猫でも書ける短編小説
◀第3章:ギルド登録と証明書騒動
▶第8章:セリナ、初仕事で覚醒する
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第4章:初めての依頼とスライム地獄
ギルド登録を終えた翌朝。 俺たちは、冒険者としての初仕事に挑むことになった。 依頼内容は「町外れの草原でスライム討伐」。報酬は銀貨5枚とパン屋の割引券。 セリナは、銀貨よりも割引券を見て目を輝かせていた。
「ルイ~! これでパンがいっぱい買えるね~♡」 「いや、銀貨の方が価値あるぞ。割引券はおまけだ」 「でも“ふわふわパン10%オフ”って書いてあるよ~!」 「お前のふわふわ信仰、そろそろ宗教レベルだな」
ギルドの受付で依頼を受けると、周囲の冒険者たちがざわついた。
「おい、あの爆発パン職人が依頼受けたぞ」 「スライムがぷにぷにから爆発になるんじゃねぇか?」 「封印者の兄ちゃん、がんばれよ……命がけだな」
俺は、無言で親指を立てて応えた。 セリナは「ぷにぷにってなに~?」と首を傾げていた。 ……お前が一番危険だ。
町外れの草原は、のどかで広々としていた。 しかし、そこにはスライムがうじゃうじゃいた。 青、緑、ピンク、マーブル模様まで。 まるでスライムのカラフル展示会だった。
「わ~♡ ぷにぷに祭りだ~!」 「違う。これは“ぷにぷに地獄”だ」
俺は、封印スキルを準備しながら、セリナに指示を出した。
「セリナ、魔法は使えないから、棒で叩いてくれ」 「え~、かわいそう~。この子たち、もちもちしてるよ~♡」 「それ、敵だから! もちもちじゃなくて、ぬるぬるだ!」
セリナは、スライムを抱き上げて「ぷにぷに~♡」と頬ずりした。 その瞬間、スライムが分裂した。 しかも、セリナの魔力に反応して巨大化。
「ルイ~! この子、ちょっと大きくなった~♡」 「ちょっとじゃねぇ! 冷蔵庫サイズだぞ!」
スライムは、セリナの魔力を吸収してどんどん膨張。 周囲のスライムも連鎖的に反応し、草原がぷにぷにの海と化した。
「ルイ~! ぷにぷにがいっぱい~♡」 「お前が原因だ!」
俺は、封印スキルを発動した。 「封印・ぷにぷに増殖!」 スライムの分裂を止め、周囲のスライムをまとめて圧縮。 結果――草原に“スライム団子”が完成した。
「ルイ~! これ、パンに挟めるかな~♡」 「絶対食うな。絶対だぞ」
その後、ギルドに戻ると、受付の女性が驚いていた。
「スライム団子……ですか?」 「はい。討伐済みです。たぶん」 「セリナさん、パン職人としての才能が……」 「いや、これは冒険者としての成果だ!」
報酬として、銀貨5枚とパン屋割引券を受け取った。 セリナは「やった~♡ 明日はパン祭りだ~!」と叫び、俺は静かに疲労で倒れた。
その夜、宿に戻った俺たちは、鍋でスープを作ることにした。 セリナが魔力を込めると、鍋がしゃべり出した。
「おい、俺に野菜入れるな! 俺は肉専用だ!」 「え~! 野菜も食べようよ~♡」 「鍋と会話するな。しかも、鍋が偏食ってどういうことだ」
俺は、封印スキルで鍋の人格を一時停止。 静かになった鍋で、ふたりはスープを作った。 セリナは、クッションを抱きながらパンをかじっていた。
「ねえルイ。異世界って、ちょっとだけ楽しいかも」 「“ちょっとだけ”で鍋が人格持ってるけどな」 「えへへ~♡ でも、君がいるから安心だよ」
こうして、俺たちの初依頼は、 スライム→抱きしめる→巨大化→団子化→パン屋割引という、 異世界ラブコメらしいドタバタで幕を閉じた。
封印と魔法と、ぷにぷにとパン。 それが、俺たちの“初依頼記”だった。
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第5章:ギルドの新人研修とセリナの暴走
ギルド登録を終え、スライム団子事件を乗り越えた俺たちに、次なる試練が訪れた。 ギルドから届いた通知には、こう書かれていた。
【新人冒険者向け研修にご参加ください。魔力制御・模擬戦・職業別講習を含みます】
