小説:「真宮寺教授の秘密講義」(フェブラリーS編)《デブ猫競馬》
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第八章:砂の上の神託と、論理の黄昏
(ドーナツの甘さは、時として真実を覆い隠すわね。けれど、佐倉くんが差し出したこの毒々しい色をしたストロベリーチョコのリングを齧りながらも、私の脳細胞は二十二頭の馬たちが疾走する砂の軌跡を演算し続けている。論理は完成した。けれど、どうしてだろう。この結論に、私はまだ言い知れぬ「綻び」を感じている……)
大学近くのカフェ。真宮寺は、紙ナプキンに走り書きをしながら、佐倉を鋭い眼光で見つめた。
真宮寺
「いい、佐倉くん。これが私の『疑念に満ちた聖書』の最終章よ。私たちが辿り着いたのは、**コスタノヴァ**と**ラムジェット**という二つの極致。けれど、これを鵜呑みにする馬鹿になってはいけないわ」
佐倉
「教授、ドーナツ食べながらそんな怖い顔しないでくださいよ……。でも、整理すると、基本はこの二頭のどっちかが勝つってことですよね? 枠順さえ良ければ」
真宮寺
「ええ。データが導き出した『最短距離の正解』はそれよ。コスタノヴァという完成された王と、ラムジェットという底知れぬ怪物。けれど、競馬の神様は時々、サイコロを振るのをやめて、盤面そのものをひっくり返すの。もし当日の風が向かい風で、砂が舞い上がり、先行勢が『こんなの無理ゲーだ!』と叫びながら沈んでいくなら、ラムジェットの単勝一点で、三浦皇成の涙と共に大金を手にするでしょう」
佐倉
「三浦騎手の涙……。それ、全競馬ファンが泣くやつですよ! でも、さっき言ってた『性格の悪い買い方』はどうなるんです?」
真宮寺
「佐倉くん、あなたはアニメのBパートの後に、必ずCパート(おまけ)があるのを知っているでしょ? 私の結論も同じよ。本命はラムジェット。けれど、もし彼が飛ぶような『前残りバイアス』が発生した時のために、あの五頭——**ダブルハートボンド、オメガギネス、ロードクロンヌ、ウェイワードアクト、ウィルソンテソーロ**の三連複BOXを、お守り代わりに持っておくのよ」
佐倉
「お守りにしては、ちょっと欲張りすぎな五頭ですけどね。でも、教授……さっきからずっと『疑念』って言ってますけど、何がそんなに不安なんですか?」
(不安? そうね……。この論理の美しさが、逆に不気味なのよ。すべてがパズルのピースのようにカチリとはまりすぎる。現実の競馬は、もっと泥臭くて、もっと論理の通じない『何か』が最後に笑うものじゃないかしら。統計の網の目をすり抜ける一頭が、どこかに隠れている気がしてならないのよ)
佐倉
「教授? 固まってますよ。ドーナツの砂糖が脳に回りました?」
真宮寺
「失礼ね。私はただ、自分の知性を疑うという最高の贅沢を味わっていただけよ。いいわ、佐倉くん。最終章。私の本命と、あなたがせがんだ『破滅的な買い目』を、最後に教えてあげる。……覚悟はいい?」
佐倉
「……ゴクリ。はい、準備万端です!」