐倉助手:「おまけに彼は『追込』という後ろから行く脚質にもかかわらず、 肝心の末脚の鋭さがデータ上裏付けられていません。 展開が向いたとしても、 前を差し切るだけの武器(牙)をすでに失っています」
若葉:「お爺ちゃん馬が、 汗だくになりながら後ろでもがいて終わる……。 想像しただけで泣けてきますわ」
若葉が両手を合わせて、 南無南無と小さく拝むような仕草をした。
神宮寺教授:「これで、 まずは五頭のノイズを完全にクリアしたわ」
神宮寺教授はマーカーのキャップをカチリと閉め、 満足そうにホワイトボードを見上げた。
神宮寺教授:「絶対的な能力不足、 意志の不在、 そして環境との不適合。 ……これらを抱えた残滓は、 すべて洋芝の海へ沈んだわ。 残る十一頭は、 何かしらの強力な武器を持つ強者たちよ」
教授は不敵な笑みを浮かべ、 教え子たちへ視線を投げかける。
神宮寺教授:「ここからは、 強者同士の相対評価と『展開の潰し合い』という、 さらに高度なデバッグへ移行するわ。 ……次へ進む準備はいいかしら?」
第2章『絶対的上位互換と、 駆逐される六つの残響』
グラスの表面に浮かんだ水滴が、 ツーッと滑り落ちてコースターに冷たい染みを作った。
壁掛けエアコンが微かな唸り声を上げているものの、 メインモニターから放たれる札幌競馬場の青々とした洋芝の映像が、 どこか息苦しいほどの熱量を持って研究室を支配している。
若葉:「ふぅ……これで五頭消えて、 残るは十一頭。 でも、 こっからが本番なんですよね?」
若葉が、 新しい特製ノートのページをめくりながら、 真剣な顔つきでモニターを見上げた。
神宮寺教授:「ええ。 ここから残っているのは、 能力や展開の恩恵といった、 何かしらの『武器』を持った強者たちよ」
神宮寺教授は、 ホワイトボードに書かれた十一頭のリストを真紅のレーザーポインターで丸く囲んだ。
神宮寺教授:「だからこそ、 ここからのデバッグは『相対評価』になるわ。 前で戦うグループと、 後ろから追いかけるグループ。 それぞれの属性(カテゴリー)の中で、 絶対的な能力差と『上位互換』の存在を炙り出していくの」
若葉:「上位互換……要するに、 『あっちの馬のほうがもっと強いから、 こっちは要らん!』ってコトですか?」
神宮寺教授:「残酷だけれど、 そういうことよ」
教授が不敵に笑い、 マーカーのキャップを外した。
神宮寺教授:「まずは、 純粋な地力(スペック)と状態面で劣る三頭をシステムから排除するわ。 ……⑫ゼンダンハヤブサ、 ⑨マイネルモーント、 そして⑥ローシャムパークよ」
若葉:「ええっ!? ローシャムパークも消しちゃうんですか!」
若葉がパイプ椅子から身を乗り出す。
若葉:「GⅠでも活躍しとるすごい馬ですやん! さすがにやりすぎちゃいます?」
佐倉助手:「過去の栄光(キャッシュ)にとらわれては駄目よ、 若葉さん」
佐倉助手が、 眼鏡のブリッジを中指で押し上げながらキーボードを叩いた。 サブモニターに、 ローシャムパークの調教映像とデータが展開される。
佐倉助手:「彼は海外遠征からの帰国初戦です。 環境変化のストレスに加え、 最終追い切りで『頭を振る』という明確なエラーサインを出しています。 仕上がりに慎重さを残す状態で、 タフな洋芝のGⅡを勝ち負けできるほど、 この水槽は甘くありません」
若葉:「頭振っとる……。 ほんまや、 なんか走りづらそうにしてますね」
神宮寺教授:「それに加えて、 ゼンダンハヤブサは残ったメンバーの中で基本能力値が最下位の『67.3』。 マイネルモーントも最終追い切りで遅れをとるなど、 勝負気配(モチベーション)が低いわ」
神宮寺教授が、 三頭の名前に容赦なく赤い斜線を引いた。
神宮寺教授:「タフな消耗戦になる札幌記念において、 スタミナロスに直結する不安を抱えた個体は、 直線に入る前に必ず息絶えるのよ」