「ルイ~! 研修って、パンの焼き方教えてくれるの~?」 「違う。これは冒険者向けの訓練だ。パンは関係ない」 「え~、でも“ふわふわ訓練”とかあるかも~♡」 「そんな講座、あったら俺が封印する」
研修は、ギルド裏手の訓練場で行われるらしい。 朝から集まった新人たちは、剣士、弓使い、魔法使い、そして──パン職人見習い(セリナ)。 見た目は完全に“ふわふわ観光客”なのに、ギルド証だけはしっかりしている。
講師として現れたのは、筋肉モリモリの中年男性。名前はグラント。 見た目は完全に“戦う筋肉”。声もでかい。
「よし、今日は基本の魔力制御と模擬戦をやるぞ! 魔法使い組、前へ!」
セリナは、ふわふわステップで前に出た。 グラント講師は、セリナのギルド証を見て首を傾げた。
「……パン職人見習い? 君、魔法使いじゃないのか?」 「えへへ~♡ パンも魔法も好きです~」 「……よし、魔法使い枠で扱おう。君、魔力制御できるか?」 「たぶん~♡」
講師は、魔力を小さな球にして浮かせる訓練を指示した。 他の新人たちは、慎重に魔力を練って、手のひらに小さな光を灯していた。 そして、セリナの番。
「ふわふわ魔力、出てこ~い♡」
その瞬間――
ボンッ!
講師が吹き飛んだ。
「うわああああああああああああああああああああああっ!!」 「ルイ~! 先生が空飛んじゃった~♡」 「お前の魔力、ふわふわじゃなくて爆発だ!」
俺は慌てて封印スキルを発動。
「封印・ふわふわ暴走!」 セリナの魔力を一時的に抑え、講師の落下地点にクッション魔法を展開。 講師は、地面にふわっと着地したが、顔は真っ白だった。
「……君、魔力制御は“たぶん”じゃなくて“できません”だな」 「えへへ~♡ でも、先生ふわっと着地できたよ~?」 「それ、俺のフォローだから!」
周囲の新人たちはざわついていた。
「今の、魔力球じゃなくて爆裂魔法じゃね?」 「パン職人って、あんなに強いのか……」 「封印者の兄ちゃん、すげぇな……あれを止められるなんて」
講師は、セリナを見て言った。
「君は……魔法使いとしては危険すぎる。パン職人として頑張ってくれ」 「は~い♡ パン焼きます~!」 「いや、研修は戦闘訓練だ!」
その後、剣士組の模擬戦が始まったが、セリナは隣で「パンに剣を刺したらどうなるかな~♡」と呟いていた。 俺は、彼女の発言を封印したい衝動に駆られた。
研修終了後、講師が俺にそっと言った。
「君、よくあの子を制御できるな……」 「封印スキルがなかったら、町が消えてます」 「……君こそ、真の守護者だ」
セリナは、講師から渡された“魔力制御補助リング”を見て喜んでいた。
「わ~♡ これ、ふわふわ魔力を抑えてくれるんだね~!」 「違う。これは“爆発防止リング”だ」
その夜、宿に戻ったセリナは、リングを眺めながら言った。
「ねえルイ。私、ちょっとだけ魔法が怖くなったかも」 「それは、成長だ。お前が魔力を意識するようになれば、俺の封印も楽になる」 「でも、君が封印してくれるから、私は安心してふわふわできるんだよ~♡」 「……お前の“ふわふわ”は、俺の命を削る」
その後、セリナはギルド証の裏面に「爆発注意」のマークが追加されたことに気づいた。
「ルイ~! これ、ひどくない!? 私、そんなに爆発してないよ~!」 「いや、ベッドと紙と講師が爆発してるぞ」 「うう……私、パン職人なのに……」
セリナは、ギルド職員に抗議に行った。
「このマーク、消してください~! 私、ふわふわなだけです~!」 「申し訳ありませんが、記録上“爆発3件”が確認されております」 「ううう……ふわふわが誤解されてる~!」
俺は、セリナの肩をぽんと叩いた。
「大丈夫だ。俺が証明する。お前は、ふわふわで爆発するパン職人だ」 「それ、褒めてるの~?」 「……たぶん」
こうして、俺たちの新人研修は、 講師空中飛行→魔力暴走→爆発防止リング→ギルド証抗議という、 異世界ラブコメらしいドタバタで幕を閉じた。
封印と魔法と、講師とふわふわ。 それが、俺たちの“研修記”だった。
