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『マナ・デッドエンド~世界の心臓(ノア)は檻の中で微笑む魔力を奪われた少女と仕掛ける、史上最大の救済詐欺〜』【未来編】『俺だけ知ってる彼女の秘密 ~封印スキルで最強幼馴染を守る件~』
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第01章『マナ・デッドエンド』『マナ・デッドエンド~世界の心臓(ノア)は檻の中で微笑む魔力を奪われた少女と仕掛ける、史上最大の救済詐欺〜』

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マナ・デッドエンドとは
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――その世界は、「善意」をエラーとして排除する。
魔力が貨幣となり、スキルが人間の価値を決定する魔導情報社会。 そこでは、すべてが合理的に最適化され、無駄も、例外も、慈悲さえも許されない。
だが――もし、その完璧なシステムを狂わせる“たった一つのバグ”が現れたとしたら?
『マナ・デッドエンド:最深獄のコンフィデンス・ゲーム』第01章――
世界の心臓にして、最悪の罪人。 贅の極みを尽くした監獄「最深獄」に囚われた男、ノア。 彼は退屈を糧に世界を回しながら、すべてを見下ろしていた。
一方、すべてを奪われた少女リリィ。 魔力も未来も失い、世界から“廃棄”された彼女が差し出したのは、合理性を裏切る最後の一滴――無価値な優しさ。
その瞬間、世界は静かにバグり始める。
空き缶ひとつで崩壊する追跡劇。 契約と法が牙を剥くディストピア。 そして、因果を操る囚人が仕掛ける、史上最大の“嘘”。
これは、絶望の底で出会った二人が、 世界そのものを騙し返すために紡ぐ――知略と欺瞞のコンフィデンス・ゲーム。
「三秒後に絶望するのは、君じゃない」
すべてを奪われた少女と、すべてを見通す囚人。 その出会いが、完璧すぎた世界に致命的な亀裂を刻む。
――ようこそ、最深獄へ。 ここでは、希望すらも“計算”される。
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あらすじ
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『マナ・デッドエンド:最深獄のコンフィデンス・ゲーム』 第01章「マナ・デッドエンド」
【歴史書『魔導社会の黄昏』より抜粋】
> 「人類は、自らの“心臓”を罪人と呼び、安心していた。 > その心臓が止まれば世界が終わると知りながら、だ。 > ──愚かさとは、時に文明よりも強固である」
紅茶の香りは、あまりにも静かだった。
まるでこの空間だけが、世界から切り離されているかのように。
「……いい香りだ」
ノア・ヴァン・アステリオスは、ゆっくりとカップを傾けた。
 ここは最深獄。 世界でもっとも深く、もっとも閉ざされた場所。
──にもかかわらず。
足元には沈み込むほどの絨毯。 壁には失われたはずの名画。 そして手元には、聖遺物で淹れられた紅茶。
檻というより、これは。
“神を閉じ込めるための、贅沢すぎる飼育箱”だった。
「マスター。本日の器は“聖杯”です」
柔らかな声が、空気を撫でる。
振り返るまでもない。 銀髪のAI、アステリアだ。
 「昨日のアンティークでは、あなたに相応しくありませんでしたので」
「そうかい。……じゃあ今日は“聖遺物の私物化”が罪状に追加だな」
ノアは肩をすくめる。
すると部屋の隅で、カチリと金属音が鳴った。
「その程度で済めば安いものですわ」
赤い瞳のAI、セレスが、ライフルのボルトを引いた。
「不敬な人間が一名、監視網に触れました。削除してよろしいですか?」
 「却下」
「では四肢切断で」
「却下」
「……優しすぎますわ、マスター」
ノアはため息をついた。
「朝から血の話はやめてくれ。紅茶がまずくなる」
その一言で、世界は静かに回り続ける。
──本当に。
彼が一口飲むたびに。
世界中の魔力供給が、安定していた。
雨だった。
冷たい、最悪の夜だった。
「……は……?」
リリィ・アーデントは、膝をついたまま動けなかった。
 視界が、ノイズで歪む。
『警告:魔力残量、限界値以下』
終わりを告げる音が、頭の奥で響く。
「……嘘でしょ……」
信じていた。
あの司教を。 あの契約を。 あの“救い”を。
なのに。
『スキル:封印』 『固有能力:削除』
すべて、消えていく。
身体が、軽い。
違う。
“中身が抜けていく”感覚だった。
「……やだ……やだよ……」
世界の色が、消えていく。
魔法も、光も、意味も。
全部。
灰色に。
──そのときだった。
視界の端に、“それ”があった。
壊れた猫型ロボット。
泥まみれの、ただのスクラップ。
「……君も、捨てられたの?」
自分と同じだと思った。
だから。
考えるより先に。
彼女は、それを抱き上げていた。
「ごめんね……何もないけど……」
そして。
最後の魔力を、流し込む。
──ありえない選択だった。
合理性ゼロ。 利益ゼロ。 未来ゼロ。
ただの“善意”。
この世界がもっとも嫌う、“バグ”。
『……再起動』
猫が、動いた。