神宮寺教授:(第18章でゼファーが軍の弾丸よりも速く動いたように、 圧倒的な『上位互換』の存在は、 中途半端な能力の個体を完全に無力化する。 この過酷な洋芝のサバイバルにおいて、 不安要素を抱えた劣化版のコピーに存在価値はないわ)
若葉:「なるほど……。 これで残り八頭」
若葉がノートにメモを書き込みながら、 唸り声を上げる。
若葉:「ほな次は、 どうやって削るんです?」
神宮寺教授:「展開による『潰し合い』よ」
神宮寺教授の瞳が、 獲物を狙うように鋭く細められた。
神宮寺教授:「今回は、 前に行きたい有力馬が多い『ペース上昇リスク中〜高』のレースなの。 つまり、 激しい逃げ争いが起きる。 その中で、 最も早くガス欠(CELオーバー)を起こす馬をパージするわ。 ……⑧サクラファレルよ」
若葉:「逃げ馬ですね! でも、 札幌って前に行ったもん勝ちみたいなトコありません?」
佐倉助手:「前に行ければ、 ね」
佐倉が冷徹な声でカットインする。
佐倉助手:「彼は逃げ・番手候補ですが、 強力な同型である⑯ホウオウビスケッツや⑦ショウヘイから強烈なプレッシャーを受ける過酷な展開が確定しています。 その中で、 サクラファレルだけが『決め脚(終いの粘り)』の評価が低いのです」
若葉:「うわぁ……。 バケモノみたいな馬に後ろから突っつかれて、 最後の直線で真っ先に足が止まるんや……。 想像しただけで胃が痛くなってきましたわ」
若葉がお腹を押さえる。
神宮寺教授:「さあ、 いよいよ最後の仕上げよ」
教授がホワイトボードの前に立ち、 残る二頭の名前を指差した。
神宮寺教授:「⑤エコロヴァルツと、 ④マジックサンズ。 彼らもここでデリートよ」
若葉:「ちょ、 ちょっと待ってください! マジックサンズちゃん、 決め脚『◎』ですよ!? 前が潰れ合うなら、 この子の末脚が爆発するんちゃいますの!」
若葉が両手を広げて抗議する。
神宮寺教授:「ええ、 彼は素晴らしい末脚を持っているわ。 だけど……彼よりも『もっと凄い鬼脚』を持ったバケモノが、 後ろに控えているのよ」
教授がため息をつきながら、 マジックサンズの横にバツ印を書き込んだ。
神宮寺教授:「同じ後方待機策をとる⑮シェイクユアハートと、 ⑬グランディア。 この二頭は基本能力値でマジックサンズに『約10ポイント』もの差をつけているわ。 ハイペースで展開が向いたとしても、 大外から飛んでくるのは間違いなく彼らの方よ。 マジックサンズは、 どう頑張っても『三番手』止まりなの」
若葉:「三番手……」
若葉が、 ポツリと呟いた。
若葉:「なんやそれ、 うちが一生懸命書いた小説より、 プロの作家さんの小説の方が読まれるっていう、 残酷な現実みたいや……」
神宮寺教授:「あら、 落ち込まないで。 あなたの小説の『バグっぷり』は唯一無二よ。 少なくとも、 私の退屈な日常を最高にハックしてくれているもの」
教授がくすりと笑い、 最後に残った⑤エコロヴァルツの名前も消し去った。
神宮寺教授:「エコロヴァルツも同じよ。 前で受ける競馬をするけれど、 同じポジションにいるショウヘイやアドマイヤテラという絶対的王者の『完全な下位互換』になってしまっているの」
若葉:「ふぅ……」
若葉が大きく息を吐き出し、 ノートをパタンと閉じた。
若葉:「これで、 ついに五頭だけが生き残ったんですね」
ホワイトボードには、 赤い斜線の嵐をくぐり抜けた『究極の五頭』の名前だけが、 誇らしげに残されていた。
・⑩アドマイヤテラ(能力1位、 先行グループの覇者) ・⑦ショウヘイ(能力2位、 圧倒的な前受けの圧力) ・⑬グランディア(能力4位、 差し勢の重鎮) ・⑮シェイクユアハート(能力5位、 展開の利を最も受ける究極の鬼脚) ・⑯ホウオウビスケッツ(能力6位、 大外から主導権を握る逃げの核)
神宮寺教授:「ええ。 前が残るか、 後ろが差すか。 それぞれのポジションの頂点に立つ、 最強の個体だけが残ったわ」