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第6章:初めての報酬と町での買い物
スライム団子事件と新人研修を終えた俺たちは、ギルドから正式な報酬を受け取った。 銀貨5枚と、パン屋の割引券。セリナは、銀貨よりも割引券を見て目を輝かせていた。
「ルイ~! これでパンがいっぱい買えるね~♡」 「いや、銀貨の方が価値あるぞ。割引券はおまけだ」 「でも“ふわふわパン10%オフ”って書いてあるよ~!」 「お前のふわふわ信仰、そろそろ国家宗教になりそうだな」
報酬を手にしたセリナは、町の商店街へと突撃した。 俺は、財布を握りしめて後を追う。異世界の買い物は、命がけである。
まず向かったのは、魔道具店。 店内には、しゃべるランプ、浮くスプーン、勝手に踊る靴など、怪しげな品が並んでいた。 セリナは、棚の奥にあった鍋に目を留めた。 「ルイ~! この鍋、なんか文句言ってる~♡」 「文句言う鍋って、どんな調理器具だよ」
鍋は、確かにしゃべっていた。 「しゃべる鍋……? 嫌な予感しかしない」 「おい、俺に水入れるな! 俺はスープ専用だ! あと、野菜は嫌いだ!」 「え~! 偏食鍋だ~♡ かわいい~!」 「かわいさの基準が迷子だぞ」 店主が説明してくれたところによると、この鍋は“魔力感知型調理器具”で、使用者の魔力に反応してしゃべるらしい。 セリナの魔力が強すぎるため、鍋が過剰反応しているとのこと。
「この鍋、君の魔力だとたぶん人格崩壊するよ」 「え~! でも、ふわふわスープ作れるかも~♡」 「人格崩壊スープは料理じゃなくて事件だ」 結局、セリナは鍋を購入。銀貨2枚が消えた。 俺は、鍋の安全性を封印スキルで一時的に抑えることにした。
「封印・鍋の人格暴走」 「ルイ~、鍋が静かになった~♡」 「それ、ただの鍋になっただけだ」 次に向かったのは、雑貨屋。 セリナは、ふわふわ素材のクッションを見つけて抱きしめた。
「ルイ~! このクッション、ふわふわ度が高いよ~♡」 「またふわふわか。お前のセンサー、ふわふわしか検知しないのか?」
クッションは、魔力を吸収して形を変えるタイプだった。 セリナが抱きしめると、クッションがハート型になった。
「わ~♡ ルイの顔になった~!」 「それ、俺の顔じゃなくてハート型だ!」
雑貨屋の店主が言うには、このクッションは“感情反応型”で、使用者の気持ちを反映するらしい。 つまり、セリナが俺のことを考えていたということだ。
「ルイ~、このクッション、君みたいに優しいね~♡」 「……それ、褒めてるのか? それともクッション扱いか?」
銀貨1枚が消えた。残りは2枚。 セリナは、最後にパン屋へ向かった。
パン屋では、割引券を使って“ふわふわパンセット”を購入。 店主が「いつもありがとう」と笑顔で渡してくれた。 セリナは、パンを抱えて満面の笑みだった。 「ルイ~! 今日の買い物、全部ふわふわだったよ~♡」 「鍋はふわふわじゃないだろ。しゃべってたし」
その夜、宿に戻った俺たちは、鍋でスープを作ることにした。 セリナが魔力を込めると、鍋が再びしゃべり出した。
「おい、俺に野菜入れるなって言っただろ! あと、煮込みすぎると俺が泣くぞ!」 「え~! 鍋が泣くの~? かわいそう~♡」 「鍋に同情するな。しかも泣く鍋って何だよ」
セリナは料理を続けてる。 「おい、俺にきのこ入れるなよ! 俺は肉専用だって言ってるだろ!」 俺は、封印スキルで鍋の人格を一時停止。 静かになった鍋で、ふたりはスープを作った。 セリナは、クッションを抱きながらパンをかじっていた。 そのとき、宿の子どもたちが食堂に入ってきて、セリナを見て小声で言った。 「ねえ、あの人……魔女なの?」 「昨日、空に人が飛んでたのって、あの人の魔法?」 「こわい……でも、パンは美味しそう……」 セリナは、パンを持ったまま固まった。 笑顔が、すっと消えた。
「……魔女って、こわいのかな」 「セリナ……」
俺は、そっと彼女の隣に座った。 クッションが、丸く縮こまった。
