小説:「真宮寺教授の秘密講義」(フェブラリーS編)《デブ猫競馬》


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第九章:砂の王国に降る論理の雨

(ついにこの時が来てしまった。22頭の群像劇を冷徹に削ぎ落とし、残ったのはわずかな輝きと、それを取り巻く深い闇。答えは、砂の上に書かれているのだから)
真宮寺は最後の一口のドーナツを飲み込むと、紙ナプキンにペンを走らせた。その動きに迷いはないが、口元には自嘲気味な笑みが浮かんでいる。
真宮寺 「佐倉くん、これが私の最終的な『仮説』よ。あくまで仮説。真実なんてものは、レースが終わった後の確定掲示板にしか存在しないわ」
佐倉 「教授……。それで、結論は?」
真宮寺 「本命は**ラムジェット**。そして、対抗に**コスタノヴァ**。この二頭が好枠を引くことが大前提だけど、論理のフィルターを最後まで潜り抜けたのはこの二頭だけよ。特にラムジェットの期待値は、今のオッズなら『投資』と呼べるレベルにあるわ」
佐倉 「やっぱりその二頭ですか。でも、教授の『疑念』を形にした買い方は?」
真宮寺 「ええ。もしラムジェットが、まるで私の論理を嘲笑うように馬券外へ飛んでいくとしたら……その時は、この五頭が掲示板でダンスを踊っているはずよ」
真宮寺は紙ナプキンを佐倉の方へ滑らせた。そこには、殴り書きのような文字でこう記されていた。
【真宮寺教授の「疑念と心中」馬券術】 ■本線(論理の正解):
・ラムジェットとコスタノヴァの馬連・ワイド一点。
(※ラムが来るときは、この二頭がセットで突っ込んでくる。外れるときは二人で飛ぶ、潔い決着)

■保険(論理の敗北への備え):
・ダブルハートボンド、オメガギネス、ロードクロンヌ、ウェイワードアクト、ウィルソンテソーロの三連複BOX。
(※ラムが届かない「前残り」の地獄絵図が完成した際、棚からぼた餅を拾うための選択)
佐倉 「……教授、これって要するに『ラムジェットが来るか、それ以外(先行勢)が総取りするか』っていう、究極の二択ってことですよね?」
真宮寺 「そうよ。二極化こそが、今年のフェブラリーSの正体。中途半端な予想は、中途半端な配当しか生まないわ。もし私の論理が正しければラムが突き抜け、私の論理が『展開』という魔物に食い殺されたなら、その時はこのゴミ箱から拾った五頭があなたを救うでしょう」
佐倉 「なんだか……当たる気がしてきました」
(コスタとラム。君たちが勝てば私の頭脳の勝利。けれど、もし君たちが砂に沈んだとき……私はきっと、今日一番の笑顔で、自分の愚かさを祝福するでしょうね)
真宮寺は立ち上がり、白衣を翻してカフェの出口へと歩き出した。