真宮寺教授の秘密講義《デブ猫競馬》


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第5章:反逆のノイズと、狂気のスピンオフ(荒れるとしたら)

(投資において最も恐ろしいのは『前提の崩壊』だ。強いはずの者が実力を出せず、弱いはずの者が不自然に台頭する……そんなバグのようなレース展開。だが、プロの分析家たるもの、その『バグ』すらも事前に予測し、論理の枠内に収めねばならない)

神宮寺はホワイトボードに書かれた「完璧なTOP5ランキング」を、無慈悲にも黒板消しで半分ほど消し去った。

若葉:「ええーっ!? 教授、何すんの! せっかく作った最強パーティーが!」

佐倉:「若葉さん、落ち着いてください。教授は今から『波乱シナリオ』……つまり、本命たちが負けてレースが大荒れになるパラレルワールドの話をするんです」

若葉:「パラレルワールド……。スピンオフ企画みたいなもんか! 本編の主人公たちが全滅して、脇役が世界を救うやつやな!」

神宮寺:「そういうことだ、若葉。競馬で『荒れる』というのは、強い馬が能力を発揮できない展開になり、その隙を突ける特化型の穴馬が存在した時にのみ起きる」

若葉:「なるほど! 勇者たちがモタモタしてる間に、ザコキャラがゴールテープ切っちゃうみたいな!」

神宮寺:「波乱のパターンは2つ。一つは、誰も追いかけないまま前を走る馬が逃げ切る『スローペース』。もう一つは、スタミナ切れを起こすほど激しい『ハイペース』だ。この異常事態で輝くバグキャラTOP5を抽出するぞ」

若葉:「バグキャラ! 厨二病っぽくてええやん! 佐倉助手、5位から教えて!」

佐倉:「穴馬5位は『マジックサンズ』。近走はボロボロですが、距離が延びることで追走が楽になり、ポテンシャルが覚醒する……というカンフル剤的な要素に期待するギャンブル枠です」

神宮寺:「続いて4位は『サイルーン』。もしスローペースになれば、この馬のマイルで培ったスピードが火を吹く。開幕週の綺麗な馬場を活かして、内側からスルスルと抜け出す展開だ」

若葉:「なるほど、一瞬のスピード勝負ならワンチャンあるんやな!」

神宮寺:「3位は『ニシノエージェント』。さっき大敗続きで消したが、実は中山の申し子だ。適性のないコースで惨敗してマークが外れている今こそ、得意コースでの下剋上を狙う絶好のタイミングだ」

(実力に見合わない評価がついている馬こそ、投資の旨味だ。彼が精神的なスランプから脱却さえしていれば、このメンバーでも十分に一発がある)

若葉:「忘れられた天才が、得意な戦場で復活! ウチ、そういうのん一番好きやわ!」

佐倉:「2位は『エヒト』。9歳の高齢馬ですが、中山のタフな条件ならまだ戦えるデータがあります。前が潰れる消耗戦になれば、最後尾からこのおっちゃんが全部ぶち抜くシーンが目に浮かびます」

若葉:「おっちゃんキタコレ! ロマンの塊やんか!!」

神宮寺:「そして1位。荒れる王道『前残り』を体現する中山1800m最強の逃亡者……『ショウナンマグマ』だ。開幕週の綺麗な馬場で単騎で逃げられた場合、GⅠ馬であっても捕まえるのは至難の業だぞ」

若葉:「誰も追いつけないスピードで逃げ切る大泥棒! よっしゃ、こっち買おかな!」

神宮寺:「待て、若葉。穴馬は『当たればデカいが、外れる確率は圧倒的に高い』。本命とは予算を分け、少額で楽しむのがプロの鉄則だ。絶対に推しのグッズ代には手をつけるなよ?」

若葉:「うっ……せやな。夢見すぎて破産すんのはアカンな」

神宮寺:「よし。これで本命と穴馬、両方の準備は整った。……だが佐倉くん、若葉。私の中で、まだ一つの『疑念』が晴れていないんだ」