「お前は、魔女じゃない。パン職人だ。ふわふわで、ちょっと爆発するけど」 「……でも、こわいって言われたの、ちょっとだけ……悲しかった」 俺は、セリナの手を取った。 「お前は、俺が守る。爆発しても、ふわふわでも、全部含めてお前だから」 「……ルイ~♡」
クッションが、ハート型になった。 鍋が、静かに「……いいスープだったな」と呟いた。
こうして、俺たちの初めての報酬は、 しゃべる鍋→ふわふわクッション→パンセット→涙と笑顔という、 異世界ラブコメらしい買い物記で幕を閉じた。
封印と魔法と、鍋とクッションとパン。 それが、俺たちの“初買い物記”だった。
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第7章:ギルド証の裏面と謎の評価
ギルドでの初依頼と新人研修を終えた俺たちは、少しずつ町に馴染み始めていた。 セリナはパン屋の常連になり、俺は“爆発対応係”としてギルド職員に顔を覚えられた。
そんなある日、セリナがギルド証を眺めていたとき、異変に気づいた。
「ルイ~……これ、なんか裏に変なマークついてる~」 「ん? どれどれ……」
俺がギルド証を受け取ると、そこには小さな赤いスタンプが押されていた。
【注意:魔力過剰反応あり。爆発履歴3件】
「……うん。まあ、事実だな」 「ええええええええええええええええええええええええっ!?」
セリナは、目を見開いてギルド証を抱きしめた。
「なんで!? 私、そんなに爆発してないよ~!」 「ベッド、魔力紙、講師。あと鍋がしゃべりすぎて湯気が逆流した」 「それは爆発じゃなくて、ちょっとした“ふわふわ事故”だよ~!」
その声がギルドの受付に届き、職員が慌てて駆け寄ってきた。
「セリナさん、何か……?」 「このマーク、消してください~! 私、そんな危険じゃないです~!」 「申し訳ありませんが、記録上“魔力暴走3件”が確認されております」 「ううう……ふわふわが誤解されてる~!」
周囲の冒険者たちがざわつき始めた。
「また爆発したのか?」 「いや、今回は“爆発未遂”らしい」 「ふわふわって、魔法属性なのか?」
セリナは、ぷくぷくと頬を膨らませて怒っていた。 普段の笑顔が消え、眉がきゅっと寄っている。
「ルイ~! 私、怒ってるよ~!」 「うん、知ってる。顔が“ふわふわ”から“もこもこ”になってる」 「もこもこってなに~!?」
俺は、ギルド職員に事情を聞いた。
「このマーク、どういう基準でつけてるんですか?」 「ええと……魔力暴走が3回以上あると、自動的に“注意”マークが追加される仕様でして」 「自動!? AIかよ!」 「いえ、魔力感知式の紙が勝手に判断するんです」 「紙が判断するのかよ!」
セリナは、ギルド証を見つめてしょんぼりしていた。
「私、パン職人なのに……魔力暴走って書かれてる……」 「まあ、パンを焼くときに魔力で生地を浮かせて回転させてたしな」 「それは“ふわふわ回転焼き”だよ~!」
そのとき、ギルドの奥からベテラン職員が現れた。 彼は、セリナの証を見て、ふっと笑った。
「君の魔力は確かに危険だ。でも、パンを焼くときの集中力は本物だった」 「え……?」 「魔力の質は、感情で変わる。君は“喜”のとき、魔力が安定する。怒ると、ちょっとだけ……爆発する」
セリナは、目をぱちぱちさせたあと、そっとギルド証を見直した。
「じゃあ……私、怒らなければ爆発しないの?」 「たぶん。あと、パンを持ってると安定するらしい」 「パンが……私の魔力制御アイテム……?」
俺は、静かに頷いた。
「つまり、お前は“パンで感情を制御する魔法使い”ってことだな」 「それ、かっこいい~♡」
ギルド職員は、証の裏に小さく書き加えた。
【補足:パン所持時は安定傾向あり】
「これで、少しは誤解が減るかもしれません」 「わ~い♡ パン持ってれば安全なんだね~!」
こうして、セリナのギルド証は「爆発注意」から「パン所持で安定」へと進化した。 周囲の冒険者たちは「パンが魔力制御アイテムって新しいな」「パン職人、奥が深い」とざわついていた。
