小説:「真宮寺教授の秘密講義」(フェブラリーS編)《デブ猫競馬》
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第七章:悪役令嬢の逆説的ポートフォリオ
(論理を極めれば極めるほど、その対極にある「理不尽」が愛おしくなる。コスタノヴァとラムジェットという解答に辿り着きながら、私は自らの導き出した真実に冷や水を浴びせようとしている。疑念こそが、無知な確信よりも私を真実に近づけてくれるのだから)
真宮寺は、わざとらしくため息をつき、長い髪を指先で弄んだ。
真宮寺
「いい? 佐倉くん。競馬という名の戦場で、生き残るために最も必要なのは、自分の正義を疑う力よ。私が導き出した生存馬二頭。これに全財産を注ぎ込むのは、ただの狂信者のすることだわ」
佐倉
「えぇ!? さっきまであんなに自信満々に絞り込んでたのに! 教授、もしかして最近のアニメのどんでん返し展開に影響されすぎて、自分自身を裏切ろうとしてるんですか?」
真宮寺
「裏切りじゃないわ、リスクマネジメントよ。ラムジェットという『末脚の化け物』が不発に終わる時、それは、前を走る馬たちが示し合わせたように止まらない、一種の共謀関係が成立した時。その『前残り』のパズルを完成させるピースを、あえて持っておくのよ。あんなに熱心に捨てたゴミ箱の中からね」
佐倉
「ゴミ箱漁り……。なんだか、急に庶民的というか、執念深い感じになってきましたね。具体的にはどうやって買うんですか?」
真宮寺
「フフ、簡単よ。ラムジェットが飛ぶ展開を想定した『前残りBOX』。ダブルハートボンド、オメガギネス、ロードクロンヌ、ウェイワードアクト、そしてウィルソンテソーロ。この五頭、私たちが論理的に『期待値が低い』と切り捨てた馬たちを、あえてセットで持っておくのよ。ラムジェットへの一点勝負の裏側で、彼らが掲示板を独占した時に、薄ら笑いを浮かべるための保険としてね」
佐倉
「……教授、それって『ラムジェットが来たら最高、来なくても大儲け』っていう、最強に性格が悪い、いや、合理的な買い方じゃないですか!」
(そう。ラムが来れば私の論理は証明され、喜びの中で勝利を噛み締める。ラムが飛べば、私の疑念が証明され、懐を潤す配当の中で勝利を噛み締める。どちらに転んでも、私は負けない。負けるのは、一つの可能性に盲信して、展開の変化に絶望する凡夫たちだけよ)
佐倉
「でも教授、それって結局、全部買ってるのと同じじゃないですか? 絞り込んだ意味は?」
真宮寺
「全然違うわ。絞り込んだ二頭は『本線』。残りの五頭は『絶望へのカウンター』。この濃淡の付け方こそが、プロの仕事よ。……さて、佐倉くん。私の頭脳はそろそろ糖分を欲しているわ。次の章では、この全ての矛盾を孕んだ『神宮寺式最終結論』を、あなたの安っぽい脳みそでも理解できるように整理してあげましょうか」
佐倉
「糖分……。じゃあ、帰りに最近オープンした、アニメコラボのドーナツ屋さんに寄りましょう! そこで最終結論、聞かせてください!」