「……え?」
リリィの呼吸が止まる。
「……計算が狂ったな」
低い声が、響く。
「普通なら君は、ここで泣いて終わるはずだった」
琥珀色の瞳が、光る。
「なのに、世界に裏切られた直後で“他人”を助けるとは」
猫は、ゆっくりと首を傾げた。
「……面白い」
「しゃ、しゃべった……!?」
「自己紹介がまだだったな」
その声は、どこか楽しげで。
そして、決定的に“人間ではなかった”。
「ノアだ。……君を騙した連中よりは、多少マシな存在だと思ってくれ」
「ノア……?」
「さて」
猫の瞳が細くなる。
「復讐する気はあるか?」
雨音が、止まったように感じた。
「……え……?」
「あるなら簡単だ」
ノアは言った。
まるで、ゲームの攻略法を教えるように。
「その空き缶を──三センチ、左に動かせ」
リリィの指先が、震えていた。
「……これ、意味あるの?」
泥に半分埋まったアルミ缶。
軽くて、汚くて、価値なんて一切ないそれを見つめる。
「あるとも」
ノアは即答した。
「世界は巨大に見えて、その実“ズレ”で壊れる」
「ズレ……?」
「いいから動かせ。三センチだ」
迷う時間はなかった。
というより──もう、失うものがなかった。
リリィはゆっくりと缶に触れ、
そして、ほんの少しだけ左にずらす。
キィ……と、頼りない音。
「……これで終わり?」
「いや。ここからが本番だ」
その瞬間。
路地の入口から、爆音が突っ込んできた。
「──見つけたぞォ!!」
魔導バイク。
二台。
水しぶきを撒き散らしながら、一直線にリリィへ迫る。
「逃げ──」
「動くな」
ノアの声が、鋭く落ちた。
「一歩もだ」
その声音に、反射的に体が止まる。
次の瞬間。
すべてが、繋がった。
一台目のバイク。
前輪が──缶を踏む。
普通なら、弾くだけ。
だが。
雨。 マンホール。 摩擦。 速度。
すべてが、最悪の形で噛み合う。
「なっ──」
ズルッ、と。
ほんの数度の角度ズレ。
それだけで。
バイクは“制御不能”になった。
「うおあああああ!?」
スピン。
激突。
火花。
そのまま、後続の進路を塞ぐ。
「チッ、どけ──!」
二台目。
回避しようとして、
だが遅い。
弾けた破片が、
上空へ──
そして。
滞空していた魔導ドローンのローターに、吸い込まれた。
──バチン!!
紫電が弾ける。
ドローンが狂う。
墜ちる。
そのまま、
通信アンテナへ直撃。
ネットワーク、崩壊。
静寂。
たった数秒。
それだけで。
すべてが終わっていた。
「……え」
リリィの口から、間の抜けた声が漏れる。
さっきまで自分を追っていた男たちが、
地面で転がっている。
煙。
火花。
壊れた機械。
そして──
たった一個の空き缶。
「……なんで……」
「簡単な話だ」
ノアは淡々と言った。
「連中が勝手にミスを積み重ねただけだ」
「でも……こんなの……」
「“ありえない”?」
少し笑う気配。
「人間はそう言って思考を止める」
猫の瞳が、細くなる。
「だが実際は違う。すべて“起こり得る範囲”の中だ」
「……」
「私はただ、それを並べただけ」
まるで積み木のように。
「倒れる順番に、な」
リリィは、言葉を失った。
怖い、と最初に思った。
次に。
少しだけ──
期待してしまった。
「……ねえ」
「なんだ」
「あなた、本当に何者なの」
数秒の沈黙。
そして。
ノアは、あっさりと答えた。
「囚人だよ」
「……え?」
「世界で一番、待遇のいい牢屋に入れられてる」
軽い口調。
でもその奥にあるものは、重かった。
「魔力を供給し続ける代わりに、自由はゼロ」
「それって……」
「そう」
ノアは笑った。
「世界の“心臓”ってやつだ」
理解が追いつかない。
けど。
嘘じゃないと、なぜか分かった。
「……どうして、私を助けたの」
震える声。
「私はもう、何もないのに」
「だからだよ」
即答だった。
「何もない人間は、計算を壊す」
「……」
「君はさっき、最悪の選択をした」
ノアの声が、少しだけ柔らかくなる。
「自分が死にかけてるのに、他人を助けた」
「……それが?」
「それが“バグ”だ」
はっきりと言い切る。
「この世界には存在しない種類のな」
リリィの胸が、わずかに熱を帯びる。
それは魔力じゃない。
もっと、原始的な何かだった。
「だから、賭けることにした」
「賭け……?」
「ああ」
ノアは楽しそうに言う。
「君がどこまで世界を壊せるか」
「壊すって……」
「安心しろ。壊れるのは君じゃない」
少しだけ、声が低くなる。
「壊れるのは──君を壊した側だ」
雨音が、また強くなる。
でももう、それは嫌な音じゃなかった。
「……私、どうすればいいの」
「簡単だ」
ノアは言う。
「私の言う通りに動け」
「それだけでいいの?」
「ああ」
少し間を置いて。
「三秒後に絶望するのは、常に“相手側”になる」
リリィは、小さく息を吸った。
そして。
頷いた。
「……やる」
「いい返事だ」
「もう一回、笑いたいから」
「なら保証しよう」
ノアの声が、静かに響く。
「君は笑う側になる」
リリィは歩き出す。
泥だらけで。
何も持たずに。
ただ一つ。
“世界を騙す切符”だけを抱えて。
その背中を。
誰も見ていなかった。
──ただし。
世界そのものを除いては。
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