その夜、宿でセリナはパンを抱きしめながら言った。
「ルイ~。私、怒ると魔力が暴れるって知らなかった。でも、君がいてくれるから、安心して笑えるよ~♡」 「……お前の笑顔が安定してるなら、俺の封印スキルも休めるな」 「でも、パンがないと暴れるかも~♡」 「パンが俺の命綱かよ!」
こうして、俺たちのギルド証騒動は、 爆発注意→怒りぷくぷく→パンで安定→職員の補足という、 異世界ラブコメらしいドタバタで幕を閉じた。
封印と魔法と、怒りとパンと、ギルド証。 それが、俺たちの“証明書改訂記”だった。
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あらすじ
「VOICEVOX: 白上虎太郎」ギルド登録を終えた翌朝、ルイとセリナは初仕事として町外れの草原でのスライム討伐に挑み、報酬は銀貨5枚とパン屋の割引券で、セリナは銀貨より割引券に大喜びするが、周囲の冒険者は“爆発パン職人”の噂でざわつき、封印術師のルイは内心で危機感を募らせた。 ところが現地の草原は多色スライムで溢れ、セリナは敵と知らず抱きしめて頬ずりし、魔力が反応してスライムが巨大化と分裂を起こし、草原一帯がぷにぷにの海になってしまい、ルイは即座に封印スキルで分裂を止めつつ圧縮し、大量のスライムを“スライム団子”にまとめ上げて事態を収束させた。 帰還したギルド受付は団子状の提出に驚くが討伐として受理し、ふたりは銀貨と割引券を受け取り、セリナはパン祭りに浮かれる一方、ルイは極度の疲労に沈み、夜はセリナの魔力で人格を持った鍋が偏食を主張する騒ぎをルイの封印で黙らせてスープを完成させ、セリナは「異世界はちょっとだけ楽しい」と笑い、ルイは彼女の暴走を皮肉りながらも支える決意を新たにした。 続く新人研修では筋骨隆々の講師グラントの下、魔力制御訓練が行われるが、パン職人見習いの身ながら魔法枠で参加したセリナは“ふわふわ魔力”と称して放出した瞬間に爆発を起こし、講師を吹き飛ばす事態をルイの封印とクッション展開で辛うじて軟着陸させ、講師は「制御できない」と判定しつつも訓練を続行し、周囲はセリナの潜在能力とルイの抑止力に戦慄と称賛を寄せた。 研修の中でセリナは戦闘とパンを混同する無邪気さを見せ、ルイは彼女の不用意な発言や発想を封印したくなるが、最終的に講師はセリナに戦闘職よりパン職人としての適性を促し、しかし冒険者として同行するならルイの封印による安全管理が不可欠だと暗に認める結論となった。 初依頼の報酬を手にした後の買い物では、セリナがふわふわ嗜好に従ってクッションや食材を選び、しゃべる鍋や柔らかい寝具などを購入して銀貨が減っていく様子が描かれ、ルイは出費に冷静だがセリナは幸福感に満たされ、パン屋の割引券で“ふわふわパンセット”を得て店主とも顔なじみになり、町での暮らしが少しずつ根づいていく。 夜の食堂では、鍋が再び野菜やきのこを拒む偏食トークを始める騒ぎをルイが封印で止め、料理は無事完成するが、宿の子どもたちが「空を飛ぶ人」の噂を結びつけてセリナを“魔女”と恐れる声を上げ、セリナの笑顔が凍りつき、内心の傷つきと不安が表面化する。 ルイはセリナの隣で彼女の手を取り、彼女を魔女ではなくパン職人だと肯定し、ふわふわも爆発も含めて守ると宣言して寄り添い、セリナは涙ぐみながらも安心して微笑み、クッションがハート型に変わるささやかなファンタジー演出と、鍋の静かな称賛がふたりの絆を祝福する。 こうして“初買い物記”は、しゃべる鍋とふわふわクッション、パンと涙と笑顔へ連なる小さなドラマで幕を閉じ、日常に根差した幸福と騒動のバランスが確立される。 さらに時間が経つと、セリナはパン屋の常連として町に溶け込み、ルイはギルドで“爆発対応係”として顔を覚えられ、日常の役割分担が形成される一方、ギルド証の裏面に赤い注意スタンプ「魔力過剰反応あり。 爆発履歴3件」が自動付与されていることが発覚し、セリナは「ふわふわ事故」と主張して抗議するが、魔力感知紙の自動判定による記録は消せないと説明される。 