【名無しさん】 2025年9月30日 5時59分10秒 | 『戦術士ですが、理想主義が過ぎて命がけです』【猫でも書ける戦記小説】 『戦術士ですが、理想主義が過ぎて命がけです』【猫でも書ける戦記小説】 「……また、戦術書?」 月光が差し込む書庫の窓辺で、セリナ・ノクティアがユグ・サリオンの背後から声をかけた。 彼女の声は柔らかく、けれどどこかくすぐるような響きを持っている。 「これは戦術書じゃない。詩集だよ。戦術詩集だがね」 ユグは本から目を離さず、ページをめくる手を止めなかった。 その横顔は真剣そのものだが、耳がほんのり赤い。 「詩と戦術を混ぜるなんて、あなたくらいよ。恋の駆け引きも布陣で考えてそう」 「恋は戦より複雑だ。敵は予測できるが、君の笑顔は予測不能だ」 セリナはくすくすと笑った。 「それ、褒めてるの? 皮肉ってるの?」 |