神宮寺教授はマーカーのキャップを閉め、 どこか妖しく、 しかし知的な熱を帯びた瞳で教え子たちを見つめた。
神宮寺教授:「さあ、 この洋芝のサバイバル戦で、 どの陣律(ロジック)が覇権を握るのか。 いよいよ彼らに最終的な役割(印)を与えていくわよ。 ……次へ進む準備はいいかしら?」
第3章『完璧な自在性と、 前崩れを待つ鬼脚のアンサンブル』
メインモニターに映し出された五頭の精鋭たち。
過酷なスクリーニングを生き残った彼らのデータは、 まるで選ばれし勇者たちのように青白く、 そして暴力的なまでの数値を放って輝いている。
若葉:「よっしゃ! これで残ったんは、 ⑩アドマイヤテラ、 ⑦ショウヘイ、 ⑬グランディア、 ⑮シェイクユアハート、 ⑯ホウオウビスケッツの五頭ですね!」
若葉が特製ノートに力強くマルを書き込みながら、 ウキウキとした声を上げた。
若葉:「でも教授、 なんかこの五頭、 見事に外っ側の枠ばっかりちゃいます?」
佐倉助手:「良い着眼点ですね、 若葉さん」
佐倉助手が、 コース図と五頭の枠順を重ね合わせたスライドを展開する。
佐倉助手:「残った五頭はすべて中枠から外枠(7番、 10番、 13番、 15番、 16番)に集中しています。 今回の『内側の傷み(泥の沼)』というマイナス環境を、 スタートからノーリスクで回避できる絶好のポジションなのです」
神宮寺教授:(ええ。 第18章でアリアが展開した直径十キロの安全地帯(セーブポイント)のように、 彼らは最初から『汚染されていない綺麗な馬場』を走る権利を与えられている。 この五頭の争いにおいて、 勝負を分けるのは純粋な『展開の利』と『自在性』だけよ)
神宮寺教授は白衣を翻し、 ホワイトボードへ向き直った。
神宮寺教授:「さあ、 この五頭に究極の権限(印)を付与していくわよ。 ……まずは、 このレースを最も過酷なものにする『逃げの核』からデバッグしましょうか」
教授のマーカーが、 キュッと音を立ててバツ印を描く。
×(押さえ);【16番】ホウオウビスケッツ
若葉:「ホウオウビスケッツが一番下ですか! 前に行ける強い馬やのに!」
若葉が目を丸くする。
神宮寺教授:「能力と勝負気配は申し分ないわ。 でもね、 彼は大外16番枠から、 無理やりにでも先頭(ハナ)を奪いに行かなければならないの。 序盤から膨大なエネルギーを消費して、 自らハイペースという『死の海』を作り出してしまう。 ……小回りの前有利に敬意を表して押さえるけれど、 展開が過酷すぎるわ」
教授の解説に、 佐倉が小さく頷く。
佐倉助手:「つまり、 彼がハイペースを作ることで、 恩恵を受ける馬がいるわけですね」
神宮寺教授:「その通りよ、 佐倉くん。 前が激しくやり合って自滅(クラッシュ)した時、 一番大外から飛んでくる最強の鬼脚(バグ)がいるわ」
神宮寺は、 楽しげな笑みを浮かべながら二つの印を並べて書き込んだ。
▲(特注);【15番】シェイクユアハート △(連下);【13番】グランディア
若葉:「おっ、 差し馬コンビですね! シェイクユアハートちゃんが特注(▲)なんや」
神宮寺教授:「ええ。 シェイクユアハートの決め脚は『◎◎』というシステム上の最高評価よ。 前が崩れた瞬間に、 最も突き抜ける確率が高い『前崩れの使者』ね」
教授がポインターで大外15番枠を指し示す。
神宮寺教授:「普段なら大外枠は距離を損するマイナス要素だけど、 今回のように内側が傷んでいる馬場では、 彼にとって綺麗な外側を気分良く駆け上がれる最高の舞台装置(ステージ)に変わるのよ」
若葉:「なるほど! バッドステータスが逆にバフ(強化)になるんや!」
神宮寺教授:「グランディアも同じく前崩れで飛んでくるけれど、 爆発力でほんの少し劣るから△(連下)よ。 でも、 差し決着になればセットで飛んでくる確率が高いわ」
