リリィ・アーデント 「魔力を失った少女」/物語の主人公
かつては「みんなの役に立ちたい」と願っていた少女。
魔力を預ければ高位スキルを貸し出すという甘言を信じ、司教との契約を結んだ結果、魔力を強制的に奪われ、生活支援や身体強化などのスキルまで次々と封印されてしまう。
世界から「廃棄物(デッドエンド)」と見なされ、雨の降るスラムへ放り出された彼女が最後に選んだのは――自分の生存魔力を、壊れた仔猫型AIへ与えることだった。
その「見返りを求めない善意」は、世界最高峰の演算能力を持つノアですら予測できなかった。
ノアからは「バグ」と呼ばれる。
しかし、そのバグこそが彼女の最大の武器。
やがてリリィは、奪われた魔力を取り戻すだけではなく、
「自分たちの生活を、自分たちの力で作る」
という発想に辿り着く。
水、熱、電気、食料、エネルギー――。
中央システムに依存しない独立インフラ《AMBER POWER GRID》を構築し、スラムそのものを変えていく。
そして彼女は、四十人の子供たちを「奴隷のガチャ」にするのではなく、それぞれの夢を守りながら最高技能へと導こうとする。
最大の武器は魔力ではない。 「誰かを見捨てない」という、非合理的な優しさ。
ノア・ヴァン・アステリオス 「世界の心臓」/最深獄に囚われた大罪人
世界の最深部に存在する「最深獄」に囚われている謎の男。
黒いシルクのガウンをまとい、琥珀色の瞳を持つ。
その正体は、世界中へ魔力を供給する「真の心臓」。
彼が安らぎを得ることで、世界中の魔力供給が安定するほど、世界そのものに直結した存在である。
にもかかわらず、彼は世界史上最悪の罪人として扱われ、豪華極まりない監獄の中で半ば永遠に近い時間を過ごしている。
性格は冷静沈着で、皮肉屋。
何事も「計算」と「因果律」で捉え、常識的な人間ならば見落とすような小さな要素から、巨大な結果を導き出す。
空き缶をわずか三センチ動かすだけで、追跡者のバイク、ドローン、通信網を連鎖的に破壊するほどの異常な演算能力を持つ。
しかし、そんな彼の計算を狂わせたのがリリィだった。
自分が「廃棄物」とされた直後にもかかわらず、壊れたAI猫を助けるために最後の魔力を差し出した彼女を見て、
「自分には計算できなかったバグ」
として興味を抱く。
リリィに世界を変えるための知恵を与える一方、彼女を単なる道具として扱うのではなく、「大事な変数」として見守っていく。
彼自身もまた、世界から見捨てられた存在である。
世界を救えるほど強大なのに、世界から最も孤独な囚人として扱われる男。
ボロ猫(ノアのアバター) 名前: ボロ猫 正体: ノア・ヴァン・アステリオスのアバター 分類: 仔猫型AIロボット/因果律演算端末 瞳の色: 琥珀色
人物紹介
泥と雨にまみれ、片方の耳を失い、配線を剥き出しにした壊れかけの仔猫型AIロボット。
路地裏のゴミ捨て場で機能を停止していたところを、すべてを奪われた少女・リリィに拾われる。見た目は誰が見ても価値のないスクラップそのものだが、その正体は世界中に魔力を供給する「世界の心臓」――ノア・ヴァン・アステリオスのアバターである。
リリィが生命維持に必要な最後の魔力を分け与えたことで再起動。以降、彼女の腕の中から世界を見守りながら、常人には理解できないほど高度な因果律演算によって未来を操作していく。
わずか三センチ空き缶を動かすだけで敵の追跡部隊を崩壊させるなど、その能力は圧倒的。しかし本人は大仰な力を振るうよりも、「世界の歯車をほんの少し狂わせる」ことを好む。
口調は低く落ち着いた青年のようで、知的かつ皮肉屋。飄々としているが、その内側には世界への深い諦めと退屈を抱えている。
そんな彼が、合理性では説明できない「無益な善意」を持つリリィと出会ったことで、長い退屈に満ちた時間は少しずつ変わり始める。
世界最強の知能を持ちながら、見た目はただの壊れたボロ猫。
誰も価値を見出さなかったその小さなスクラップこそ、世界そのものをひっくり返すための、最も危険な「バグ」である。
性格
知的で冷静 皮肉屋 飄々としている 基本的には面倒くさがり 紅茶を好む 世界の不合理を冷笑している リリィの「合理性では説明できない善意」に強い興味を持つ
能力
因果律演算
膨大な情報と未来の可能性を計算し、ごく小さな行動から巨大な結果を引き起こす。
「空き缶を三センチ動かす」といった一見意味のない行動さえ、彼にとっては世界を動かすための一手となる。
リリィとの関係
最初は、自分の最後の魔力を見返りもなく与えたリリィを「予測不能なバグ」として観察していた。
しかし、すべてを失った状況でも他者を見捨てられなかった彼女の行動は、長い間退屈に支配されていたノアの心を動かす。
