劇場廃墟を後にした二人は、山間の道を抜けていった。やがて目の前に現れたのは――光の塔と影の谷。 塔は天を突くほど高く輝き、谷は深く暗く沈んでいた。まるで世界そのものが「光」と「影」に分かれているかのようだった。
「わぁぁぁ!すっごーーーい!塔がキラキラしてるのに、谷は真っ暗だよぉぉ!」 なぎさは両手を広げて、塔と谷を交互に指差す。
「……対立。」 りんは短く答える。心の奥では「光と影は互いに依存し、同時に拒絶している」と感じていた。
塔の足元には古びた石碑があり、そこには「選択の地」と刻まれていた。谷からは冷たい風が吹き上がり、塔からは温かな光が降り注ぐ。
「ねぇねぇ!どっちに行くのぉぉ?塔?谷?わくわくするよぉぉ!」 「……選択。」 りんは静かに言った。心の奥では「どちらを選んでも、失うものがある」と思っていた。
その時、光と影の狭間に人影が現れた。白い衣をまとい、影を背負った存在――セラフィン。
「ひゃーー!天使さんだぁぁぁ!でもちょっと怖いよぉぉ!」 なぎさは驚いて叫ぶ。
「……結末を差し出す存在。」 りんは静かに呟いた。心の奥では「この出会いが旅の分岐点になる」と確信していた。
こうして二人は、光の塔と影の谷でセラフィンと出会った。
セラフィンは光と影の狭間に立ち、二人を見つめていた。白い衣は光を反射し、背後の影は深く沈んでいる。その姿はまるで「選択そのもの」を具現化した存在だった。
「……来訪者。」 りんは短く呟いた。心の奥では「この存在は旅の結末を差し出す者だ」と確信していた。
「わぁぁぁ!なんか天使みたいだよぉぉ!でも影も背負ってるからちょっと怖いよぉぉ!」 なぎさは両手を胸に当てて叫ぶ。
セラフィンは静かに語り始めた。 「光を選べば、希望は強く輝く。だが影を選べば、真実は深く刻まれる。どちらも世界を変える。」
「……選択。」 りんは冷静に答える。心の奥では「どちらを選んでも、相手を失う恐怖が伴う」と感じていた。
「ひゃーー!どっちも大事だよぉぉ!選べないよぉぉ!」 なぎさは頭を抱えて叫ぶ。
セラフィンは二人に近づき、囁くように言った。 「恐れているのは、光か影か……それとも、互いを失うことか。」
りんは目を見開いた。心の奥で「自分が本当に恐れているのは、なぎさを失うことだ」と気づいた。
「……恐怖。喪失。」 りんは短く呟いた。
「わぁぁぁ……私もりんを失うのが一番怖いよぉぉ!」 なぎさは涙を浮かべて叫んだ。
こうして二人は、光と影の狭間で「相手を失う恐怖」を自覚した
セラフィンは光と影の狭間で、二人にさらに問いを投げかけた。 「光を選べば、互いを照らし合える。影を選べば、互いを守り合える。だが――恐怖に囚われれば、どちらも失う。」
「わぁぁぁ!どっちも素敵だよぉぉ!照らし合うのも守り合うのも、全部欲しいよぉぉ!」 なぎさは涙を浮かべながら叫んだ。
「……矛盾。選択。」 りんは短く答える。心の奥では「どちらかを選ぶことは、相手を失う恐怖と直結している」と感じていた。
セラフィンは二人に近づき、光と影を両手に掲げた。 「お前たちの旅は、希望の記録を集めるもの。だが最後に残るのは、互いを想う感情だ。それが世界を残す力となる。」
「ひゃーー!世界を残すのは私たちの気持ちなんだぁぁ!」 なぎさは驚いて声を上げる。
「……感情。核心。」 りんは静かに呟いた。心の奥では「世界を救うのは理屈ではなく、なぎさへの想いだ」と確信していた。
二人は光と影の間で立ち尽くし、互いを見つめた。失う恐怖と、残したい願いが交錯する。
「わぁぁぁ……りんを失いたくないよぉぉ!」 「……同じ。」 りんは短く答える。心の奥では「なぎさを失うことだけは耐えられない」と強く感じていた。
こうして二人は、セラフィンの前で「互いを失う恐怖」をさらに深く自覚した。
セラフィンは光と影を掲げたまま、二人に最後の言葉を告げた。 「恐怖に囚われるな。互いを失うことを恐れるより、互いを選び続けよ。」
「わぁぁぁ!選び続けるんだねぇぇ!ずっとりんを選ぶよぉぉ!」
 なぎさは涙を拭いながら笑顔で叫んだ。
「……選択。永続。」 りんは短く答える。心の奥では「なぎさを選び続けることが、自分の自由であり希望だ」と確信していた。
セラフィンは光と影を融合させ、二人の頭上に虹の輪を描いた。それは「恐怖を超えた選択」の象徴だった。
「ひゃーー!虹の輪だぁぁぁ!すっごい綺麗ーー!」 なぎさは両手を伸ばして跳ねる。
「……肯定。」 りんは静かに頷いた。心の奥では「この旅の結末は、互いを選び続けることにある」と強く感じていた。
セラフィンの姿は光と影に溶け、やがて消えた。残されたのは虹の輪と、二人の心に刻まれた「選び続ける」という決意だった。
こうして二人は、光と影の狭間で恐怖を超え、互いを選び続ける誓いを立てた。
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