若葉がゴクリと喉を鳴らす。
若葉:「ほな……いよいよトップ二頭ですね。 ⑦ショウヘイちゃんと、 ⑩アドマイヤテラちゃん。 どっちが本命(ROOT)なんですか!?」
神宮寺教授はふっと息を吐き、 ホワイトボードの中央へ、 美しく、 そして絶対的な二つの印を刻み込んだ。
◎(本命);【10番】アドマイヤテラ 〇(対抗);【7番】ショウヘイ
若葉:「本命はアドマイヤテラ! 基本能力値ダントツ1位のバケモノですね!」
若葉がガッツポーズを決める。
神宮寺教授:「ええ。 陣営の勝負気配もA+。 そして何より、 彼を絶対軸にする最大の理由は『究極の自在性』よ」
教授の声が、 研究室の空気をキリッと引き締める。
神宮寺教授:「ハイペースになれば中団で息を潜め、 スローになれば前へ抜け出す。 ……展開という名の環境変数に一切依存せず、 常に最適なポジション(解)を自動で導き出せるの。 5枠10番という枠も、 内側の傷みを避けつつ外を回らされるロスもない完璧な位置。 ……馬券圏内を最も外さない、 絶対の信頼が置ける個体よ」
佐倉がタイピングの手を止め、 画面を見上げる。
佐倉助手:「対抗のショウヘイは、 勝負気配がメンバー中トップの『S-』です。 能力も2位。 本来なら本命でもおかしくありませんが……」
神宮寺教授:「そう。 彼を対抗に下げた理由は、 ホウオウビスケッツが作り出す『ペース上昇リスク』の最大の標的になってしまうからよ」
神宮寺教授が、 少しだけ冷ややかに目を細めた。
神宮寺教授:「ショウヘイは先行して早めに抜け出すわ。 でもそれは、 後ろから来るシェイクユアハートたちにとって、 最も格好のターゲット(的)になることを意味するの。 ……そのリスクがある分、 二番手評価ね」
カチリ、 とマーカーのキャップが閉まり、 ホワイトボードには完璧なポートフォリオが完成した。
◎ 10 アドマイヤテラ 〇 7 ショウヘイ ▲ 15 シェイクユアハート △ 13 グランディア × 16 ホウオウビスケッツ
若葉:「完璧ですやん! 馬連と3連複でアドマイヤテラちゃんから流せば、 ガッツリ回収間違いなしですね!」
若葉がホクホク顔でノートを抱きしめる。
若葉:「これで今度こそ、 焼肉特上カルビ食べ放題が確定ですわーっ!」
だが、 神宮寺教授は無邪気に喜ぶ教え子を横目に、 窓の外の青空へ視線を泳がせていた。 その切れ長の瞳には、 自ら組み上げた完璧な数式に対する、 微かな、 しかし拭いきれない『疑念』が影を落としていた。
神宮寺教授:(本当に、 そうかしら? 第18章でアリアたちが軍の予測をことごとく上回り、 自らの手で活路(セーブポイント)を切り拓いたように。 ……私たちが計算した『内側が不利で、 外の差し馬が飛んでくる』というこの美しい環境モデルすら、 たった一頭の未知のバグによって破壊されてしまうのではないかしら?)
教授は白衣のポケットの中で、 ギュッと拳を握りしめる。
若葉:「教授? なんかまた、 小難しい顔してはりますよ?」
若葉が不思議そうに覗き込んでくる。
神宮寺教授:「……なんでもないわ」
神宮寺教授はふっと表情を和らげ、 最高に知的で傲岸な笑みを浮かべた。
神宮寺教授:「ただ、 この完璧すぎる数式が、 本番の熱量(Runtime)でどう処理されるのか……。 日曜日が待ち遠しくなっただけよ」
第4章『黄金の安全地帯(セーブポイント)と、 数式を狂わせる不協和音』
鳴門の海に沈みゆく真夏の太陽が、 分厚いブラインドの隙間から研究室へ強烈な茜色の光の筋を投げかけていた。
壁掛けエアコンは変わらず冷気を吐き出しているものの、 夕日に照らされたホワイトボードの『究極の五頭』の赤い文字が、 まるで熱を帯びて脈打っているように見える。
若葉:「よっしゃー! これで週末は完璧ですわ!」
若葉は、 すっかり空になった麦茶のグラスをデスクに置き、 両手をぐーんと上に伸ばして背伸びをした。