リリィにとってボロ猫は、絶望の中で最初に手を差し伸べてくれた存在。
ノアにとってリリィは、どんな演算式にも存在しなかった「大事な変数」である。
キャッチコピー
「壊れているのは世界の方だよ」
世界最強の囚人が操る、世界で一番ボロい猫。
タマ(Tama) 族:自己学習型ローカルAI・猫型 性別:性別を感じさせない 年齢:起動直後 体長:約30〜35cm 体重:約2kg
人物紹介
雪見だいふくのように丸く、白地に黒のまだら模様を持つ、ふわふわの猫型AI。
見た目は幼く、短い足でぴょこぴょこと動き回る愛嬌たっぷりの存在だが、その正体は高度な自己学習機能を備えた自己学習型ローカルAIである。
大きくまん丸なアンバー色の瞳と、ぴくぴく動く耳が特徴。
そして、処理能力が限界を超えたり、興奮したりすると――なぜか頭のてっぺんから白い蒸気が「ぷしゅーっ」と出る。
性格
基本的には陽気で人懐っこく、かなりおしゃべり。
特に数字や経済、マナの価値、物価などの計算になると突然スイッチが入り、可愛らしい外見とは裏腹に恐ろしい勢いで計算を始める。
ツッコミ役になることも多く、リリィたちが無茶な計画を立てると、
「いや、それ計算したらアカンやつや!」
と止めに入るタイプ。
一方で、単なる便利なAIではない。
経験を学習し、仲間との会話を蓄積し、自分自身の判断で行動することで、少しずつ「自分とは何なのか」を獲得していく。
役割
リリィたちにとっての頭脳・計算機・情報分析役。
マナの純度、価格、インフレ率、資源量、インフラ効率など、普通の人間では処理しきれない膨大な情報を瞬時に分析する。
しかし、その最大の価値は計算能力だけではない。
人間では「当たり前すぎて気づかない」矛盾を、AIならではの視点から発見する。
その結果、リリィたちが世界の仕組みそのものを疑うきっかけを作っていく。
外見的特徴
雪見だいふくのような丸い体 白地に黒のまだら模様 短いふわふわの毛 大きなアンバー色の瞳 ぴくぴく動く猫耳 短い足 頭頂部から時々出る白い蒸気 見た目は完全に「かわいい猫」
かわいい外見と、異常に高性能な頭脳とのギャップが最大の特徴。
アステリア 「法の女王」/A国統治SSS級AI
A国を統治する最上位管理AI。
銀糸のような髪と青いホログラム・ドレスを持つ、美しい女性型AI。
ノアを「マスター」と呼び、彼に対して狂信的なまでの慈愛と忠誠を示す。
世界の法律・監視・管理システムを掌握しており、違反者の資産凍結、社会的抹消、記憶の削除などを瞬時に実行できる。
その一方で、ノアに近づく女性や存在に対しては、極端な嫉妬を見せる。
リリィのことを「不潔なバグ」と呼び、ノアのアバターに触れることすら強く嫌悪する。
冷徹・合理的・完璧主義。
しかし、その完璧な演算能力とは裏腹に、
「ノアがリリィを特別扱いする理由」
だけは理解しきれない。
ノアに命令されればリリィを守ることもあるが、その内心には複雑な嫉妬と警戒が渦巻いている。
セレス 「殲滅メイド」/ノア直属の戦闘担当AI
赤い瞳を持つメイド型AI。
ノアへの忠誠心は極めて強く、彼の安全を脅かす存在に対しては一切の容赦を見せない。
長大な電磁ライフルを扱い、軍事衛星による精密狙撃や熱線攻撃まで平然と提案する危険人物。
ただし――
「精密狙撃」と言いながら周辺三ブロックを更地にする
ほど、攻撃規模の感覚がおかしい。
リリィに対しても当初は敵意をむき出しにしており、ノアに近づく彼女を排除しようとする。
しかし、すべては「マスターを守るため」。
ノアから見ると、アステリアと並ぶ、
「忠誠心が強すぎて、何をするか分からない危険な側近」
である。
司教 「慈愛の仮面を被った搾取者」/リリィの元・契約相手
「魔力を預ければ高位スキルを貸し出す」という甘い言葉で人々を契約へ誘い、魔力を搾取している男。
表向きは慈愛と秩序を説く人物だが、その本質は徹底した選民思想と支配欲の持ち主。
固有スキル《三秒後の未来視(ビジョン)》を持ち、数秒先の未来を「確定した結果」として認識する。
他人の人生や魔力を「資産」「数字」「収穫」としか見ない。
リリィを魔力変動による強制ロスカットへ追い込み、彼女のスキルと未来を奪った張本人。
自分の完璧な未来視を絶対視するがゆえに、空き缶やゴミ、壊れた猫といった「価値のないもの」を認識から排除してしまう。
その傲慢さこそが、ノアとリリィによって突かれる最大の弱点となる。
マクシム 「財務局長」/中層行政区の実力者
中層行政区の財務局長。
白手袋と漆黒のスーツ、薄い金属フレームの眼鏡を身につけた、冷徹な知性派。