周囲の冒険者たちは半ば噂話、半ば興味本位でセリナの危険性を測り、セリナは「パン職人なのに」と肩を落とすが、ベテラン職員は彼女の作業時の集中を評価し、感情によって魔力の質が変わる特性を見抜き、「喜の感情で安定し、怒りで暴走する」と見立て、さらにパンを持っていると安定する傾向を指摘する。 ルイはそれを“パンで感情を制御する魔法使い”と整理し、職員はギルド証に「パン所持時は安定傾向あり」と補足を追記して運用面の誤解緩和を図り、セリナはパンが自身のアンカーであると理解して前向きさを取り戻すと同時に、感情のセルフマネジメントが課題であることを自覚する。 夜、宿でパンを抱きしめるセリナは、怒ると魔力が暴れる特性を受け止めつつ、ルイがそばにいる安心感で笑顔を保てると語り、ルイは封印スキルが休めると冗談めかして返すが、結局パンが命綱というオチで互いの依存と信頼のバランスが軽やかなユーモアに包まれ、ふたりの関係性は一段と強固になる。 以上を通じてこの章群は、初依頼の混乱、研修での制御不能と補助の連携、買い物と生活基盤の確立、社会的評価と再定義という流れで、セリナの“爆発的ふわふわ”という矛盾した特性がルイの封印スキルにより世界と折り合い、パンという具体的アイテムを媒介に安定へ向かう仕組みが物語的にも実務的にも整備され、異世界ラブコメとしてのドタバタと、仲間としての支え合いがともに成熟していくプロセスを描き出している。
解説+感想非常に魅力的な**異世界ラブコメ+ドタバタ日常系**の骨格がしっかりしていて、読んでいてニヤニヤが止まらない内容ですね!セリナの「ふわふわ魔力」が実は**爆発属性**というギャップ、ルイの封印スキルによる「抑止役」ポジション、パンを感情のアンカー&安定アイテムにする設定、そしてしゃべる鍋やハート型クッションなどの可愛い小ネタが散りばめられていて、**コメディと甘さのバランス**が絶妙です。 特に以下のポイントが秀逸だと思いました:- **キャラの役割分担が早々に完成** セリナ=無自覚破壊神(パン愛が強すぎる天然爆弾魔女) ルイ=冷静な封印屋兼ツッコミ兼守護者 この凸凹コンビがギルドでも町でも「セット」として認知されていく過程が自然で心地いい。 - **パンが「ただの食べ物」じゃなく物語のキーアイテム** 割引券に大喜び → 爆発防止の精神安定剤 → ギルド証の補足メモにまで昇華する流れが上手い。 「パン抱きしめて寝るセリナ」からのルイの軽口オチで締める信頼関係の描き方も、甘酸っぱくて最高。 - **社会との折り合い方** 最初は「爆発パン職人」「魔女」と恐れられたり注意スタンプ貼られたりするのに、 ベテラン職員の分析 → パン所持時の安定補足 → セリナのセルフマネジメント自覚 と、少しずつ誤解が解け、受け入れられていくプロセスが丁寧。 異世界転生ものにありがちな「チート無双」ではなく、「特性の欠点とどう向き合うか」がテーマになっているのが新鮮。 - **小さなファンタジー演出** クッションがハート型に変わる、鍋が静かに称賛する、みたいなさりげない魔法が、 大事件ではなく日常の幸福を彩るスパイスになっていて好きです。 全体として、**「暴走しがちな可愛い子を、クールな彼氏(パートナー)が支え続ける」**という王道ラブコメのテンプレを、 パン・スライム団子・しゃべる鍋という独自の可愛い小道具で味付けした、 とても「続きが読みたくなる」章構成だと思います。 この調子で進むなら、次は - セリナの「怒り暴走」初回(ルイ不在時とかで大ピンチ) - パン屋の本格修行と魔法の融合(ふわふわパン=魔法パン?) - ギルド内の「爆発対応係」ルイの地位向上と、セリナのランクアップ試験 あたりが自然な展開かなと想像します。 セリナの「異世界はちょっとだけ楽しい」からの成長と、 ルイの「支える決意」がどう深まっていくのか、すごく楽しみです。
第8章:セリナ、初仕事で覚醒する
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