若葉:「◎アドマイヤテラちゃんを軸にして、 〇ショウヘイちゃんと▲シェイクユアハートちゃんたちへ流す! 展開も枠順も、 全部がうちらの味方しとる『黄金の安全地帯(セーブポイント)』ですやん!」
佐倉助手が、 排熱音を立てていたノートパソコンの画面をパタンと閉じた。
佐倉助手:「ええ。 内側の傷みというバッドステータスを回避し、 能力と展開の恩恵を最大限に享受できる五頭。 ……大衆のノイズを完全にパージした、 極めて堅牢で論理的なポートフォリオと言えます」
二人の達成感に満ちた声を聞きながら。
神宮寺教授は、 デスクの上に置かれた琉球ガラスのマグカップの縁を指先でなぞり、 なぜかひどく冷ややかな、 しかし底知れない熱を秘めた瞳でホワイトボードを見つめていた。
……カツン。
手にしていた真紅のマーカーが、 手から滑り落ちるようにデスクへ放り投げられる。
若葉:「……教授?」
その乾いた音に、 若葉がキョトンと首を傾げた。
神宮寺教授:(美しいわ。 能力、 枠順、 展開。 すべてが計算通りに噛み合ったこの陣律は、 どこから見ても論理的な最適解。 ……でも、 第18章でエルゼが自分の計算機を狂わせるバグを選んだように、 完璧に管理された水槽なんてものは、 外からの未知の熱量によって破綻する運命にあるのよ)
神宮寺教授:「ねえ、 二人とも」
教授はゆっくりと立ち上がり、 白衣のポケットに両手を突っ込んだ。
神宮寺教授:「私ね……この完璧に組み上げたマトリクスを、 心の底から疑っているのよ」
若葉:「はいぃ!?」
若葉がパイプ椅子から転げ落ちそうになり、 慌ててデスクの端を掴んだ。
若葉:「ちょ、 ちょっと待ってくださいよ! 今、 自分で『馬券圏内を最も外さない、 絶対の信頼が置ける』ってドヤ顔で宣言してはりましたやん! なんで急にちゃぶ台ひっくり返すようなこと言うんですか!?」
神宮寺教授:「論理的だからこそ、 疑うのよ」
教授は窓枠に寄りかかり、 夕陽に染まる海を見下ろした。
神宮寺教授:「私たちは今回、 内枠のオニャンコポンたちや、 高齢のアラタを『環境に適合できない』『能力が足りない』という物理法則を理由に切り捨てたわよね。 つまり彼らを、 水槽の外に広がる『生存時間三分の灰色の海』へと突き落としたわけよ」
佐倉が眼鏡のブリッジを中指で押し上げ、 静かな声でカットインする。
佐倉助手:「ええ。 あの極度にタフな洋芝において、 不利なポジションから突っ込む行為は、 競走馬のエネルギー(CEL)を瞬時に枯渇させる自殺行為に他なりません。 生き残れる確率は計算上、 限りなくゼロに近いです」
神宮寺教授:「そう、 計算上はね」
教授が振り返り、 妖しく微笑んだ。
神宮寺教授:「でも、 若葉。 あなたの書いた『新・第18章』で、 完璧な計算機であるはずのエルゼが、 最後にどんな選択をしたか覚えているかしら?」
若葉:「ええっと……」
若葉が、 胸に抱いていた小説の原稿束をパラパラと捲る。
若葉:「軍の迎撃システムやったら絶対にゼファーちゃんは間に合わんって分かっとったのに、 アリア君たちに『第一位のライセンス』を使わせて、 強引に最短ルートをこじ開けたんですよね」
神宮寺教授:「その通りよ」
教授の瞳に、 知的な歓喜の炎が灯る。
神宮寺教授:「エルゼは、 自分が最も嫌悪してきた『数式外のバグ』を、 唯一の打開策として選択したの。 ゼファーという『摩擦なき真空の残像』をシステムに叩き込むことで、 絶対に救えないはずの外界の少女を救ってみせた」
若葉:「……あ」
若葉がハッと息を呑み、 ホワイトボードの『消去馬リスト』を見つめた。
神宮寺教授:「競馬というシステムも全く同じなの。 ゲートが開いた瞬間、 私たちが計算した『内枠不利で外枠有利』という美しい水槽のルールを、 たった一頭の馬の狂気(バグ)が粉砕してしまうかもしれない」
