(残された5頭。ここから先は単なる足切りの世界ではない。いかに強力なステータスを持つ勇者であっても、戦うフィールドを間違えればスライムにすら足元をすくわれる。それがデータ分析の醍醐味だ)
神宮寺はホワイトボードに残った5頭の名前を、冷徹な目で睨みつけた。
神宮寺:「さあ、若葉。いよいよ5位から1位までの明確なランキングを付ける。中山1800メートルという特殊な戦場にいかに適応できるかを測るんだ」
若葉:「おおー! アニメの強さ議論スレみたいでワクワクするわ! 佐倉助手、5位は誰なん? やっぱり、さっきのベテランおっちゃん?」
佐倉:「第5位は『セイウンハーデス』です。実績はありますが、彼が勝ったのは直線の長い東京コース。狭くて角を回る中山の適性とは少し違うんです」
神宮寺:「サッカー選手をフットサルのコートに放り込むようなものだ。おまけに7歳。開幕週のスピード合戦に対応しきれないリスクがある」
若葉:「実績があっても戦場に合ってへんとアカンのか。ほな、第4位は?」
神宮寺:「第4位は『チェルヴィニア』だ。能力はGⅠ級だが、精神的なムラが激しい。自分の力を出し切れない不完全燃焼が続いているんだよ」
(絶対的な能力は高いが、全幅の信頼を置いて投資の軸にするにはデータが足りない。気性の難しさは、時に致命的な敗北を招く。私たちが探しているのは安定感だ)
若葉:「強キャラやのにメンタル弱いんか……。佐倉助手、じゃあ3位は?」
佐倉:「第3位は『レーベンスティール』。1800mの重賞勝ちもある『魔王』みたいな存在ですが、今回は一番重い『58キロ』を背負わされます」
若葉:「魔王やのに修行用の重り着せられてるアレか! 3キロの差はデカいんやな!」
神宮寺:「しかもこの馬は1着か12着か、という極端なムラがある。取りこぼす危険性が高すぎるから3位だ」
若葉:「ほな、いよいよトップ2や! 第2位は?」
神宮寺:「第2位は『エコロヴァルツ』。小回りコースへの適性が抜群な優等生だ。だが、堅実すぎて最後に相手をぶち抜く必殺技にやや欠けるんだよ」
(エコロヴァルツは軸にするには物足りないが、相手に組み込むには最高のピースだ。だが、勝つ確率が最も高い1位はもっと全てが噛み合った存在でなければならない)
若葉:「必殺技がないから2位……シビアやな。ほな、第1位は!?」
神宮寺:「第100回中山記念、我々が導き出した栄えある第1位は……『カラマティアノス』だ」
佐倉:「前走で中山の重賞を勝っている実績。さらに若い4歳馬ゆえに1キロ軽い56キロ。そして才能が開花した今の勢い。完璧です」
若葉:「覚醒してて、戦場も熟知してて、しかも先輩より身軽! まさに王道の主人公やんか!!」
神宮寺:「ふふ。素人は名前だけでGⅠ馬を1位にするが、論理を知る我々はカラマティアノスという真の勝者に辿り着く。……だが若葉、これで終わらせてたまるか」
若葉:「え? なんで? 完璧なランキングできたやん!」
神宮寺:「投資には『最悪のシナリオ』がつきものだ。もし本命が全滅する大波乱が起きたらどうなる? 闇の中から這い上がってくるバグキャラたちの考察、始めるぞ」