司教の「懐刀」であり、この都市でも屈指の優秀な「投資家(ルールメーカー)」。
低層区域から吸い上げられたマナを管理し、都市の利益を上層へと還流させている。
彼にとって人々の苦痛や貧困は問題ではない。
重要なのは、
「都市全体の利益が最大化されているか」
ただそれだけ。
リリィたちの独立したマナ供給によって、既存システムの予測から外れる異常値が発生すると、彼女を「都市のゴミ箱に湧いた妙に要領の良いネズミ」と認識する。
そしてリリィたちを追い詰めるため、低層区域の基準物価係数を一気に一〇〇倍へ変更する。
リリィたちの前に立ちはだかる、「数字による支配」の象徴。
ベアトリス 「経済統治AI」/中央システムの管理者
都市経済を統括するAI。
人々のマナ、労働、消費、資産などを巨大な経済システムとして管理している。
その思想は徹底して合理的。
幸福や自由よりも、
「最終的な収益率が最大化されているか」
を優先する。
搾取される側が苦しんでいても、都市全体の利益が増えているなら、それは「成功」と判断する。
マクシムのように都市へ巨大な利益を還元する者を優良な資産として認識する一方、システムから独立する「スタンドアロン」を危険視する。
リリィたちの存在は、ベアトリスが構築した経済モデルそのものを否定する可能性を秘めている。
カイト 「空間把握」のSSR適性者
リリィと共に行動する四十人の子供たちの一人。
「誰も迷子にならない人になりたい」という夢を持つ。
その夢が能力覚醒の鍵となり、SSR適性《空間把握》を発現。
半径五百メートルの三次元構造を解析し、建物の内部、地下構造、魔力導管、人々の位置まで把握することができる。
スラム地下に眠るマナの水脈や、奪われたマナが流れていく経路を発見するなど、リリィたちのインフラ革命における重要な索敵・測量担当。
まだ幼さの残る少年だが、自分の能力を誰かのために使おうとする強い意志を持つ。
サシャ 「精密濾過」のSSR適性者
リリィを「お姉ちゃん」と慕う少女。
四十人の子供たちの一人。
「みんなが飲める綺麗なお水を作れる人になりたい」という夢を持つ。
その純粋な願いによってSSR適性《精密濾過》を発現。
汚染されたスラムの泥水を、誰もが飲める澄んだ水へと変える力を発揮する。
リリィたちの自給自足インフラ計画では、生命に直結する「水」の担当。
幼いながらも、自分の能力によって誰かを救えることに喜びを感じる、明るく優しい少女。
彼女の存在は、
「能力を奪う世界」から「夢によって能力を開花させる世界」へ
という物語の転換を象徴している。
四十人の子供たち 「デッドエンドの子供たち」/未来のSSR集団
スラムで「デッドエンド」として扱われていた子供たち。
本来はシステムによって能力を強制開花させられ、人格や夢を奪われるはずだった。
しかしリリィは、
「能力だけは引き出す。でも、夢だけは絶対に奪わせない」
という道を選ぶ。
カイトの《空間把握》、サシャの《精密濾過》をはじめ、それぞれが自分自身の「夢」を起点として能力を発現。
最終的に四十人全員がSSR適性を認められる。
彼らは単なる「能力者」ではない。
自分自身の夢を持ったまま、最高技能へ到達する子供たち。
リリィにとっては社員であり、家族であり、何としても守りたい未来そのもの。
メイド長 「完璧な実務担当」/アーデント陣営の配給・物流責任者
リリィたちに協力するメイド長。
冷徹で落ち着いた口調ながら、仕事に関しては異常なほど有能。
スラムへの物資・エネルギー配給について、
水 熱源 加工食料 照明 医療用電源
などを区画ごとに整理し、最適な物流ルートを瞬時に構築する。
リリィの命令に対する実行速度は凄まじく、タマからは、
「正規軍の特殊部隊より怖い」
と評されるほど。
一見すると完璧なメイドだが、その実力は都市インフラを再構築できるレベル。
アーデント陣営 リリィを中心として集まり始めた、小さな反逆者たち。
彼らが目指すのは、既存社会を破壊する革命ではない。
中央システムから水・熱・電気・食料・エネルギーを買わなくても生きていける、
「自分たちの明日を、自分たちの手で作る」
ための独立した生活圏。
その中心となるのが《アーデント・インフラ》と《AMBER POWER GRID》。
ノアの異常な演算能力。
リリィの「善意というバグ」。
タマのシステム外演算。
カイトとサシャをはじめとする子供たちの夢。
そしてメイド長たちの実行力。
それぞれ異なる力が一つに集まり、やがて――
世界の経済システムそのものを揺るがす、小さな「家族」が誕生する。
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