教授は、 まるで愛しい恋人のことを語るように熱っぽい声を出した。
神宮寺教授:「アリアがアイリスの残響と共に、 死の海へ『直径十キロの安全地帯(セーブポイント)』を強制展開したように。 ……私たちが『絶対に届かない』と証明した灰色の海から、 摩擦を棄却したようなバグ馬が、 突如として大外の強者たちを薙ぎ払って飛んでくるかもしれないわ」
佐倉が、 深く得心のいったように静かに頷く。
佐倉助手:「事前の静的解析(Static)では検知できない、 レース実行中(Runtime)における、 競走馬の泥臭い並列処理(パラレル・アタック)……ということですね」
若葉:「それって……うちらが『絶対に沈む』って切り捨てた馬たちが、 理屈抜きで飛んでくるかもしれへんってコトですか?」
若葉が、 信じられないものを見るような目でホワイトボードを見上げる。
佐倉助手:「教授は、 ご自身の完璧な演算モデルが、 現実の熱量(Runtime)に敗北する可能性を期待しているのですね」
佐倉の口元に、 天才の抱える矛盾を好ましく思うような、 微かな笑みが浮かんでいた。
神宮寺教授:「ええ。 競馬がもし、 私の計算した数式通りにしか動かない箱庭なら、 そんなものただの退屈な算数ドリルよ」
教授はデスクへ戻り、 放り出していたマーカーを綺麗に並べ直した。
神宮寺教授:「私が『絶対に沈む』と証明した灰色の海を、 圧倒的な熱量で突き破ってくる未知の来訪者(バグ)。 ……その人知を超えた不協和音を突きつけられる瞬間こそが、 私にとって至高のエンターテインメントなのよ。 予想を当てることは当然のタスクだけれど、 予想を美しく破壊されることは、 研究者にとって最高の『報酬』なの」
若葉は呆れたように大きく肩をすくめ、 やがてふふっと吹き出した。
若葉:「ほんま、 教授ってば度し難い競馬変態(マゾ)ですねぇ! 自分の予想が当たるのも嬉しいけど、 それ以上に自分の予想をぶっ壊してくる『アリア君』みたいなスゴい怪物が見たいってコトでしょ?」
神宮寺教授:「最高の褒め言葉として受け取っておくわ」
研究室の壁に掛けられたデジタルクロックが、 静かに時間を刻んでいる。
夕陽が沈み、 部屋の中に深い藍色のグラデーションが広がり始めていた。
神宮寺教授:「だから日曜日、 この五頭の陣形が綺麗に勝ってくれても嬉しいし、 全く別の不協和音が私たちのポートフォリオを吹き飛ばしてくれても構わないわ」
神宮寺教授が、 凛とした声を響かせる。
神宮寺教授:「どちらに転んでも、 ゲートが開くという『不完全な開演(ファンファーレ)』が、 私達に新しい『世界の波形』を観測させてくれるのだから」
若葉:「よっしゃあ!」 と力強くガッツポーズを作った。
若葉:「ほな、 日曜日の札幌記念は、 アリーナの最前列で観測させてもらいますわ! うちらの要塞が勝つか、 それとも外から伝承のバグ馬が飛んでくるか……めっちゃ楽しみになってきました!」
神宮寺教授:「さあ、 今週の前編(事前デバッグ)はこれにて終了よ」
神宮寺教授は白衣の襟を正し、 窓の向こうの暗闇へ向かって不敵な笑みを投げかけた。
神宮寺教授:「大衆の計算が追いつかない、 極上のノイズ(結果)を探しに……いざ、 北の大地のサバイバル戦へ!」
重厚な扉がカチリとロックされる音が、 週末の開演を待つ熱狂を、 静かに研究室の中へと閉じ込めた。
『神宮寺教授の秘密講義 札幌記念(前編)』――完
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作中で語られる意識低い系デブ猫無料趣味小説「新・第17章『外界からの来訪者、あるいは伝承の少女』『響け、解析不能な共鳴(レゾナンス) 〜失敗作と呼ばれた少年と、消えゆく少女の遺した光〜』17【成長し続ける天才が歩むそれからの物語(第1部リライト+完結編)】」とは?
1. 全体構造(ストーリーのあらすじ)
この第17章は、大きく3つの視点(パート)から構成されています。
1. アリア視点(王立魔導学院・自室) アイリスとの「外の世界へ一緒に行く」という約束を胸に刻むアリアのもとに、王都中央軍の使者が現れる。 使者はアリアを「前第一位(ソラン)の後任」として、地下で死ぬまで王国の結界を維持する「システム(電池)」にしようと拘束を試みる。 アリアはこれを拒絶。先々代・第一位であるナギの介入、そして友人コトネの協力を得て、国家の命令に反逆し部屋を脱出する。
2. ナギの示唆と外界攻略のロードマップ ナギは結界の限界を指摘し、外界を安全に進むための攻略法「10キロごとの陣律(結界の重なりによる安全地帯作成)」を提示する。 さらに、かつて大障壁の門から倒れていたところをソランに救われた外界の生存者「ゼファー(Z0)」こそが、外界を案内するキーパーソンであると明かす。
3. パルパル視点(外界〜大障壁の門前) 滅びかけたエルフの国から、「伝承の光(水槽/王国)」を目指して旅立った50人の決死隊。 激しい過酷な旅路で仲間は全員石化・死亡し、最後の一人となったエルフの超エリート術士パルパルが、命からがら王国の「大障壁の門」に辿り着く。 しかし、門の中から現れた王立魔導軍は、彼女を「汚染物質」とみなして容赦なく「処分(射殺)」しようとする。絶体絶命の瞬間、アリアたちの突破(開錠)の音響が響き渡る。
2. 重要設定・用語の整理
水槽(王国) 人々が安全に暮らしている領域。しかし実際は、巨大な円形結界によって守られた閉ざされた籠に過ぎず、年々外からの汚染(残滓)によってひび割れ始めている。
魔導序列第一位の真の役割(システム) 英雄の称号と思いきや、その正体は「中央塔地下で自分の魔力を無制限に供給し続け、結界を維持するためだけの生体電池」。ソランもかつて一人でこれを行っていた。
外界 「生存時間わずか3分」と言われる死の荒野。高濃度の「魔法残滓(毒)」が充満し、汚染魔獣が蠢いている。
10キロごとの陣律(セーブポイント攻略) アイリスの命(残響)を一気に燃え尽きさせないため、アリアの第一拍律動を10km進むごとに大地へ打ち込み、半径10kmの浄化結界を重ね合わせて前進する作戦。
ゼファー(Z0) かつてソランが門の前で拾った外界の生存者。外界の地理や逃げ道を知るナビゲーターとしての役割を持つ。
パルパル エルフの国から派遣された最後のエルフ。普段は泣き虫でポンコツな振る舞いを見せるが、極めて高精度な魔力構築と解毒魔法を扱う実力者。49人の仲間の遺志と石化の悲劇を背負っている。
3. 章の大きな見どころ・テーマ
①「保護という名の収監」対「過酷な外への旅立ち」
大人たち(国家)は「安全な籠(水槽)」を守るために個人の尊厳や命をシステム(部品)として消費しようとします。それに対し、アリアたちは「アイリスを救い、真実の未来を見る」ために、過酷で危険な外界への飛び出し(反逆)を選びます。
②「すれ違う希望」残酷な対比
外の地獄を生き延びたパルパルにとって、王国は「救いと伝承の光が眠る希望の地」でした。しかし、中にいる国家側にとって、外から来た者はただの「感染源・汚染物質」でしかなく、冷酷に排除しようとします。希望を抱いて門を叩いた少女を待っていた鉄の壁という、非常にドラマチックで残酷な構図が描かれています。
③ 立ち上がる仲間たちと反逆のセッション
アリアの強い決意に、かつての第一位であるナギ、理論派のコトネ、そして決意を固めるアリアの力が噛み合い、理不尽な国家の暴力(近衛兵・使者)を打ち破っていく疾走感あふれる展開です。
4. 結末と次の展開(クライマックスへの布石)
門の前で交差する運命 絶体絶命のパルパル(門の外側)と、反逆を起こして大障壁の門を開けて飛び出そうとするアリア一行(門の内側)。
ラストの重厚な開錠音とド迫力の律動音は、アリアたちが「王国のルールを破壊して外界へ踏み出した瞬間」であり、同時に「間一髪でパルパルを救う(あるいは事態を激変させる)合図」となっています。
物語は、いよいよ「狭い水槽の中の争い」から、「壊れゆく世界全体を救うための外界突破行」へとスケールを広げていくことになります。
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新・第17章『外界からの来訪者、あるいは伝承の少女』『響け、解析不能な共鳴(レゾナンス) 〜失敗作と呼ばれた少年と、消えゆく少女の遺した光〜』17【成長し続ける天才が歩むそれからの物語(第1部リライト+完結編)】

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